『神サマの羽根』

紅蛇 作

※研究のために、複数の人が共同で使用しているアカウントです。作品に感想を入れてくださると嬉しいです。宜しくお願い致します。

紅蛇さんによる作品です。

俺は空を飛びたいと思った。だから神に祈った「羽が欲しい」と。そうしたら夢に神サマが出てきた。朝起きると夢通り、背中に真っ白な綺麗な羽根があった。
俺は新しい自分を人々に見せつけるために広場へ行った。人々は俺が「異端人」だと叫んだ。だから俺は「天使」と叫んでやった。そうしたら人々は俺を崇め始めた。
俺は天使となった自分をより他の人に見せつけるために教会へ行った。大きな有名な古い教会であった。そこで俺は十字架の前で、皆が賛美歌を歌っている最中に飛んでやった。人々は驚いた。そうして俺は「大天使」と呼ばた。俺の背中で釘打たれている神サマよりも崇められた。
俺は「この世に現れたホンモノの天使様だ」と教会の十字架ついた屋根へ飛んでやった。
すると背後から「お前はホンモノの天使じゃない」と囁かれた。だから俺は「俺はホンモノの天使様だ!」と怒鳴ってやった。背後からはまた声がして、「お前は噓つき、法螺吹きさ。ホントは人間だったのに」と囁いた。すると羽根がみるみる落ちていった。ヒラヒラ、ヒラヒラ落ちていった。俺は羽根を失くして真っ逆さまに落ちていった。落ちて、堕ちて地面にぶつかった。人々は俺を憐れむ目で見た。「あぁ、可哀想に。天使様が堕ちちゃった。あぁ、可哀想に。羽根を失くして落ちちゃった。これじゃあ天使じゃなくて自殺者だ。あぁ、これで可哀想じゃなくなるね。自殺者なんて天使じゃない!」十字架の上にいるのは悪魔だった。夢の神サマ、本当は悪魔だった。俺はただの可哀想に騙された人間だった。背中の羽根は消え去って、残ったのは血塗れの俺だけだった。

『神サマの羽根』

『神サマの羽根』

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-23

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