好奇心
都市伝説
俺の学校ではある都市伝説が話題になっていた
内容といえば
『学校の近くにある商店街の裏路地にある時間になったら行ってはいけない
行ってしまったら帰れなくなる』
というものだ
そのある時間というのは夜の2時らしいのだが実際にいった奴はみんな
「なんもねえじゃん。つまんないの」
っと言っていたため信じていない奴が多い
だけど僕は数少ない信じている1人だ
なぜなら今から5年前その商店街で事件が起きた
その商店街付近に住んでいた高校生が行方不明になったのだ
当時夏休みということもあり遅くまで遊んでいて友達と別れてから行方不明になった
最後の痕跡といえばユーフォーキャッチャーでとったぬいぐるみが路地裏に落ちていたということだった
まあ、わかる通り都市伝説はこの事件から来ている
そして僕は今まさに決行しようとしていた
「勇太、これで準備おっけーだよな?」
「うん、バッチリだね!」
勇太と僕はオカルト仲間だ
今夜2人で裏路地にいこうという話になっていた
「だけど今回は本格的だねえ」
勇太はカバンの中を見ていった
「そうだよ、だってみんな行ってもなにもなかったって言うしさ
でも、これならなんかありそうじゃない?」
「確かになあ」
カバンの中には当時行方不明になった高校生が持っていた物が入っている
化粧品なんかは親からこっそり拝借した
でも、報道された分だけなので高校生が持っていたものが全部入っているわけではない
「もうすぐで商店街だよ。なんか怖いのと緊張が混じりあって変な感じ」
「俺もだよ。でも晴がいるからまだ大丈夫だわ」
「それはこっちも同感だな」
「オカルト好きなのに実際行くとこうなるんだなあー
先に逃げちゃったらごめんね」
笑いながら勇太がいう
「逃げんな。逃げるとしても同時だからな」
「はいはい」
そう言っているうちに商店街にたどり着いた
さすがに商店街といってもこの時間だと人っ子一人いない
むしろ怖いくらいだ
「裏路地はあそこの道曲がった先だっけか
暗くてよくわからんわ」
「ホントだよ。懐中電灯あるけどさっぱり分かんねえわ」
言いつつ俺たちは迷いなく道を曲がっていった
裏路地
道を曲がってから100m先を曲がったらそこはもう裏路地だ
曲がり角はもう見えている
「あそこだな・・・」
「うん」
僕たちは緊張しながらも前に進んだ
そしてついに曲がり角にきた
「いいか?せーので一緒に見るぞ」
「わかった」
「いくぞ・・・・せーの!」
勇太の掛け声に合わせて2人で同時に裏路地を覗いた
だけど・・・
「とくに変化はないな・・・」
「そー・・だね」
懐中電灯で照らして見るといつもの裏路地だった
「行ってみるか?」
「せっかく来たんだし行ってみようよ」
「よしっ!」
2人で裏路地に入ってみた
「なにもないね」
「確かに・・・ってあれ?」
「ん、?どうした?」
「ねえ勇太・・・あんな道あったっけ?」
僕は指をさした
僕が知る限りたしかあんな道はなかったはずだ
「確かに・・・あんなとこに曲がる道なんてなかったような・・・」
「行ってみる?」
「だな、気になる」
恐る恐るその場所に向かう
「もしかしてあの道がそうなのかな?」
「多分・・・だってあんな道なかった気がする
やばっ緊張しすぎてどうしよう」
「僕も一緒だよ・・・」
緊張しすぎて心臓が飛び出しそうだ
「おい、ついたぞ」
「暗くてわかんないね、ちょっと照らしてみるよ」
持っていた懐中電灯をその道に向けた
「どう・・・なってんだこれ・・・」
勇太が呆然と呟いた
闇
懐中電灯で照らしているにもかかわらず見渡す限り闇が広がっていた
「や、やばいってこれ・・・う、う、うわああああああああああ」
たまらず勇太が悲鳴をあげて逃げ出した
僕も勇太につられて逃げ出す
走って走って裏路地からだいぶ離れたところでやっとたち止まった
「はぁ・・・・はぁ・・・・・・・」
「ゆ・・・・勇太・・・・あれ・・って・・一体・・」
