裏の神社の神サマ。6

第六夜

神サマから貰った宝くじを引き換えに仕事帰りに販売所に寄った。
多少 不安な気持ちがあったがすんなり5,000円と交換してもらえた。
少々悩んだが とりあえず3,000円分宝くじを買うコトに。
金額としては微々たるものだが
なんとなく神サマから貰ったモノなので縁起がいいように思えたから
験担ぎと言えるかはわからないけれど
自分なりに楽しめる選択だと思えた。
残りの2,000円はスーパーで寿司のパックを2つ買って遣いきった。
無駄遣いだと言われそうだけど
普段だと絶対にしない遣い方で後ろめたさや引け目もあるけれどなんとなくリッチな気分だ。
3,000円の宝くじと2,000円のスーパーの寿司でリッチな気分と言うのが少し情けないが。
普段は美味い物より安くてボリュームのある物って選択しかしてないので個人的には結構な贅沢なのだ。
今どき 100円の回転寿司もたくさんあるのだから
そこに行けばいいだけの話だろうが
1人で延々と回り続ける寿司を見ながら黙々と食べるのも寂しいので行ったことがない。
帰ってシャワーを浴び、洗濯機をまわす。
一段落して ちゃんと観る訳でもないけれどテレビをつけて、タバコに火をつける。
画面の中ではタレントやアイドル、芸人がVTRを観ながらワイワイと話をしている。
「あれで金貰えるんだから芸能人って楽だよなぁ」
ってのが昨日までの俺の感想。
でも神サマが言ってたコトを考えてみると
そうなれるまでが大変なんだろうなぁと思う様になってた
売れっ子なんてのは ほんの一握りの人で
売れたら売れたで寝る時間もなくなったり
いろんなしがらみにも悩まされるんだろう
「やっぱり 普通がいいのかねぇ・・・普通に。」
『そうだろうなぁ。』
また急に神サマが隣に現れてた。
「うわっ!!」
『なんだよ? そろそろ慣れろよ(笑)』
「いや 玄関から普通にって言ったじゃないっスか?」
『考えてみるって言っただけだろ?』
「マジにお願いしますよ?心臓に悪いっスから」
『でも どう考えても俺が玄関からドアホン押して訪ねてきたら 神サマ感が無いだろ?』
「いやいやこのままじゃ寿命縮まっちゃうから悪魔っスよ?お願いしますから普通に来てください。」
『神サマを悪魔呼ばわりは感心しないなぁ。』
「普通に来てくれたらいいだけっスから(笑)」
『しょうがない、心外な呼ばれ方されるのは不本意だから次回は善処するよ。』
「約束っスよ?」
『わかったってば。疑り深い奴だなぁ~』
「命が懸かってますからね(笑)」
『なんなら願い事を(少々のコトじゃ驚かない様になる)ってのにするか?(笑)』
「いやいや 勿体ないって言うか 何かおかしいっスよ?それ。」
『そうか?結構 役立つと思うんだけどなぁ?』
「一般的に急に部屋に現れる人間なんて居ないんスから。稀なコトへの対応力なんていらないっス。」
『んじゃ何がいいか考えたのか?』
「ん~・・・それは~・・・あっ!それより寿司買ってきたんスけど食べますよね?」
『ん?なんだか似つかわしくないモン買ってんな』
「神サマから貰った宝くじのお金で また宝くじ買ってその残りでスーパーで寿司買ったんスよ。」
『スーパーかよ(笑) ま 昔から考えたらあり得ない位 美味くなったけどな。』
「昔は不味かったんスか?」
『ん~・・・昔が不味かったって言うより、今が美味いんだなぁ。種類豊富だし、冷凍冷蔵の技術進歩してるし恵まれすぎてる位だと思うぞ?』
「昔を知らないから実感湧かないスけどね。」
『今は食べようと思えば世界中の大概のモノが食べれるだろ?一昔前なら洋食なんて無かったし、国内のモノだってほとんどご当地感覚だからな』
「へぇ~ 昔は大変だったんスね。」
『どの時代やどの場所でもいい面があれば悪い面もあるから今と昔を簡単に比較はできないけどな。』
「今の悪い面って 具体的に言うと?」
『それも個人差あるから断言はできんよ。色々見たり聞いたり調べたりして自分で探した方が納得できるさ。』
「はぁ・・・」
『それより俺の分まで買わずに どっか店でも行ってもう少し高いモノでも食べりゃ良かったんじゃないのか?』
「ちょっと考えたんスけどね。でも本格的な寿司屋は2,000円じゃ話にならないだろうし、なんか気恥ずかしくて1人で回転寿司もなんだからってので神サマと食おうかって思ったんス。」
『ありがたいっちゃありがたいけど 一緒に飯に行く友達とか彼女とか居ないのかよ?』
「仕事仲間とたま━━━━に呑みに行くぐらいスね。彼女は居ないっス・・・それだ!」
『彼女 くれってんなら無理だぞ?』
「速っっ!!」
『パターンだもん お前。』
「いや けど そんな無理難題って願い事じゃないと思うんスけど~・・・」
『チャンスに近づける位ならできるさ。それに気づいてその縁と言うかタイミングを逃さずにいれるかはお前次第。そもそも、(ほい。お前の彼女。)って ポンと目の前に差し出されて嬉しいか?きっかけがあって気分が高揚して色々あって付き合う様になるから楽しいし嬉しいモンだろ?』
「・・・でス。」
『大事なのは周りに目を向けて こう!と思ったら勇気を出して挑むコトっスよ?(笑)』
「気に入ったコを見かけたら躊躇せずにナンパしろって話っスか?」
『ナンパしろとまでは言わんけど 大まかに言ってそうかもな。』
「仕事場にも知り合いにも女の人なんて居ないっスから やっぱナンパしか無いのかなぁ~・・・」
『だから周り目を向けろってのよ。通勤の時の電車やバスの中。行き付けのコンビニの店員やお客の中とかにお前を見てる女が居るかも・・・』
「そんな人 居るんスか?!?!?!!!!」
『知らねぇよ(笑)居るかも?って話!』
「なんだ~期待させないでくださいよ~」
『ダリぃ~・・・なんてうつむきながら歩いてちゃそう言うチャンスも見逃しちゃうぞって話。』
「でも キョロキョロしながら歩いてたら不審者っぽくないスか?(笑)」
『だから そこはいい具合にだよ、極端なんだよなぁお前の思考は。』
「周りな目を向けて・・・っスか・・・」
『今日も願い事は出て来ないんだな(笑)
んじゃ 寿司の礼として
例えば 周りを見てる内に気になる人が居たとするな?
ちょくちょく見かける可愛いコって。
ポジティブに考えれば お前がちょくちょく見かけるって事は 向こうもちょくちょく見かけるって事でもあるんだよ。
まぁ 全く意識外な場合が大多数だけど
なんとなく いつも見かける人。
そんな所から始まる恋もあるって話だ。』
「はぁ・・・」
『あくまでも可能性の話な?勘違いして暴走すんなよ?犯罪になるからな(笑)』

笑いながら神サマの姿が消えた。
彼女ってのは合コンやら知人の紹介か近場の知り合いから発展するもんだと考えてたから
何か明日の通勤とかを考えたらドキドキしてきた(笑)


続く。

裏の神社の神サマ。6

裏の神社の神サマ。6

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-11-18

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted