新しい月

ローズウッドの森で
妖精に出会った
ココボロの実を通貨にし
ブビンガの言葉を話す
彼らのマホガニーの家は
乾いてよく響く
ブラックウッドの槍と
エボニーの盾で
ハカランダを奪い合う

妖精は叫んだ
「お前の音色をきかせろ」

下弦の月と上弦の月を張ったギターを
僕は掻き鳴らす

いつしか妖精は絶唱する
「レッドシダーの海
アディロンの草原
シトカの運河
イングルマンの谷で

お前の音をきかせろ
神々の音色をきかせろ」

掻き鳴らし過ぎたのだ
月の弦が切れて
宴が終わる

朝が始まる

陽が昇る音が
聞こえる方角へ
妖精は名残惜しそうに去る

新しい月を
ふたたび手に入れるために

新しい月

新しい月

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-09

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