代わり雛【エピローグ】
この家に住んで、この奇怪な現象が起きたのは、無知で情け知らずの自分が犯した過ちからだった。
貧乏神のようなジィジィーと格闘の末、金縛りから解放され安心して眠りに就いていた。
暫くすると、夢の中に見た事のない三人の男が現れた。
【第一話 鏡】【エピローグ】
長く人生を重ねて来ると、誰にも同じ様な経験を見る事が有ると思う。
昨晩見た夢と実際にあった出来事が、同じようで無い様な出来事が・・・
『こんな場面があったな』と記憶を呼び戻そうと考え込む事が何度かあったと思う。
私は、仕事疲れや、飲む、打つ、買う、の天国と地獄を行き来する、遊び疲れで寝過ぎてしまう事が殆どだった。
すると、朝、訪問者が来ていないのに、急に玄関のドアーホーンが『ピンポン~』と鳴り出した。
『あれぇ!誰が来たのかぁ!?』と起こされる時がた度々有った。
そして、驚いて目が開き柱時計を見ると、普段より1時間ほど寝過ぎていた。
『あっ!いけねぇ』と慌てて飛び起きた。
そして、トイレに入り、軽く歯を磨き、目の周りだけ顔を洗い、パンにバターを塗り、安いコーヒーを飲んで、家を飛び出して遅刻せずに済んだ。
得意先から帰宅して、深めの湯船に浸かり温度を熱めにして、一日の疲れを取った。
そして、夕食のつまみで一杯飲み、お気に入りのTV番組を観ていた。
すると、ダブルの鍵が掛かっている玄関のドアが、音もなく開いたような気がした。
そして、リビングからく曇りガラスのドアに目をやった。
すると、同居人はいないはずなのに、誰かが帰って来た。
しかし、其の顔のない人物は、人間の目では無い巨大な二重、三重の渦を巻いた大きな目をしていた。
そして、私と目が合い、何も言わず二階に上がって行った。
『誰もいないはずなのに』と不思議に思った。
同居人ではない、誰かが住んでいるのは、薄々感じていた。
しかし、悪霊とは違い、良い事もなければ、災いが起こる気配がないので黙っている。
一日多忙で疲れていると、寝苦しい夜中に金縛りに遭った。
そして、魘されて、大汗をかいている事が何度もあった。
また、疲れすぎると、掃除機雑巾掛けキッチン清掃ガラス戸拭き観葉植物の水遣り家の事など何もしたくなくなった。
しかし、天気の良い日は布団干しと洗濯だけは、身だしなみとして洗って干していた。
そして、トイレの神様が住むと言う、トイレ掃除もせず黄ばみがこびりつき汚れたままにしていた。
すると、夢中で便器の中から男が出て来て襲いかかって来た。
そして、殴り合いになり叩きのめしていた。
また、夜中ぐっすりと寝ていると、明け方4時頃、突然名前を呼ばれた。
『キミオ』と女の声だった。
『誰か来たのかな!?』と目を覚ました。
しかし、夢を見たのか闇の中には、何処にも人の気配がなかった。
自業自得で落ちぶれて、一階のアパート暮しになった。
無防備な連結長屋だと、泥棒が怖くて窓を開けて寝られなくなった。
そして、ヨドバシカメラに行き、特売のエアコンを5万円で買った。
次の日に、指定時間9時に業者さんが取り付けに来た。
『業者さんは、ヨドバシカメラの人ですか?』と聞いた。
『いいえ!業務提携しているんですよ』と言った。
『なるほど。ヨドバシカメラの指定業者と言う事ですね』
『そうです』
『一日何軒ぐらい取りと付けするんですか?』と聞いてみた。
『7月、8月は一日5軒はやりますね』
『大変ですね』
『しかし、暑くて、たまりませんよ』
『面白いものですね。クラー付けに来て大汗をかくとは、取り付け業者さんらしいですね』
『ホントですよ』
『ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \』
『今回は、6月でしたのそんなに忙しくはないのですよ』
『やはり、早めに付けたのが良かったんですね』
『そうです。時間通りに来られましたからね』
『今から、始めて何時頃終わりますか?』
『余り、面倒な所に付けまあせんから、11時は、終わると思いますよ』
そして、
『取り付けるのに水の流れを見たいので、風呂の水を出します』と言いユニットバスのシャワーの水を出した。
『はい』