「わ・・・・わか・・・んね・・」
立ち止まっているうちに呼吸が戻ってきた
「とりあえず家に帰ろう
さっきのことは学校で話そうぜ」
「そうだね・・・」
その後僕たちはびびりながら帰宅した
良かったことといえば立ち止まった場所が僕たちの家に近かったということだろう
学校
次の日僕たちは学校で昨日のことを話していた
「しっかし昨日はびっくりしたよな」
「うん、何なんだろうねあの道」
「おかげであんま寝れなかったわ」
僕たちが話をしていると近くにいた河野が話しかけてきた
「お前らなんの話してんの?」
「都市伝説だよ、昨日行ったらちょっとおかしなことになったんだ」
「なにそれ楽しそうじゃん!俺にも教えろよ!」
「うん、実はね・・・」
僕が話終えると河野が俺もいきたいと言い始めた
「僕はもういいかなあ・・・ねえ勇太ももういいよね?」
「うん、そうだなあ・・・」
「なんだよお前ら!まあ、いいわ別のやつと行くよ」
そう言って河野は別の友達に話をしにいった
「行くのやめといたがいいと思うけどなあ」
「俺もそう思うけどあいつ人の話聞かないからな」
「まあ、それもそうだよねえ」
歩きながら図書室に向かった
「えーっと・・・これかな」
僕はオカルト系の本を取り出した
ぺらぺらめくってみる
存在しなかったはずの場所を見つけてしまった場合
「あ、勇太!あったよー」
「ん?」
勇太が近寄ってきた
「お、ほんとだ
どれどれ・・・」
「あ、あった、道のらん」
そこが道だった場合は絶対に通ってはいけない
運がよければ帰って来れるが大抵はそのまま帰ってこれない
神隠しとはまさにこのことだ
通った先がどうなっているかは分からないが無限ループになるのか
はたまたあの世に繋がっているのか
「なんかびみょーだね、まあ通らなくて良かったってことか」
「だーな」
丁度チャイムがなったので僕たちは授業に向かった
そして下校時間になった
「なんか河野今日行くらしいね」
「今日なんだ、明日報告聞こうかな」
「まあ、俺らと一緒だろ」
「まあね」
そして僕たちは別れて家に帰っていった
次の日
その次の日普段どうり登校した
クラスに入ったら何やらみんなの様子がおかしかったので話を聞いてみた
「何?なんかあったの?」
「あ、竹内・・・」
その場にいた佐々木が深刻な顔で話し始めた
「それがな・・・・俺はやめとけって言ったんだよ・・・なのにあいつ聞かなくて・・・・」
「なにが?」
「お前も知ってるだろ?俺たち昨日裏路地に行ったんだよ・・・」
「うん」
「お前らが言ったとうりの物カバンに詰めてさ・・・そしたら本当にあったんだ・・・」
「あ、あの道?」
「そうだよ」
「え、もしかして・・・河野その道行っちゃったんじゃないよね?
まさか・・・」
「そのまさかだよ・・・
あいつああいうの信じてないからさ、この道も新しくできたんじゃねーの?
とかいってさ、俺が証明してやるよっていって・・・」
「止めなかったの!?」
「止めたさ!でもずんずん行っちゃうんだもん・・・」
「じゃあ今河野がいないのは・・・」
「あいつ、行方不明になったんだ・・・警察にいっても信じてもらえなくて・・・」
そこに勇太がきた
「おはよー!深刻な顔してどうしたの?」
「いや、それが・・・」
さっき聞いたことを話すと勇太も深刻な顔になった
「あのばか・・・・」
「もう俺、どうしたらいいのかわからなくて・・・・」
「じゃあさ、」
僕はふと呟いた
「行きたい人だけでいいんだけど河野助けに行くってのはどう?」
「え、あの道を通るの!?」
「うん、だってそれしか助けにいく手段もないじゃん」
「そんなの行きたいやつなんていないって!だいたい晴はいくの?」
「僕は行きたいかと言われたら行きたくないけど・・・
でも興味はあるんだ。あの先がなんなのかちょっと気になる」
「確かにそれはそうだけど・・・・でも絶対ろくでもないことになりそう」
「俺は・・・俺もいってもいいかな・・・?
