1と6との転回速
クラクションじゃ起きない街が
呼吸し酸化をはじめる前に
石畳の臙脂色へ辿りつかないと
冷えきった惑星の話をしよう
いつまでも寂しい僕たちは
無酸素の果てに仲間を探す
陥穽に満ちているH-2-Oの断片を
頬に伝うナトリウムになぞらえれば
遥かの生命体の脈動が、聞こえてくる
僕だけが知ることとしよう
水中に溶けた音素のパズルは
数光年先には持ちだせないこと
波間に浮かぶ瓶詰めの文字だけは
手荷物にするのが容易なこと
それは対価だ、
からだの端々まで探査に向かわせる
好奇心の充足にあてる対価だ
自販機とビルとに挟まれた冬を
ひび割れた親指で引きずりだすような
君の音声で語ればいい
ゆうべ見た両腕のランプが
それぞれ違う温度であること
躍起になって探したもんで
マンションの明かり、月に空目したこと
朝焼けへふらつくまんまの君が
やがて氷の星見る前に
雲の切れ間に届かせないと
1と6との転回速