『昔話』

紅蛇 作

※研究のために、複数の人が共同で使用しているアカウントです。作品に感想を入れてくださると嬉しいです。宜しくお願い致します。

紅蛇さんによる作品です。

私は、一つだけ大きな後悔がある。
 これは私が今よりも小さい頃のことである。確か小学生低学年の頃、年は忘れた。
私は幼い頃は今よりも大人しい子だった。そんな私は仲の良い子がいた。名前は忘れたが、そういう時によく使われるA子と呼ぼう。私はA子ちゃんと仲が良かった。A子ちゃんはどのクラスにでもいるような、いじめっ子のような子だった。でもその時、私はいじめだとかのことは知らなかったし、大人もそういう話はしなかった。
 そのいじめっ子のA子ちゃんは3、4人ぐらいのグループでいつも群れていた。私も含まれていたが、私は女の子たちとは誘われたときにしか一緒にいなかった。そのため、時々A子ちゃんに言われて「一緒に遊ぼ」と言われておままごとをしていた。(それほど楽しくなかった記憶があるが……)
 そうしてA子ちゃんには嫌いな子がいた。またも私はその子を忘れたため、B子ちゃんとしよう。B子ちゃんは私と同じような大人しい子だった。物静かで可愛い子。B子ちゃんはよく一人で折り紙をして遊んでいた。犬を折ってチューリップに変身させたり、紙飛行機を作って飛ばしたり。鶴なんかも作って私を驚かせた。A子ちゃんがなぜB子ちゃんのことが気に入らなかったのか私は知らない。きっと知っていたのかもしれない。ただ気がつこうとしなかったのだけなのかも知れない。
 私がB子ちゃんを一緒にいると決まって私に「B子ちゃんと遊ぶのなら私、あなたとは友達やめる」というのであった。「友達やめる」その頃の小さな私にとってはその言葉は重くのしかかった。その言葉を聞くたびに、私はA子ちゃんの元へ戻っていった。でもA子ちゃんの元へ行こうとして振り返ると、いつもB子ちゃんは悲しそうな顔で私のことを見つめていた。ただ見つめられるだけで何も言わない。私も寂しかったけど、A子ちゃんと友達を辞めるよりは平気だった。
 そんな友達ごっこをしていた毎日に、私は母に連れられ可愛い女の子のおもちゃ屋さんへ行った。どんな理由でそこにいたのか覚えていないけど行ったのは覚えている。可愛いウサギ、クマ、ネズミ、イヌ、ネコなどのストラップが売ってあった。どんな動物でもふわふわした女の子らしいワンピースを着ていた。その中で私はあるウサギを気に入った。茶色のウサギでアンティーク調のドレスに白いエプロンを着ていた。私は母にそれを強請った。その頃の私は値段の事なんかは知らなかった。その時の母のこわばった表情で思った以上に高いんだなと悟った。私は諦めずに強請ったら買ってくれた。
 私はそのウサギをカバンにぶら下げて学校へ行った。案の定、女の子たちが私の周りに集まってウサギを可愛いと言ってくれた。私の嬉しい気持ちも束の間に、A子ちゃんが私を廊下に呼び出した。呼び出した要件はウサギのこと。私のウサギをA子ちゃんに渡すことだった。A子ちゃんは私が思った以上に、ウサギのことを気に入ってしまったらしく、欲しくなったのだ。私もその時は負けじとあげないと言ったが、A子ちゃんは私にその言葉を言った。「友達やめるよ」私はもう悲しいのか悔しいのか分からない気持ちになって、A子ちゃんに渡してしまった。その日、母にウサギをどうしたのか聞かれてしまって「落としちゃったかもしれない」と嘘をついたことも後悔している。どうして渡してしまったのか、どうして落としたと嘘をついてしまったのか。嘘をつかないでA子ちゃんにあげちゃった、と言っていれば何かが違っていたかもしれない。
 そうして学期が終わりA子ちゃんともB子ちゃんとも分かれ離れになった。二人は違う学校へいってしまった。
 この話はノンフィクションでございます♡
(女の子って怖いねぇ〜だって男の子たちの方が優しかったもんw)

『昔話』

『昔話』

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-23

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