眠り姫と眠り王子
暖かく優しい夢が愛しいあなたの事を包んでくれますように。夢の中でも愛しいあなたの笑顔の花が咲いていますように。そう、祈りを込めて。
ふわり、優しく暖かな夢を、あなたに
眠っている時は何も考えなくて良いから好き。どんな夢でもいい。夢が見られるなら。
愛しいあなたは私の事を【眠り姫】なんて可愛く呼ぶけど、眠る事が好きなあなただって充分【眠り王子】だと私は思うの。だからこれはお互い様、ね?
あなたは私がどんな夢を見たか、目覚めるといつも聞いてくれる。それが嬉しくていろんな夢の話をいつもついしてしまうけど、本当は私ね、見たい夢があるの。
「…ねぇ、今度夢の中に出て来てよ」
そんな、小さくも大きな我儘を私はあなたに言った。
『出れるものなら出てみたいよ』そんな自嘲気味に笑う姿を思い浮かべて、(…あぁ、やっぱり迷惑だったかな) なんて思ったのに、
「じゃあ今夜は眠りの国で待っていて。かならず迎えに行くから」あなたはそう言うんだ。
私の眠り王子はかっこよくて、とっても狡い。迎えに来れる保証はないのに、なんでそんな事を言ってくれるんだろう。保証はなくても、迎えに来れなかったとしても、私はその言葉だけで十分幸せだよ。…そう言いたかったけど、恥ずかしくて言葉の代わりに頬にキスをした。でもあなたは私の伝えたい言葉が分かったみたいに微笑んで、私の頬を撫でながら
「オレも幸せだよ」って囁いてくれて、やっぱり私は幸せ者だと改めて思う。
ふわりとした思考に身体と心全部が包まれていく感覚を覚え、あ、これは夢だ。直ぐにそう思った。
言葉だけの約束だったけど、私は直ぐに【眠りの国 入口】という門をくぐり、眠りの国であなたを待つ事にした。
あの人が来る保証なんてないけど、あの人ならきっと、。そう思うから待ち続ける。
「………おまたせ。オレの眠り姫」
甘い囁きが耳に触れて、待ちわびた温もりが後ろから私を優しく包んでくれる。その囁きと温もりに驚いて身体は跳ねてしまったけど、胸は高鳴っていた。
「…待ってたよ。私の眠り王子」
そう精一杯の甘い声で囁いて、身体を反転させて抱きしめ返す。そして、優しいキスを愛しい唇に贈るの。
目覚めるまであともう少し。目覚めてもあなたは隣にいるけど、いまは、この甘い夢に二人でとろけさせて。
眠り姫と眠り王子
眠る事が大好きな私の想いをぎゅぎゅぎゅっと詰めた作品です。何も考えたくない時、思考を停止したい時に私は眠ります。眠る理由は人それぞれだと思うけど、この作品を読んでくれた優しい方々に暖かく優しい夢が訪れますように。そしてそんな優しい夢に包まれますように。そう祈っています。
最後まで読んで下さって有難う御座いました。次回作もぜひ、宜しくお願い致します。