◇スギライト◇
「ずっと一緒ね」
絡まった赤く甘い笑顔、俺はその笑顔に魅了されそうになった。ブラックベリーをいただいているような感覚に陥るのはどうしてだろう。
奏美の甘い笑顔に飲まれる俺は殺される寸前。
迷宮回廊と呼ばれる俺の屋敷、屋敷から俺を見つけ出したことから、好きがゆえに探せたんだな、と……。
「奏美、その包丁から手を離して」
当然離すわけなんてない、それを知ってて言う俺もあれだが。
「……なぜ離さなくてはならないの」
「殺されたくないからだ、あぁ!やめてくれ!」
誰もいないこの屋敷の中で、悲鳴をあげたのだ。愛人の奏美に殺される恐怖に。
やめて欲しくても彼女はおかしい。
包丁を舐め、完全に殺しにかかる。
「貴方の好きな彼女と逃げてたら……
殺めるつもりなんてなかったわよ」
奏美の、黒い、悲しき暗黒の涙。
泥まみれの汚い涙が頬を伝うのだ。
「私の唾液で満たした刃で殺めてあげる。
もう手遅れよ、あはは」
奏美は、思いっきり……。
俺の身体を包丁で八つ裂きにした。
血塗れになるのはもう、すぐの話。
始末のきかないくらい、汚れた床……。
サスペンスという名の結末─────。
「死のうとは思わない。貴方の骨壺と私で
一緒よ。私、生きてる貴方嫌い」
……こんな冷たい一言浴びるなら、余計に死ねれるわ、俺。
奏美、最期になるのも一瞬だな……。
「じゃあね、業火に燃えし男」
反撃する気力もないくらい、彼女に八つ裂きにされていたみたいだ。
反撃する気力があるなら、俺も殺めていた。
愛する気もない、奏美の息の根を止めるつもりだった。
でも……無理だ。
永遠の眠りと安らぎに導かれるほかない。
静かに、ただ、目を閉じる。
ありがとうともいえない彼女に殺された。
今カノの、みなつはどこに。
みなつも、消えたのかな……あぁ……。
涙を流しながらこの世を去った俺は、奏美のモノになる悲しい運命──────…。
終
やっぱやめた 未完
「君、とっても可愛いけどさ、おれの好みドストライクってわけじゃないんだよね。……それでもつきあいたいならおれの玩具になってくれないとね」
夕日に染まる空き教室、ずっと好きだった男子に告白したらそんなことを言われた。
かなりショックだ、ショックとしか言いようがない。
でも、好きになって好かれたいなら奴隷になるしかないのかな。
「……なります、よろしくお願いします」
「いい返事だね、おれはそんな子嫌いじゃないよ」
金髪に、アクセジャラジャラ。その手で頭を撫でられるのは幸せ。
「じゃあ、今日は僕の家に来てもらう。いいね?」
「はい……」
体を撫でられて、ひやりとした感覚がある。
撫でられて少し、怖くなった……。
でも、奴隷になれた嬉しさはすごい。
「おいで、じゅりあ……」
大きい手でイリヤ君のお家まで導いてくれるんだ。幸福と嬉しさは二重三重にも重なる。
「ふふ」
手の甲で、笑う口を塞ぐ。
可愛らしさを見せたつもりもなくただ自然に。
「その笑い方は弱々しいね……守りたくなるや」
「えぇ……」
「そんな笑顔見せられるなんておれは幸せだなぁなんて」
彼はそんな笑顔ひとつで幸せで居られるのか、って。
「おいで、楽しもうよ」
導かれるその幸せに、幸福感を添えて。
私は彼の家にドキドキしながら行った。
「いらっしゃい、ここがおれの家だよ」
手で家をさす彼、目の前にあるのはちょっと洋館っぽい。
「わぁ、お邪魔します……」
ドアを開けて、エスコートをする彼はまた紳士。
中に入ってまた2回目のお邪魔しますを言った。
「言い過ぎ、1回だけにしろ」
急に態度を変え、私の眼を睨む彼。
もう接してくれるだけでも、言い方酷くても萌える。
