短い詩たち

『幸福』

知っていますか?

と彼女は問う

体温はふつう
高いところから
低いところにいくのに

背中どうしをくっつけると
ふたりともあたたまるんですよ


ああそれは 幸せによく似ている

冬を追い越して微笑みをもたらす
穏やかな幸せに

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『引力』

ああ僕たちはいつも
誰かを傷つけながら育ってゆく

誰かを傷つけたことに傷つき
人の心の引力に戸惑いながら

昇るか沈むか迷う
中空の月のように

寄る辺ない真南の夜空で
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『美しい言葉』

そうです

私は感動したいのです

美しい言葉を手にいれて

たったの

たったのそれだけなのです

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『ねだん』

地元で100円のパプリカが
街では230円だった

ある店で6万円のウクレレが
ある店では10万円もした

これが値段というものか

70万円の子犬
膨大な葬儀代

綺麗な商売は少ない

はたしてわたしはいくら

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『笑い』

にやにや、
にこにこ、
くすくす、
ふふふふ、
わははは、
がはははは、

笑いとは
歌と同じく
心の呼吸

かなしみかくして
深呼吸
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短い詩たち

短い詩たち

自作の詩のうち短いものをここにのせてゆきます。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-12

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