「      」

「      」

   



   









   








最近わたしを悩ませるものは「   」である。



   






   






「   」のおかげで食は細るし、咳は止まらないし、煙草は増えるばかり、オナニーはやめられない。眠れず、日夜疲労困憊なのだ。

これというのも、あの「   」のせいなのだ。



すべて、なにもかも、くそ、あやつめ、「   」のあんちくしょうのおかげだ。

しかし、なんたって、「   」なんだからな、問題は手に負えない。



むしろ「   」に関するわたしの疑問と謎は深まるばかりなのである。

いまや、「   」の存在はわたしの人生最大の正念場となりつつある。


   







   







聖書に記録されてるところによると、アダムとエヴァが歌舞伎町のラブホで激しくセックスした結果「   」が誕生した。


その後「   」が有史以降の古文書に出現したのは確か仁徳天皇がピラミッドに入没された宇宙暦2328年である。


その死を悼んで額田王の詠まれた御歌が『ライク・ア・ヴァージン』であったと「   」に記録されている。


イエスが実はピラトの愛人で「   」のせいで新宿SMクラブ“ゴルゴダ”で緊縛プレイを演じた、と週刊宝石が暴露。


それを聞いたヨゼフはマリアが「   」学会に入信したことが原因だった、とアルジャジーラに独占告白する。


「   」の啓示を受けたジャンヌ・ダルクは七人の侍の助けを借りてジオン公国に勝利。


アインシュタインは「   」がリンゴの木から落ちるのを見て『チャタレイ夫人の恋人』を執筆。


「   」にまんまとハメられた織田信長はエルトン・ジョンにもハメられて悶えたと伝え聞く。


この場景をモデルにした歴史小説が「   」R太郎作の『燃えよ肛門』であることは周知の事実である。


「   」を一躍トレンドにしたのは泉ピン子が初代ボンド・ガールを演じたからということはあまりにも有名。


A倍首相は「   」ノミクスという自作自演がお得意で、官邸のメールマガジンから聖教新聞を配信した初めての首相だ。


リーマンショックのバブル崩壊の真相は「   」がソープに通いつめ泡踊りのやりすぎで股関節を傷めたのが原因らしい。


株価が一万円割れを起こした真相は「   」がナスダックに北京ダックを宅配注文したためだったことは関係者しか知られていない。


日本シリーズで栗山監督の「   」というサインを見たイ・ボミはアイアンでスクイズをレフトスタンドに決めた。


「   」にトチ狂ったN尾K二は「新しい国歌を六甲降ろしにしよう会」を作ったりする。


フェラチオの次に「   」を覚えた某家内親王殿下を某宮親王殿下は泣く泣く里子に出すご決意をされたとのこと(極秘)。


ウィノナ・ライダーの「   」という法廷証言を聞いてわたしはサンクスで万引きを(略)


先日上京の折にグーグルマップで「   」を検索したわたしだが、うっかり青瓦台に侵入してパク・クネの愚痴を聞かされた。


「   」に気を良くしたB・ゲイツはロンメル将軍と提携して新型ブラウザ“砂漠の狐”を開発中だ。


「   」にまた気を良くしたゲイツはマイクロソフト社を「昇天」と社名変更するらしい。


先日、ニューヨーク・タイムズを出し抜いて「   」はついにN木坂46が全員処女喪失したとスクープ。


猫ひろしをデッドヒートで追い抜いた「   」は今年度のアメリカGDPをも追い抜いた。


「   」の発表に寄れば仮性包茎を観測されることを恐れて当分火星大接近は見合わされる模様。


「   」をイランに輸出した「ジャパネットさいおんじ」社長西園寺リルケゴールは捜査官ジャック・バウアーに射殺されたようだ。


   







   






以上のように全くもって不可解な「   」であるが、新しい情報が入った。



「   」について、なおさら事態は深刻にしかねないことであるのだが、



なんと実は「   」は「   」であるというのだ!


   







   






その「   」であるが、

昨夜、なんと「   」がわたしの自宅を訪ねてきた。



わたしはこの数少ない機会に思い切って「   」に詰問してみたのだ、

なぜ「   」は「   」であるのかを。


「   」は一言、こう答えた。


   







   






「   」。


   







   






以上がわたしが「   」について知りえた知識の全てであり、

もはやわたしには「   」について語りうる言葉をもたず、

この「   」についての章を終えたいと思うのだが。



おっと、「   」にばかりとらわれて自己紹介を忘れていた。



「   」についての長い駄文をつらつら拙筆させて頂いきましたが、

わたくし、「   」と申します。



ありがとうございました。


   







   



   

   

「      」

2005年ごろがネット上での初出だが、発表媒体を変えるにつれて、そのつど改訂してきた作品。
昔はこういう作品が多かった。

作者ツイッター https://twitter.com/2_vich

「      」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-12

Copyrighted
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