部屋は、4,5畳のリビングと、6畳の畳の部屋かあった。
『どちらの部屋に付けますか』と聞かれた。
『6畳の寝室につけてください』と言った。
そして、南向きの和室のガラス窓の上の壁に取り付けを、外からと内側を二人で作業を始めた。
暇で、作業を見ていた私は『何でエアコンを付けるのに水を出すのかな』と不思議に思っていた。
そして、30分経つと、業者さんが『旦那さん!トイレを、お借りして宜しいですか』と聞いた。
『いいですよ』
そして、用を済ませトイレの水を流し出てきた。
すると、
『旦那さん!シャワーの水が出ていますよ』と教えてくれた。
『えっ!!確か、エアコンを取り付けるので水を流します。と言っていたじゃなぃ』と強めに言った。
『いや、そんなこと言いませんよ』と右手を横に振った。
『おかしいなぁ!????』
お互いに顔を見合わせ『不思議だな』と首をかしげながら話が弾んでしまった。
『この家には魔物が住み着いていて、いたずらをしているのかもしれないので、帰る時に一緒に連れて行って下さい』と私はお願いをした。
すると、
『僕の家には、かみさんも小さい子供がいるので、勘弁してくださいよ』と言った。
『終わりました』
『ご苦労様です』
2時間で完了させた。
そして、気味悪ながら帰って行った。
子供の頃、友達のトシ坊と2人で、近所の神社にお参りに行った。
お互いに貧乏人の子なので、小遣い等持っていなかった。
そして、駄菓子屋から5円で買ったお菓子を一個、賽銭箱に放り込んで、お願いをした。
すると、中から『ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \』と野太い男の笑い声が聞こえてきた。
『ドッキ!!????』
トシ坊と2人驚き、顔を見合わせ一目散に逃げだした。
首都高速5号線も夜間12時過ぎると、上り線は車がほとんど走っていなかった。
その為に、周りを気にせずゆったりと走る事が出来た。
『ここからなら後、30分ぐらいで家に着くな』と緊張を解いていた。
無意識に、制限速度でアクセルペダルに足を乗せていただけだった。
何故かスピードが上がり出した。
そして、池袋のカーブに入る頃には時速100キロに上がっていた。
すると、ハンドルの遊びが無くなり固くなった。
ハンドルを握り直し揺すっても動かず、左右に切る事も出来なく成った。
しかし、スピードは上がる一方だった。
カーブが近づいてくると焦り出し、これで無駄に生きた人生が終わる予感がした。
そして、ブレーキペダルを踏まず、体で覚えた動きでフットペダルに足を乗せ、スピンを避ける為に、ッパラせ、エンジンブレーキで速度を落とそうとした。
だが!!?
全く効果も無かった。
そして、
『もう駄目だ!!壁にぶつかる!!?』と目を閉じ諦めた。
すると、何故か勝手に車がカーブを曲がりだし、激突を避ける事が出来た。
『助かった!!』
激しい心臓の鼓動と、脂汗と、痺れる手に両足の震えが、車から降りても止まらなかった。
麻布店業務課の忘年会で西伊豆土肥温泉に行くことになり乗用車6台で行った。
そして、天城峠に差し掛かったあたりから雨が降り出して来た。
西伊豆方面を小さな町に入る頃には本降りになった。
そして、前の車が信号の無い横断歩道を抜ける手前まで来た。
すると、男物の黒い傘をさした、黒いレインコートを着た人影が右側から左側に、横断歩道を渡って行くのが見えた。
『あっ!跳ねた!?』と後ろの車に乗っていた私たち全員が人を跳ねて行ったのを見た。
目的地に着き『さっき横断歩道で人を跳ねていない』と運転していた中井主任に聞いた。
すると!
『いや、誰も跳ねてない』と言った。
確かに人が跳ね飛ばされるのを見たと思ったのに。
そして、車の接触したフロントバンパーを見ると、何処にも凹みも傷はなかった。
翌朝TVで交通事故のニュースもなかったので不思議だなと思った。
仕事帰りに何時も通る田舎の1本道は、回りが田んぼと畑で家など殆ど無く、夜中など車も人も通る事もなかった。
その為に、信号など有っても無い様なものだった。
『止まる必要も無いなぁ!?』と何時も思いながら通り過ぎていた。
しかし、この日は!
