白いネコ

少女は思った


「こんな平凡な毎日に飽きた」と


白いネコは思った


「ならばあなたの願いを叶えましょうと」

「〇〇線電車が参ります。白線の後ろにお下がりください」


いつもの電車、いつもの人混み、いつもの苺ミルク


人で溢れる中にその少女は一人、ぽつんと立っていた。


周りとはどこか違う雰囲気か醸し出していた少女は


この平凡で詰まらない毎日に嫌気がさしていた。


通勤するサラリーマン、学校に行く学生達、どこに行くのかお洒落をしていく女性


毎日毎日、目にする光景は同じで何の変りもなかった


どうしてこんなにも同じなのだろう…


誰か一人事故にでも会えば面白いのに…


少女はそんなことまで思うようになっていた。


電車が滑り込んできて、多くの人が中に入って席に座ろうと


周りを気にせずに押し込んでくる


その中にいる少女は潰されそうになりながらも人の波に流されないように


必死に足に力をいれて耐えていた。


こんな日常無くなってしまえばいいんだ。


少女は飲んでいる苺ミルクのパックを強く握った。


その瞬間、世界が真っ黒になった。


何が起きたかは少女には分からなかった


ここはいったいどこなのだろう?


ふと周りを見渡すと、真っ白な青い目をしたネコが一匹いた。


そのネコはこちらをじっと見ていた。


少女は目を逸らそうとしたが、どういうことなのか目を逸らせなかった


すると少女の頭の中に声が響いて来た


”どうしてそんな不安そうな顔をするの? ”


少女はこの声の主がネコだと直に分かった。


”キミが望んだことだから、ここに連れて来たんだよ ”


確かに望んだことだが、私は戻りたい。


”どうして?飽きたんでしょ?あっちの世界に ”


飽きたけど…この世界に来たいとは望んで無い。


早く私を元に戻して!返して!!


”それは無理。キミはこの場所でボクと一緒にいるんだ ”


”キミはもうあの世界には帰れない ”


少女は走り出した


暗くて果てしない闇の中を走り続けた


頭の中でこだまする声を必死に消そうとしながら。


”どこへ行くの? ”


”逃げたって無駄だよ ”


少女は怖くてたまらなかった。


怖い怖い怖い怖い。


少女の心は完全に恐怖で埋め尽くされてしまった。


走り続けていると、途端に聞えなくなったネコの声に気付いた


やっぱり夢だったんだ…。


少女は後ろを向いて今まで走ってきた道を見た


果てしなく長くそこには沈黙と闇しかなかった


私は帰れる。


そう思い前をみた瞬間、あの白いネコがさっきとは違う真っ赤な目をしてこう言った


” ム ダ ッ テ イ ッ テ ル デ シ ョ ウ ? ”


その途端少女は気を失った。


目を覚ますと見慣れた光景が広がっていた


いつもの電車、いつもの人混み、いつもの苺ミルク


人で溢れる中にその少女は一人、ぽつんと座っていた。


夢だった…?


少女は安心して苺ミルクを飲み干した


しかし少女は気づいてしまった。


飲みきった苺ミルクのパックにはくっきと握った後があった


これ…嘘…。


そして人の溢れる中にはっきりと白いネコがいるのも見つけた


” 逃げられないって言ったでしょう? バーカ ”


頭の中に響いた声と共に、少女は錯乱状態に陥った。


「いやあああああああああああああ!来ないでええええええええええ」


少女は弾けるように逃げた。


少女の向かった場所は、


線路の上だった。


少女の上を電車が通過していった


電車が通った後に残っていたのは血まみれの少女ただ一人であった。


「きゃあああああああああああああああ」


ホームにいる人々の声は次第に大きくなっていった。


その悲惨な状況を見ているのは


少女の返り血を浴びて目を真っ赤にした白いネコだけだった。

白いネコ

どうも!らるるです


ここまで読んで頂きありがとうございました。


いかがでしたでしょうか?


まだまだ未熟ではありますが


これからもっと小説を書いていこうと思うので


どうぞ宜しくお願いします^^


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それではまた小説で会えるのを楽しみにしてます!


らるる*

白いネコ

  • 小説
  • 掌編
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-07-14

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