諦めと希望の辻
僕たち夫婦は中学の同級生で
共働きをしており結婚して6年目
もうすぐ40歳になんなんとしているけれど
子供がない
僕は毎朝6時に起きて身支度を整え
6時27分と30分と32分に
妻を起こす(まるで人間スヌーズのよう)
32分のとき、妻の寝起きが良ければ
額にキスをする
妻が先に出社するので
そのお見送り時には必ず髪を撫でる
かように睦まじくはあるものの
僕のお給料が安すぎて
妻は僕が転職するまで
不安なので子どもをつくりたくないと言う
そろそろ親族から諦観が滲み出し
畔道ができてきた
けれど僕は今の仕事が好きである
妻も言ってしまえば愛している
わたくしなんとなく楽天的な性格なもので
なんとかなるだろうと
根拠の無い自信で不安を掻き消し
目の前の日々の生活を懸命に
踏み固める
僕は
明日も妻を起こすだろう
諦めと希望の辻の真ん中で
諦めと希望の辻