意識
いつも時を計りながら、
衝突しない確率を探していたが、
直線の交わる地平が、
遥か彼方で、僕には見えない。
チグリス川のウルを掘り返している。
砂の底に、眠る王が風に舞い上がり、
ひどく喉が渇き、錆び付いたオルゴールの
狂った音階の階段を登り切る。
『ここで、待っていた。』
やっと、見つけた。
階段の上に、確かに時計台がある。
その文字盤に刻まれた無限の調和級数が浸食されている。
『もう、忘れていた。』
遠のいてゆく記憶を、
時と名付けたその日に
汝が意識が生まれたことを。
その後、数える力もないままに、
我らは時に支配され、
世にも恐ろしき怪物を生み出した。
もし、何者かを知りたくば、
決して交わらぬ直線の果てより、
汝が意識がこの地点で、留まるがよい。
時が、汝が意識に辿り着く瞬間に、
その者の影を踏むであろう。
意識