わたしの  すきなひと  わたしの  すきな  かわいいひと

わたしの  すきなひと  わたしの  すきな  かわいいひと

                         





   






    






              「わたしの  すきなひと     わたしの  すきな  かわいい  ひと」


              「わたしは   あなたの   すきな  ひと      あなたの  すきな  こわい ひと」
                        



  







   
  







  
 


                  待ッテイル。



   
                  待チ続ケテイル。



   
                  待チワビテイル。





   
                             (ナニヲ  待ツトイウノダロウ)     (ドコデ   ナニガ   ダレヲ  待ッテイルノダロウ)
                      



  







   
  







  
 


              「やばいほど   おそろしくなったら   にげるからね    かくご    しといてね」


    







  







   




グロテスクな一瞬に   囚われたわたしは   あなたの顔のことが   見えなかった




あなたは   わたしに向かって    少しだけ   頷いたかもしれない  



   
それ以上   あまりに話しすぎると   わたしたちは   なにもわからなくなる



  
わかるという    大切な希望すらも   そこから先は   いつしか   わからない ものになる




あと数時間後までに     あなたが  スパイに変わり    わたしが   バケモノに  変わる




わたし自身と   あなた自身の    このたそがれどきの映像が     ふっと    生き地獄と入れ替わる。



   


  



  







  



   



              「おもしろい   ほど     わらえる    ほど   こわくなってきたね」
   
  




  







  




   




   

                  僕ハ   待ッテイル。



   
                  僕ハ   待チ続ケテイル。



  
                  僕ハ   待チワビテイル。



  
                         君ハ   待ッテイテクレルダロウカ。





                                           (ワタシハ  アナタヲ  本当ニ   待ッテイル ツモリナノダロウカ)        



  







   


  







  


              「あのこ   すばらしく     あぶないから   このひと    ころぶように   うらぎった」   


    







  







   



   
いつか   この受難の映像が   わたしたちに  忘れ去られるようにして  去っていく頃




時が移ろいで   この光景も  峻烈なモノクロームの記憶も  すっかり  消失するだろう



  
そんな   同じような   ある日の   同じような  たそがれどきの  その広い場所で



 
与えられるがままに    行き交う   人々のうちに   互いがむつびあう運命が   生じても



 
わたしたちは  まだ   そのたそがれどき   そこに   その幸福な列の中に   加わっているだろうか




いつか   わたしたちの交錯は   そのとき   この世界の可能性の断片として   残り続けているだろうか。


    







  







   



   
              「いつか   いってみたいと    おもった    たのしいほど    たましい   しねるところ」            


    







  







   



   

                  君ハ   待ッテイル。
   



                  君ハ   待チ続ケテイル。


   

                  君ハ   待チワビテイル。



   
                           彼ヲ   待ッテイルノダロウカ。







                                (ワタシハ   アノヒトデハナク  ワタシ自身ダケヲ   最初カラ   待ッテイタノダロウカ) 
   



    







  







   



   
              「わたしの  すきなひと     わたしの  すきな かわいいひと」


              「わたしは   あなたの   すきな  ひと      あなたの  すきな  かわいい ひと」



    







  







   



   

                  待っている



                  待ち続けている



                  待ちわびている







                               そうして      いつか    



                                        あの人との       このような       




                                               意味を乞い   待ちわび続ける    人生が





                                                                   意味なく        終わる。        




   






    







 

わたしの  すきなひと  わたしの  すきな  かわいいひと

二十歳の頃にノートの断片に書いていたものを、今の自分の感性で書き直した。
当時書いたものは、もっと素朴で美しいものだった。
それを少しグロテスクに、少し怖いものとして描き直した。
この詩は書き直すに当たって、小島麻由美の「私の恋人」にインスピレーションを得た。タイトルも似たものになってる。

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich

わたしの  すきなひと  わたしの  すきな  かわいいひと

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-20

Copyrighted
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