「はぁーい」
奴隷のつもりらしいけど、私からしたら彼は子犬みたいで立場が逆転している。
なんか、命令されるのもいいけど、この子は子犬だ。
「じゅりあ、珈琲お願い」
リビングでソファに座って、ドギマギしていると次の命令がやってきた。
「はい」
「ドリップコーヒーね、わかった?」
「はい、了解」
ドリップコーヒーを探すが、スティック型の紅茶や抹茶やらでドリップコーヒーはドコに隠れているのやら。
「……あれー?」
「どうしたの?」
どうしたの?って鼻につく甘い声で聞かれるとまた緊張する。
「無いの。ドリップコーヒーが」
「そっか」
この役立たずと言われるのか、少しひんやりしながら居たけど彼は何も言わなかった。
「確かにこんな大量のスティックでは分かんないよね」
「そりゃあ分かんないよ」
「ありがとう、じゅりあを騙して申し訳ない」
可愛くて言葉悪くて少々ゲスで、ちょっぴり辛甘くて……
私には好みだけどオレの好みじゃないって言うのはどういうことかな。
まだわかんない。でも、奴隷になれるならまだ嬉しいわ。
イリヤ君は素早くコーヒーを入れてくれた。
テレビを見る私の隣に座るイリヤ君にちょっとだけドキドキした。
「……どうぞ」
「ありがとう」
心臓を射抜くかのような、この感覚……
イリヤ君は微笑んでいる。
目の前のテレビにすら注目出来ないのが自分的にはやだな……
乱されるというか、その笑みは恐怖を植え付けるかのような。
ちょっと時間が立てば、彼はスマホを出した。
さすがにプライバシーがあるから覗いたりはしないけどさ……。
でも、いやでも画面が目に入る。
そのサイトは、出会い系だから……。
「じゅりあの彼氏が出会い系やってるよ。これはどうかな?嫌?」
彼は突然にしてそんな事言うのだから。
「い、嫌じゃないです」
本当はやめて欲しいとは感じるけど、彼の勝手だから私の感情を混ぜては行けない……。
「本心、言ってみ?」
「だから、嫌じゃないってー」
「じゃあ、ここに女呼んでも良いんだ?」
「それはだめっ!」
いくら私が大人しくてもそれは嫌だ。
イリヤ君をモノにしたくなる衝動と重なる。
「やっと本心言ってくれた。じゃあアンインストールっと」
「じゃあ、アンインストールする画面見せて!」
「お?えらい懐いてるね。じゃあ良いよ」
証拠として見せて欲しい、やっぱこれはカレカノになれた嬉しさから来たのかな。
仮なのにね……。
彼は文字通りアンインストールしてくれた。
本当にアンインストールしてくれたのが、ちょっと信じられないけど。
遊びじゃないのかな、これ……
「またインストールしようかなっ」
それを私に聞こえるように言う彼もまた意地悪で。
「もうしないでよーふふ」
もうしないで、とかだったらキツく感じるかなとか思って。
「うん、しないよ」
奴隷とか玩具とか言われてるけど、なんか私の気持ちを確かめさせられている……?
まさか、試しているとか無いよね……。
「そういえば、コーヒーまだ飲んでなかったんだね」
「ん?あ、いただきます」
確かめさせられてる?
愛を認証させられている?
気持ちを確かめさせられているの?
何かドキドキ診断みたいな……。
「おいしい?」
甘くて、ミルクコーヒーって感じがするわ。
「うん、最高」
一瞬、高級牛乳かなと妄想したけれども。
「……良かった。君を招いて良かった」
「わぁ……ふふ」
そう言われると特別感を感じてまた心臓の音がヤバくなる。
イリヤ君はコーヒーを置いて、私の体を起こして抱きしめた。
「最高の彼女だ……」
耳を通る、この声は嘘か本当か。
すっと耳を通る声は真実か?
