第8聖記

時は、人と呼ばれるものが、破滅を繰り返して8度目の世界アトランティスと呼ばれる頃、自然の豊かな島で、15歳の少年、オリ・オンと17歳の少女、レイ・オルトの人間の欠陥に気づきた次世代へのメッセージ。

遭遇

レイどこに居るんだい、レイ~。
幼馴染のオリ・オンは森の中で、レイ・オルトを探していた。
レイは、そのころ森の南にある滝の裏の洞窟にいた。洞窟の入り口の両端には大きな獅子像があり眼だけがエメラルドに輝いている。
洞窟の奥には大きな円卓と12客の椅子があり、遥か昔には、賢者と呼ばれる者たちがここに集ったとの言い伝えが残る。
レイにとって、遊び場所になっている。ここには、色んな石板があり好奇心たっぷりのレイには最高の学びの場でもある。
石板を読んでるレイのもとへオリがやってきた。
レイ、またここなの、まったく石板が好きだね。
レイは、石板を手にオリに向かって、今読んでるのは、人間の作り方の方法なんだよ。
オリは、びっくりした顔で人間?、作る?それどういうこと、今でも作られているのに。
アトランティスでは、マザーシステムが確立され。母性愛や父性愛レベル80の人達が子育てをしている。
人間から生まれるのは、極一部の継承者の神官と巫女にしか与えられていなかった。
その継承者が、オリ・オンとレイ・オルト
レイは笑いながら、面白いだろ。人間は作られたものなんだよ。そのなぞ解きをやっているとこなんだけど、大事な石板だけがなくて理解できないだ。
オリ、一緒に奥まで探してくれない。
オリがレイの手を握りながら怯えていいよと言うと、その手を引っ張って円卓の間から賢者の間へと進んでいく。
初めて入る賢者の間は、何処からともなく光が差し込んでおり、辺りを照らしていた。
そこにも円卓があり2客の椅子が置いてあった。二人して円卓の椅子に座り周りを見回すと円卓に石板を嵌めるような場所があり、文字が掘ってあった。
ガン・ル・アイ・アム・ラ レイがそれを見ると石板を探し出す、オリ・エメラルドの石板を探してくれとレイが叫ぶ。
円卓の後ろには、誇りを被った石板が何千枚と棚にしまってありそれをすべて誇りを払いながら探していく。
暫くするとオリがレイ~、レイ~と叫んでいる。レイが駆け寄ると埃に被ったエメラルドの石板が見えていた。
オリがエメラルドの石板をレイに渡すと、円卓に嵌め込んだ。その瞬間、眩いばかりの光を発した。
その光が、オリとレイに流れ込み今が、8度目の人類であること、人間の未熟な部分が世界を破壊してきたこと、人間が未熟である理由が
大きな愛とともに情報として直接視覚化をして見せてくれた。

使命

洞窟より、森の神殿に戻ったオリとレイはそれぞれの家に戻っていった。
レイは、自宅に戻り母親ライにマザーシステムは何故あるの、私みたいに生まれてはだめなの?
母親が、困った顔をしてどうしたの?
レイが、今まで考えていなかったけどなぜ、私たちは、人間から生まれているのに他の人はマザーシステムから生まれて来るの
母親が、重い口を開いていった。私たちには、やらなければならないことがあるから。
又、マザーシステムの子供たちにもやらなければならないことがある。
母親がレイに言った。他者との違いは、違いであって上下ではないことに注意してね。人との違いを、許すことを伝えることが役割なの。
レイが、上下って?
母親が丁寧に説明をしてくれた。人にはそれぞれに得意不得意がありそれにより階層社会を形成してきたこと。
でもそれが長く続くと上下関係に変異していき、そこが人間の未熟なところで自分が他の人より優秀だと思いたくなる。
できない人を軽蔑する。これが、世界が破滅へと進む引き金になることを伝えるのが、私たち、海の巫女なの。
レイは、頷きながら洞窟で見た破滅の幻影を思い出していた。
同じころ、オリも母親サイに同じような疑問を投げかけていた。
母親サイは、物事には理由があってね、何度も何度も失敗して、て今の状態になってるの。
最初、子供はみんな人間から生まれてたの、でも愛情を子供に注げない親が多く愛さえ知らない親もいた
子供を健やかに育てる目的でマザーシステムが構築されたのよ。
私たち空の神官は、愛の重要性を伝えることを使命としているのよ。

現実

アトランティスの首都アトラスでは、総統キラにより各国の同盟を破棄し統治していく政策をとろうとしていた。
機械化が進んだアトランティス他国より圧倒的な科学で国を動かしていた。キラが総統についてからは
神官や巫女たちは、都市より離れた西の果てに神殿を作り移動させて力を削いだ。
以前は、空の神官や海の巫女、陸の民の話し合いでアトランティスを動かしていた。
陸の民が、軍事力を持ちキラにより統率されたことにより他国との戦争に向かっていた。
他国の富を奪うと裕福になる者が多くなり欲が際限なく湧いてくるようになる。それにより他国を蔑視し優越感に浸っているものも多くいた。
マザーシステムで育てられた若者は、アリのごとく戦場へと赴くことになりだした。
そのことに胸を痛めたマザーたちは、密かに西の神殿まで行き現状を訴えに行っていた。
その行動も気泡と化し戦争は始まってしまう。

森の神殿

神殿は、島の最西端に位置し森に囲まれた場所にありそこから森の神殿と呼ばれている。
南には、獅子の谷と呼ばれる。山と森にがあり、そこからの清流が神殿を守るように流れている。
神殿の周りには、大きな洞窟があり清らかな水をたたえている。
神殿には、祈りの間、沈黙の間、開かずの間、がありそれを囲むように生活の各部屋が点在している。
オリは、生活している部屋の窓から見る夕日が大好きで、波音を聞きながらいつも眺めていた。
そんなところに、レイが来て獅子の谷の滝の裏の賢者の間に誘われて行くことになり光を体験することになった。

第8聖記

第8聖記

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-20

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  1. 遭遇
  2. 使命
  3. 現実
  4. 森の神殿