繰り返し繰り返し 1

また朝がやってきた。目覚めなければいいのに。
キリエは枕元のスマホを確認すると、まだ早朝だった。もう夏が近いのかカーテンの向こう側は薄ぼんやりとしているが、明るかった。
水の中はこんな感じだろうか、とグレーに染まった部屋を見渡した。
きっと今日もスマホの中身は同じだ。
SNSには嫌がらせが発信されているだろう。
今日も明日もあさっても、繰り返し繰り返しキリエの悪口が書き込みされる。
書いている奴はクラスのボス的存在の、豆撒マキ。マメマキなんて浮かれた名だが、とんでもなく性格が悪い。ラインの返信が遅いという理由でハブリが始まったのだが、きっかけは何でもいいようだ。

うっぷん晴らしの相手の順番がキリエに回ってきただけのことだ。
着信だ。
いつも一緒に行動する絵麻だ。
「おはよー今日休まないでね」
毎朝同じメッセージ。コピペだろう。
キリエはスマホを投げるように置いた。

「あたしが休むと休み時間とかお昼ご飯の時間に、ボッチになるからでしょ」
キリエは毒づいた。
要は、私はボッチ対策要因なわけだ。とんだ底辺高校だ。
「うぜー」
つぶやき起きた。二度寝する気にもならなかった。
「たまえー」
トイレを済ませ台所へ行くと、母親のたまえが弁当作りをしている、はずだった。
いない。
「たまえー」キリエは母親の名を呼び、部屋の襖を開けたがいない。風呂場にもいない。
六畳二間の借家だ。他に探しようがない。母子家庭だから母親の他には誰もいない。いたら怖い。
「どこ行ったのよ」

つづく

繰り返し繰り返し 1

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-11-28

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