いまというときに

ひとの 一瞬の感情は
さまざまな ときをかけて
どこかに導かれているのだろう

また会える
根拠もなく そう思って
なんとなく おざなりにした挨拶や

どうしてか
行ってらっしゃい の ひとことが
喉につまったまま 言えず
寂しそうな背中を見送った あの日が
永遠の別れだったのだと
ふとある日に気付くように

また 会える
また この場所にこれる

そんなような
同じ日々が続くだなんて

どうして信じることができるだろう

だれが信じることができるだろう


当たり前に在ったものが
突然消える

それが、
存在する
ということの意味で

最も自然なことなのだ と
理解して生きていくことのできるひと

そんなひと どこにいよう

またね
の挨拶が
わたしはきらいだ

また なんて
来る約束は どこにもないのに

毎回 さようなら と
別れるほうが
消えてしまったときに
受け入れることが容易いのではないか


今日はなんだか いいや

そう思うことを 許す自分もきらいだ

今日の気の緩みが
もしかしたら

なにかを永遠に失うことになる
ということを
わかっていなくては いけない

今日はいいや は
いかなることも 過ちだ

明日がくることなんて
約束されていない

自分にも
他人にも

今日の気持ちは
いまの感情は

今日使い果たすべきだ
いま伝えるべきだ

そうでないと
くるしい

いまというときに

いまというときに

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-12-01

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