とりあえず赤なので止まる事にした。
すると、車の後ろでガタガタ音がした。
そして、振り返ると、男がドアを開けて中へ入ろうとしていた。
『ドッキン~!!!』と驚き!心臓がハンマーで打たれ、恐ろしくなった。
そして、身の振り構わず、急発進して慌てて逃げた。
少し走ってバックミラーを見た。
しかし、暗いせいも有り、姿を確認する事は出来なかった。
回りに民家も無く時間も深夜12時過ぎていた。
また、飲み屋の赤ちょうちんもなかったので不思議だなと思った。
次の朝、TVをつけると、ひき逃げ事故のニュースも無かった。
朝晩毎日通る道なので、今でもあの時は何だったのだろうと不思議に思っている。
このような不思議な出来を経験しながら、13年近く暮らしたド田舎での実際に起こった奇怪な恐ろしい話なのだ。
人間も生きて行くには、人との相性が有った。
良い人と会えば、何をやっても上手く行った。
しかし、相性の悪い人と出会うと悲惨な結果になる事になった。
他人だと合った時に何故か『此奴は、何処か、虫が好かない』と話していても喧嘩腰になった。
社内でも得意先でも話が噛み合わない事が多く、立場上、下に立つ方が悔しい思いして終わるのが殆どだった。
そして、
『この野郎』と頭に血が昇りカーとなった。
しかし、殴りかかれば事件になり、我慢をすればストレスが溜まった。
そして、我慢が限界に成ると、うつ病に発展してした。
精神が壊れてしまい、社会復帰が出来なく成った。
また、親兄弟となると死ぬまで離れる事が出来なかった。
逃げ場がなく殺人まで発展にてしまい、一生後悔しても始まらなく成った。
そして、自分の人生が無駄になり、詫びても、詫びても、詫びきれない思いで生きて行かなければならなく成った。
その中、私自身、自分の将来に目標が無く酒を飲む事しか考えていなかった。
やる事がチンピラヤクザと一緒で、他人に迷惑ばかりかけていた。
無学の為に、一般常識の無いまま無駄に歳ばかり重ねた。
会社の辞令で営業の基礎が出来てない状態で得意先回りをした。
その為に、誠実な営業が出来ず、会社から押し付けられたノルマは達成できず頭打ちになった。
そして、反則めいた悪事ばかり働いていた。
そして、耳許で【悪魔の囁き】を聞き、身も心も売り渡した。
そして、何もかも失い、地獄のドン底で気が付いた。
自分が生きていられたのは、私の身代わりに、代わり雛の存在を知った時だった。
しかし、今は手遅れで社会復帰の出来ない体に成っていた。
この、取り返しの付かない過ちを犯した報いは、今、生きているのではなく生かされている事だった。
この、淡々とした現実に、リヤリティーを持たせるために、一部分実話を交えて創作して、お話したいと思う。
この家に住んで、この奇怪な現象が起きたのは、無知で情け知らずの自分が犯した過ちからだった。
貧乏神のようなジィジィーと格闘の末、金縛りから解放され安心して眠りに就いていた。
暫くすると、夢の中に見た事のない三人の男が現れた。
そして、性根の腐った精神を叩き直され、呪い殺される寸前で、この家から逃げ出すまでの足掛け13年間と、現在帰って来た、東京で安心したのも束の間、私に別の強い憎しみと恨みと信頼を裏切られた、怨念を持った魔物が現れて、死んでも地獄の底まで追いかけて来て、亡者と共に八つ裂きにする、魔物に摂りつかれて、頭・目・歯・顎・肘・手首・手の平・背中・腰・膝・足と、全身を可愛がられ、蛇へ生殺し同様に生かさず殺さず、痛い思いをさせられ、最後に、恨みの仕上げは、首を吊らされて仕舞う、奇怪で不思議な物語なのだ。
代わり雛【エピローグ】
性根の腐った精神を叩き直され、呪い殺される寸前で、この家から逃げ出すまでの足掛け13年間と、現在帰って来た、東京で安心したのも束の間、私に別の強い憎しみと恨みと信頼を裏切られた、怨念を持った魔物が現れて、死んでも地獄の底まで追いかけて来て、亡者と共に八つ裂きにする、魔物に摂りつかれて、頭・目・歯・顎・肘・手首・手の平・背中・腰・膝・足と、全身を可愛がられ、蛇へ生殺し同様に生かさず殺さず、痛い思いをさせられ、最後に、恨みの仕上げは、首を吊らされて仕舞う、奇怪で不思議な物語なのだ。