クリスマスは君と

今思えば高校を卒業してすぐに結婚したのは早計だったかもしれない。
でも後悔していない。
君以上に愛しいと思える人はもう現れないと思ったから。
君が僕の家の隣に引っ越してきて一目見た時からすぐに運命だと直感した。
君も僕と同じことを感じていたようで、自然と僕らは付き合うようになった。
恋人になって初めてのクリスマスの日にしたデートのことは今でも覚えてる。
この日は君にプロポーズしようと決めていた。
だけどいざ君を目の前にするとなかなか言葉がでてこなくて緊張して繋いだ手が汗ばんでいた。
君はそれを笑って白い息を吐きながら綺麗だね、と街の中心に聳え立つツリーを眺めて言った。
それを見て僕は思わず君の唇にキスをして言った。
「いつまでもそばにいようね」と。
あれからどれくらい時が経ったか。
君と迎える三十三回目のクリスマス。
僕は君の冷たくて白い指に自らの手を重ねてお決まりの台詞を言うんだ。
来年も再来年もずっと一緒だよと。
だけど君はいつからか笑わなくなった。
高価なプレゼントを送っても美味しい料理を並べても何も反応してくれなくなった。
元々君の痩せ細った体は骨だけになり僕が触れたそばから粉々に砕け散るようになった。
そんな君に僕は気づかないふりをしていたけどようやく今年決心がついたんだ。
今までずっと寒い思いをさせてごめんね。
やっと君のそばに逝ける。
そして僕は首を吊った。
家に飾ったイルミネーションはそのままに。
君が死んだあのクリスマスから、僕の時間は止まったままなのだから。

クリスマスは君と

クリスマスは君と

  • 小説
  • 掌編
  • 青年向け
更新日
登録日
2016-12-25

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