「え……本当に?」
クリアに聞こえても、ああ香水の匂いに嗅覚が働く。
「うん」
私が懐くように仕向けているの?
私はまだ、答えの分からない感情に溺れているのに。
イリヤ君と過ごした時間は謎のままに処理された。
「……じゃあ、帰るね」
「うん、バイバイ」
そう言って、明日はどうなるかなとドキドキしていた。
地味な男子より、イリヤ君のほうが当然魅力がある。
明日起こる出来事に変に期待する。
とりあえず明日、どうなるかなって。
ただ普通の1日になるだけだよね。
そして、翌日……
「じゅりあ、告白したの?」
「うん」
友達のまつ子と、ツルミ。
「どうだったんー?」
「なんか好みじゃないらしくて、オモチャになれって言われてなっちゃった」
私はどうしてもイリヤ君が好きだから、オモチャになりたかったんだ。
「それひどない?」
「闇愛だわー」
「……え。私どうしてもイリヤ君が好きだから。服従しても良いくらいに好きだったの」
「マゾやんか」
「もう……男見る目無しって言っても過言じゃないわ」
ツルミとまつ子が一体になっているみたいで傷つく。
闇愛って言ったら闇愛なのかもしれない。
端から見れば本当に……
「ちょ、このふたり見離せないよっ」
「わたしも」
まつ子とツルミは恋愛マスターにでもなったつもりかいっ!
「じゃ、恋愛頑張ってねー」
「きゃあもう頑張りたくないっ」
頑張る気ゼロだし、そもそも恋愛は頑張らなきゃ行けないものなんだ……?
ラブソング程美しい恋をしたことがないわ!
「おはよう、じゅりあ」
窓から囁かれる、イリヤ君のボイスに顔を赤く染めてしまう。
今日もアクセジャラジャラだ……
理想の王子様は居ると思うの
「……やっぱ、理想の王子様ってね、居ると思うの」
机に突っ伏して、言い放つリル。
男の理想論を語る2人。
理想論はあくまでも夢で。
「あぁ、そうだねぇ」
リルの前に居る、アユは携帯ばかりいじってて、聞いてんの?って思う。
「アユは、理想無い?」
「理想?あたし?」
……そう聞かれては惑うアユ。
携帯をいつの間にかしまって。
「……いや、男に希望と夢はないわ」
「えっ、なんで?」
アユは私の机で頬杖をつき、ハハと笑った。
「失望の入り混じった生き物だよ、男はね」
男を馬鹿にしたような言い方だなぁとちょっと感じてしまった。
「理想を並べても、会えるとは限らないわ……」
目を閉じ、首を振ったアユ。
微笑が、私の夢と理想を壊していったのかも知れない。
「……自然な出会いも、夢を見るのも、妄想するのも良いと思うわ」
携帯いじってたアユは飛びつくように大人になって。
「リル。あたしも妄想して理想論つらつら並べてるからさ」
大人っぽいアユが、理想論つらつら並べてるのは、違和感よりはびっくりだ……。
「えー、理想論ってなーに?」
「ふふ、それはね」
目をギラつかせる私。理想と期待が混じり合う。
「あたしは、執事とかそういう系が良いわ」
「……そうなの」
ニコニコしてるアユは何だか分からなくなる。
「リルは何求めてんの?理想と男」
「私は……浮気しても許してくれる男子と、とか」
そういうのも、夢見てるんだけどね。
アユが、驚いた顔してるや……。
「えーっ、ちょっとリル?夢見てんのそういうの?」
「そんなん見てないもん……」
アユは爆笑し、それもう夢見てるからと言った。
「夢と理想に溺れないようにね?出会いとかめったにないし」
「ね、年収ある王子様とかっ!」
両手を合わせ、ウィンクするリル。
「……はぁ、もうそこらへんの女子が見る夢だね。自分で稼げ」
「アユはひどいねー。夢見させてよっ」
「玉の輿に乗っても、金銭感覚狂いそーだね。
恵まれてるよね?玉の輿ってさ……そんな気がするんだけど。まさか、玉の輿の乗り方の教科書があったりして!」
玉の輿の夢をズタズタにしないで……!
