流れ屑、星
お土産は辛子の粒程度のさそりが良いね、夏になるとアンタレスが南の空に赤く輝いて心臓が鼓動するんだ。美味そうだねって、でもそれが無理なら秋まで待つ、翼が生えた天馬はぺガススで最高にカッコいいから背中に乗せてくれないかな、けれどもそれは難しいからキミはきっと批判すると思う、でもワタシは小さな窓が正面にあるテーブルに頬杖をついて眺めるんだ。それはキミの居る宇宙船の方角に焦点を合わす行為で暗い空の先、星屑の先、銀河の先であり、瞼を閉じて何度も空想にふけるが、それでも経験のない小さな脳みそでは到底、描くことのない煌びやかな景色があるんだろうね。それにキミは言っていた。ワタシから見えるそれらの星屑にはすべてに名前があると教え、一つずつ指差し呼称で発音して述べてくれたが正直に言うと、頭の悪いワタシにはキミの流暢に動く舌に耳がついて行けなかった申し訳ない。ただ、理解できたことは星達に名前があるなんて、素敵だ。
宇宙ノ欠片ヲ集メタナラ、蝋ノヨウニ溶カシテ簪ニシヨウカ。
鋏ガ両手ニアル毒ムシハ心臓ヲ光ラシテイタヨ、提灯ニ、ホウリコミタイネェ。
天馬カラ、アンドロメダガ離レマセン、ソレガ一番イインデスヨ。
返信があったと喜んで読んでみると、さっぱり意味が分からない。もしも宇宙船でキミを迎えに行けたなら連れ出して聞けるのにね。暗号っぽいその意味ありげな言葉をさ。
久しぶりに公園の原っぱに寝そべって小っちゃい望遠鏡で砂の様な断片を観察したんだ。それで感じたことは万華鏡と似てるかなぁって考えていると、数秒、儚い爪が闇を切ったんだ。白い線は一瞬だけ光ってすぐに暗黒は修正したよ、あれは流れ星だって知った時、万華鏡との違いがハッキリと区別できた。だって万華鏡は自分自身でたたき割らないと光らないし、自己修復はしないもんね。
最近、また一つ返信があった。
コノ手ヲドケルト永遠ニデアエナイ筈ノ君ニ合図ヲ送レタ。コンナニ青カッタンダ。
懐かしく笑って言った。「吸い込まれちゃうのは気を付けないと」
流れ屑、星