昔、香ににほふものありけり

昔、香ににほふものありけり

花と言えば卒業式の日、先輩に花束を用意したんだけれど、その先輩のことが好きだという娘がいて、「わたしに頂戴」というので泣きたい気持ちで譲りました。
というよりか、なんで自分で用意しなかったんでしょうね。卒業式に六千円程度の花束は、かならず用意するものですよね。

 花よ あなたは何もしてくれないけど

 花よ あなたに会えた それだけでいい

 なにかを期待するのじゃなく そこに

 在って欲しいから


 花よ 昔の香に匂う なにかを残して 立ち姿艶やかで

 花よ あなたに伝えたい それだけなのに

 なにかを奪うのじゃなく 

 そこに いて欲しいだけ

 仰ぐと凛とたたずむけなげさよ


 可憐にくくられたリボンも  

 四角いケースの中

 花よ 花よ 花よ…… 

 わたくしには十分だ

 そこにいて欲しい

 それだけで いい

昔、香ににほふものありけり

お読みくださり誠にありがとうございます。

昔、香ににほふものありけり

花は花。花のままではいられないけれども、相応しいときに咲き誇るのが華、です。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-01-29

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