アユ……!
「う、うぅ。正論じゃないっ、それは何だ!」
「うらやましいなって事」
もう、本当に!アユは……
「よう、お前等2人」
この声は、東慶(あずまけい)だ……。
「慶、どうしたの?忘れ物したの?」
「あーうん」
そう返し、一瞬で忘れ物を取り、教室を飛び出した。
「今のは、好き?東慶」
現れたからって話に出さないでよ……。
「えっ、なんでそうなる!」
ごめん、全然理想じゃないや。
「……もう、夢に現れた男しか見てないなー?リル」
白いタキシードを着た男性が良いよ。
私の中(脳)で蠢いているの。
「おっさんが好きでしょ、リルー?」
「んなわけないよ……」
アユは人差し指を唇に当て、にやにやした。
「この際言っちゃいなさい!ね?」
「もー、分かったよ」
目を閉じ、言う決心をする。
……行くか、行かないか。
いや、友達だから言っちゃおう。
「私の頭の中で居るのは白いタキシードを着た男性、髪は後ろに結っていて、私を抱きしめてくれる!」
「……」
黙り込む、アユ。
数秒後に、アユは吹き出して。
「痛い妄想だなぁもう……」
「ですよねー」
アユはフフンと笑い、ノートを出し、紙をちぎった……。
「そんなリルに良いものをあげる」
「えー、何ー?」
アユの手の動きでは分からない。
全然、分からないよ。
「はいできた」
そう言って渡されたものは、相合い傘の紙でした。
左には、春日井リル
右には、東慶と言う名の王子と書かれていた。
「……おい……アユ、なんだこれは……」
ぐしゃと、丸めたリル。
「プレゼントだよー、じゃあね」
「もう、アユー!」
「うふふー!」
痛い妄想を、殺したのは東慶の存在でした。
終
記憶喪失と生死の境目~私、皐月うみ~ 未完
あと何回でこの闇の生活を終えることが出来るの?
私は辛くて涙が出る。毎日をゴミのように送り、悲しい思いをしながら、日々を送る。
「うみ、起きて」
「……う」
皐月みうが私の名前。
また昨日もゲームをしてしまった。
「ねぇ何時に寝たの?」
「3時……」
今日って何曜日だっけ、今日は何があるっけ。
私には分からない、もうゲームだけで現実狂いしていたのだ。
「休みたい。だめ?」
「だめに決まってんでしょ……行きなさい」
お母さんも、やってるんだ。
廃人になりかけない、このゲームを……。
まだ過疎には程遠い、人もそれなりにいる。
だめだ、頭がぼーっとする、精神が痛い。
休みたくて仕方ないよ……!
「ちょっと遅刻してから行く」
「えっ……」
「本当ごめん」
体は痛い、重い、こたつでまだ寝ていたい。
寒いからでもあり、行きたくないからでもある。
休んだらまた休みたくなって、癖になるんだ。
私は現実が見えない、もう目の前の友情ですらどうでも良くなる。
友情に恵まれない私は、楽しさには恵まれているなと感じる。
いや……恵まれてるのはあいつら、(女子)か。
私は何も分からないまま、9時半まで寝た。
こんな苦しい生活を送るくらいなら、ゲームなんてやるんじゃなかった。
「さぁそろそろ準備して」
「分かった」
眠ればすごく気持ちが良い。
精神の安定になるから……。
また、廃人の波に溺れていくんだ。
遠い昔の彼の存在、ひなつは何処に居るのだろう。
探す術も見つける余裕も今は無くてただ、私はさまようばかり。
ひなつをどこかで探している。
今日も友達に話しかけられることなく、涙を流す日々の始まり。
私は少人数クラスに在籍しているけど、今年は先生が酷い。
私は算数が駄目、国語はまだ良いのか悪いのか。
算数の時なんて問題をとくうちに分からないとこが出てくる。
それで先生に言って伝えたが、
「自分で考えな?よく読んで」しか絶対に言わなかった。
それがどんなにつらかったかあの人には分からないでしょうね!
