天井と想像とエトセトラ

春生志乃

僕はベッドに横たわり、冴えている目で天井を見ていた。
初めは目が慣れていなくて天井が見えなかったが、徐々にその姿が見え始める。
もちろんそこには天井以外に何も無い。
もしそこに目に見える個体があったとしても、それは恐怖だ。
僕はそんな天井に向けて色々な想像をした。
良い言葉で言えば想像だが、悪く言えば妄想だ。
最初に想像したのは彼女とデートする様子だ。
もちろん彼女など居ないのだが、自分のタイプな女の子をイメージしてその子とデートをする。
ショートカットで身体は細く、けれどそんな腕で僕にくっついてくる。
そしてデートは終わりを告げて僕の家に二人で帰る。
その後は、どうだろう。
なんと素晴らしい事だ。
僕はどんどん目が冴えてきて、興奮紛いの息遣いになった。
駄目だ、このままでは余計眠れなくなってしまう。
ならば逆に気持ちの悪い事を想像して、具合が悪くなれば眠れるだろう。
そうだ、彼女の所に後輩を当てはめよう。
後輩は同性だが眠るためには少し彼の顔を借りることにしよう。
後輩はデカイから僕の腕にはくっついてこないし、ましてや同性ならば手を繋ぐこともしない。
彼女と入るのはカフェだが、あいつと入るのは安い焼肉屋だ。
彼が肉を素早く焼いて僕が食べる。
お腹いっぱいになってそのまま僕の家に行く。
その後は、ゲームをするだろう。
僕は想像したがそれは気持ちの悪いものではなかった。
デートと言うより遊んでる感覚だった。
自然と遊んでる情景になってしまった。
気持ちの悪いと言うより遊びに誘おうと思ってしまって、余計に楽しみで眠れなくなってしまった。
「うーん。なかなか上手くいかんな」
僕は一人でぶつぶつ呟いた。
なんだか先程より明るく感じたので外を見ると、外が明るくなっていた。
また今夜も眠れなかった。
僕は起き上がり携帯を手にとって電話をかけた。
数回コールした後、出たのは後輩だ。
「今日の夜飯行こうぜ」
後輩は無言だったが電話の向こうから威圧を感じた。
そしてはい、とだけ言って電話を切ってきた。
やはり友人関係は楽だ。
「しばらく彼女は出来ないだろうな」
ため息をついてまた天井を見た。
そして僕は手をグーにして天井に突き立てた。
「彼女よすぐ迎えに行くぞ」
今夜も想像は止まらなそうだ。

天井と想像とエトセトラ

天井と想像とエトセトラ

眠れない僕は天井をみて想像する。 すごく短いお話。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
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