涙は笑顔
1-1転校してきた彼女
教室が騒めく中、一人の女の子がこの教室に入ってきた。僕は、昨日聞いた転校生だと気付いた。それと同時にチャイムが鳴った。部屋に居る皆んなが席に着いた。五分が経過した頃、扉がガラッと開き、担任の先生が入って来た。先生は、転校生を呼び、黒板の前に立たせた。「自己紹介をして下さい。」と、先生が言う。だが、転校生は恥ずかしがっているのか、喋ろうとしない。すると、先生が「初めてなので仕方がないですね。」と言い、先生が転校生の名前を言った。「この子の名前は、水野美琴と言います。」「仲良くしてあげて下さいね。」「美琴さんは転校を繰り返していて、生活にも慣れていないので気を使ってあげて下さい。」と言い、先生は僕の隣の席を指差した。すると美琴がこっちにゆっくり歩いてき、席に座った。僕は囁き声でこう言った。「よろしくね、美琴。」だが、彼女は振り向いてもくれず、そのまま授業にはいった。僕が囁き声で喋ったので聞こえなかったのか?と、授業中になんども考えているうちに授業が終わり、チャイムが鳴った。僕は友達が少なく、いや、居ないと言った方が正しいだろう。なので授業後は特にすることが無く、ただ本を読んでいた。隣に座っている美琴も、棚にある本を持ってきて席に着き、本を読んでいた。彼女は仕方がない。転校してきていきなり友達が出来るわけがないのだ。彼女は二、三日もすれば友達が出来るだろう。と思った。僕は彼女に聞きたいことだらけだ。だから僕は思いきって彼女に聞いた。「どうして転校ばかりしているの?」すると彼女は、「父親の仕事の都合。」と言った。転校生なら誰もがあり得る理由だ。「へぇ〜、そうなんだ。」と、僕は答えた。彼女は本へと集中したいのか、すぐにプイと下を向いて本を読み始めた。僕は他にも聞きたいことがあるがこれ以上は迷惑かと思われるのでやめた。そして学校が終わる頃、僕は学校の門から出て、そしてゆっくりと歩き始めた。すると後ろから足音が聞こえた。振り返るとそこには転校してきた彼女が居た。僕は、「帰り道こっちなの?」と聞いた。そしたら彼女は、うん、とうなずいた。何も喋らないまま僕達はそのままゆっくりと歩いていた。僕はさすがに気まずいと思い、何か話すことは無いかと必死に考えた。すると驚くことに彼女から声をかけてきた。「どうして私にそんな気を使ってくれるの?」と言った。僕は「だって先生が気を使ってくださいって言ってたじゃないか」と言い、彼女がこう答えた。「他の学校にも転校してけど皆んな私をいじめてくる。」と、彼女がそう言った瞬間、車が突っ込んできた。僕は彼女が危ないと思い、彼女をぐっと手で引っ張った。「はぁ、はぁ、だ、大丈夫?」と僕はゾクゾクしながら彼女に聞いた。「うん、大丈夫だよ。」と、彼女が答えた。僕はそれを聞いて心からほっとした。
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涙は笑顔