あの人にはいつも、私はこう思ってた。
なんであなたは教師になれる資格を持ってるの?
なんで?
解いたら解いたで間違えて怒る癖になに?
あんなにしてたまに優しくは反吐が出る。
あなたの解いたら解いたで間違えて怒る癖のせいで、私は辛い。
間違えるの、怖くなったのよ!
テストは除くけど、怖くなったのよ!
間違えたら何か言われるんじゃないかという不安がつきまとってしまった。
……本当にどうもしてくれませんよね
ゲーム廃人生活習慣病で、合わない教師。
もうそれをお母さんには言わなかった。
あの時はゲームが大事だったから。
算数にはワークがあるのだけどね、本当に分からなかった。
解く気さえも目の前の文字も分からなかった。
ワークには「上・下」があるけど結局、上しか進まなかった。
下の内容とかまったく知らない。
分からないまま、中学に進んでったってのは、ありえなさしかないわ。
先生、今もあなたが恨めしい!
嫌いっちゃ、嫌いですよ。
生意気言いますが、泣いて謝ってください。
トラウマを植え付けるかのような言い方は嫌い。
でもやっぱ、非がある。
私にも……。
何で伝えなかったのだろう、と。
どうして言わなかったのだろう?と。
芽生える後悔に、答える隙や意味もない。
あと、少人数クラスには少々嫌な感じの男がいる。
そいつは、一応仮名で田中と言うことにしとこう。
あーあ、昔一緒に居たひなつが居れば今も幸せだったのにね。
どうして居なくなったのかな、またあの日に帰れたら良いのにね。
まぁ少人数クラスでは1組、2組があるのだが、そいつは2組で私は1組。
「……げっ、こいつとかよ」
そいつは私の前で思いっきりそんな事を言うのだから。
「嫌やわ」
負けたくなくて、私もそう言うことを言う。
そいつは2組で授業を受け、私は1組で、別々に受けてる。
たまに一緒になることがある。
そいつは嫌味を言うし、席につくときもまた言う。
「……げっ、そこかよ」
なんでわざわざ嫌味を言うのかな?
「何?」
睨んではまた、くるしみの波に溺れ……
嫌味を言われ、泣きそうな心を封印しながらも……。
一緒に授業を受けるとき、算数のワークを見たら田中とは一目瞭然で進みが違う。
「まだそこ?」
「だからなに」
田中とはうまくいかない。
嫌味の一種にされ、仲の良さとかはない。
こんなんと一緒は、さすがに萎える。
「ほらーはよ追いつかんと」
大嫌いな先生が私に何か言ってる。
「……」
先ほど出てきたが、仮名は相川先生で良いかな。
これもまた嫌味だよね。
あの人は今教師をクビになってるのかな?なってたら笑える。
あざ笑いの一種にしてあげるよ。
そして私はまた授業中ぼーっと座る。聞いても同じ事しか言わないのなら、座っておくよ。
「……やれよ」
隣の田中からの嫌味。
「わからんし」
「考えろよ」
またそれも……嫌味なんだろ?
私をどんどん破滅させゆく存在。
辛いので異世界に逃げ込みました 未完
辛いときにこっそり書いた日記。
私はこの日記を見るたび、悲しくなる
この日記を見て、あの日を思い出す。
いじめられたあと、汚れた制服の部分を思いっきり拭いたというとこ。
「……」
サッサッと言う繊維の音。
無惨に引き裂かれたスカーフ。
ふつうの生活を送れる人は恵まれてるんだね。
ほら、階段を通るときのこのすれ違い。
痛い
◇スギライト◇