厳戒態勢ベッドタイム・クーデター
たった今から
きみを好きになる
きみと寝るよ
寝た後もそこにいよう。
きみと これから みだらに愛し合うんだ。
さんざん求め合った後も ずっと きみのベッドで生きてくつもり。
きみが眠っていようが かまやしない。
毎日は
本当に 退屈だからね
悲惨なほど 退屈だからね
殺し合うほど 退屈だからね。
だからと言って さ、
きみのためだからって
真っ当な人間になったり とか、
吐き気もよおす B級ファッキン予定調和なアメドラの
道化で チンケで メロウなクソ二枚目を
演じたり とか、
できないもんね。
ロマンスの花束なんて
途中のバス停に忘れた、
きみに すべった ぼくは
心を求める 一頭の動物
夜のとばりを 引き裂いて、
きみが磔りつけにされた屋上を 襲撃する。
こんな リアルな言葉が告白を殺戮していく、
最後の物たちの世界から、
きみをを そっくり強奪する、
ベッドタイムのクーデター そんな詩の見えるどこかの反乱ゾーンへ、
陳腐なまでにぼくのスイートな詩をちりばめたホテルのシーツまで、
逃げろや逃げろ、
どこまでも。
こんな二人の成り行きが、
悲惨な二体の骸を呼ぶならば、
小指を絡ませ、落ちていこう、
物語を抹殺する その救いのない物語のまっただなかを。
息が完全に絶える瞬間まで
命がけで 魂を突きつけよう
こんな子供じみた遊びの おバカな 屍骸で、
こんな儚い時間に ノン と告げる気持ちの気高さで。
いつか
二人を分かつ、
死とかいう メタファー
宿命とかいう トラップ
そんな
ありきたりな、
アンポンタン野郎、
に、
むかって、
さ。
愛に
愛したんじゃなくって、
厳戒態勢の 人間たちの中から
あの日 誘導兵器を背負わされたように きみに着弾した。
ふら ふら しながら もうすぐ 真っ当な正気を捨てる
むやみにはしゃぐ ぼくは 悪夢のお子様ランチ地帯で 鼓動しながら 甘っちょろいモルヒネ か 腰砕けのヘロインになる。
まもなく だまされて 連れ出される
だれかが 呼び出して 命じようとする。
本当は心臓の弱い ぼくだけど
時間を、
待たず、
勇気を出して、
告げておくよ、
そんな 奇跡 のような 乳房の 先、
小刻み な 震えの 指 で、
ちょこっ と だけ、
臆病に たどりながら。
「 狂っても、殺されても、ぼくはきみの方がいい 」
クールビューティーな きみは 聞こえなかったように こう答えてくれるのさ
「 ふうん、そう? 」
厳戒態勢ベッドタイム・クーデター
大学の頃に書いたものを大きく膨らませて書き直した。
Talking Headsの“Girlfriend is better”をイメージして作った。
最後の三行が言いたいための作品。
男の子の頭の中は切羽詰った焦燥感でいっぱいなのに、女の子はたいしてそうでもない。要するに僕自身のこと。
作者ツイッター https://twitter.com/2_vich