コケティッシュ・モナリザ
コケティッシュ・モナリザ
きみの運命に まっぷたつの韻を踏む
「あんなふうにしゃべって あんなふうに歩いて あんなふうにつき落としたい」
clashしたヴェスパの恋人
微笑するモンタージュの詩神
猫と一緒に暮らす人
あのひとが うっかり微笑んでしまったら
子供を ぼくに 宿させる。
ぼくは マティーニのベルモットに沈殿して
感傷するあなたの 肩の上で休む。
コケティッシュ・モナリザ
衝動の数秒で惜しまずに魂を賭ける
「ノートに描いて 壁に刻んで たましいに色塗りして あなたのかおに貼る」
六十年代からの電話が
あなたをショーウィンドウのマネキンにする。
メタリック・モデルたちは
動く歩道ですれ違うよ。
あなたの機械仕掛けな見てくれは
ぼくをニコチン中毒にする 寄せ集めモード論
・・・・・・鋭角的に終わらせて。
コケティッシュ・モナリザ
輪ゴムで留めた人生にクラフトナイフを撫でる
「やさしいわたし こわいわたし タンブラーでかき混ぜて 男の子には勝ち目なんてない」
デートの路上 すっぽかして
あなたはパリコレに行く
電話に残ったメッセージ・ボイスを
ぼくは独りで 思想にサンプリングする。
昼間のウェブ・ポエトリーに唆されて
死にたい気分。
出会いたいんだ
終末論のファクトリーじゃなく
あなたが憐れみを摘み取る
果樹園の下。
コケティッシュ・モナリザ
鏡の前で 目の中に置いた
「なぜぼくは きみに なれないんだろう」
「なぜ くるくるまわる わたしになりたいの?」
あなたなしでは
廃人も
同然。
コケティッシュ・モナリザ
原型は高校か大学の頃に書いて、それを必要最小限に加筆した。
むかしある日突然「コケティッシュ・モナリザ」という言葉が頭に舞い降りてきたので、書いたと思う。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの“Femme fatale”みたいな詩にしたかった。
作者ツイッター https://twitter.com/2_vich