繰り返し繰り返し 3

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何度同じ事を繰り返すのだろう。
「はいはい、わかりましたよ」
玄関開けると2分で玄関、という行為を何度か繰り返し、呆れてキリエは独り言をいう。
豪雨で部屋に雨水が溜まる。玄関を開けると玄関。自宅へ移動すると古い自宅は大穴に吸い込まれ消える。豪雨で部屋に雨水が溜まる。以下略。
という繰り返し。

疲れ果て、キリエは玄関のあがりがまちに呆然と座っていた。豪雨を待ち玄関の扉を開け、新しく出現した同じ自宅へ移動すればよいからだ。体力も消耗せずに済む。
「何の罰ゲームよ」
「異世界ってやつ?」
「バグってるの?」
正気を保つため独り言を呟くが限界だった。涙は出し切りもう出ない。
「ママ…ごめんなさい。疲れたよ。ママの子供で幸せだったよ……ありがとう」
普段たまえと呼び捨てにする母の姿を浮かべ、目をつぶり玄関のあがりがまちに座ったまま動かなかった。雨水の水位がぐんぐん上がり、キリエの体が浮かぶ頃にはもう気を失っていた。

「ただいまー。あらキリエちゃん。こんな所に座って何やってるの?」
母の声だ。幻聴? キリエが顔を上げると、自分に似たショートカットの丸顔の母がいた。垂れた瞳が懐かしい。
「ママ。本物だよね?」
「ママ? 気持ち悪いわね。いつも、たまえって呼び捨てのくせに」
キリエの頬を軽くつねった。
涙が溢れ声を出し泣いた。
「うわっ! どした?」
「なんでもない…なんでもないよー!」
母にしがみつき、わんわん泣いた。

つづく

繰り返し繰り返し 3

繰り返し繰り返し 3

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-17

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