あの時もっと強引に引き止めとけばよかったんだ・・・
俺の責任でもあるし河野を助けたいんだ」
「だいたい河野が生きてる保証もないけどな・・・」
「まだ遺体はみつかってないし・・・
それに5年前の事件のことも遺体がないから生きてるかもしれない」
「でもなあ・・・って気になるって顔だな・・
はあ・・・わかった・・・俺も行くよ
ここで行ってらっしゃいと言えるほど白状じゃないよ」
結局僕、勇太、佐々木の3人で乗り込むことになった
作戦会議
放課後僕たちは学校の近くにある図書館に行った
学校の図書室よりかは種類多いだろという勇太の提案だった
「じゃあ、事件のことでもあの道のことについてでもそんな感じの話が載った本集めるか」
「うんわかった」
そして僕たちは本を探しにちらばった
探し始めて多分30分くらい経過した
オカルトのスペースは意外と少なくて3人だとわりかし早かった
集まった本は10冊
と、あと当時の新聞だ
「ちょっとここ見てくれ」
佐々木が新聞を広げた
指さしたところを見てみる
この裏路地では20年前にも失踪事件があり男性1人が行方不明となっている
警察はそのことも関連付けて捜査を続ける方針だ
「・・・これって」
「いや、これだけじゃなんともな・・・ほんとに事件だったかもしれないし・・・・」
「ああ、でもあの道って可能性もあるだろ・・・」
「あとはここだな」
佐々木がもう一箇所指をさした
ぬいぐるみが落ちていた場所は家と家の間の非常に狭い道で・・・・
という言葉とともに地図が載っていた
「ここって、あの道があったとこじゃないか?」
「ああ、間違いない。俺たちが見た道だな
でも全然狭くなかった」
「その女子高生は道を通った可能性が高いかな」
「多分そうだね」
「新聞に載ってるのはこのくらいだったかな
あとは俺たちが知ってるとおりだった」
佐々木が新聞を閉じる
「んじゃ、本見ていきますか」
っと勇太が本を開いたはいいもののそのうちの6冊は学校で見たのとほぼ同じような内容だった
後の4冊に書いてあったのは
身代わり(人形)がいい
命綱があればいい
あの世のものは食べたらいけないとよく言われるので食料があったがいい
塩は欲しいところかも知れない
という内容があった
「じゃあとりあえず買いにいこうか?」
「そーだな」
「うん、行くよ」
その後僕たちはスーパーに行って食べ物と塩をかってきた
人形はそれぞれ家にあるものを持っていこうという話になって
命綱は、ロープでいいだろうということになり佐々木が家にあるというのでそれを使うことにした
「じゃあ、今夜結構だ!
僕と勇太で佐々木迎えに行くから家の前いてね電話するから」
「わかった」
約束を交わして僕たちは解散した
道の向こうへ
夜僕と勇太は佐々木の家を目指していた
「あー・・・またあそこに行くのか・・・」
いかにも気が乗らないという感じで勇太は呟いた
「しょうがないよ、河野がいるんだ
それに僕も気になるし」
「またお前はなあ・・・
ってここまで来たらもう行くしかねえか・・・」
佐々木の家にたどり着いた
「んじゃ電話しますか」
勇太はケータイを取り出した
「もしもし?佐々木?勇太だよ
今家の前いるから出てこい」
勇太はケータイをしまった
「今来るって」
「おっけー」
家の前で待っていると
ガチャ
ドアが開いて佐々木が出てきた
「お待たせ」
「よし、じゃあ行こうか」
早速僕たちは商店街に向かった
「忘れ物ないよね?」
「さっきも確認したしだいじょーぶだって
佐々木も大丈夫だよな?」
「おう、必要なもんは全部カバンの中だ」
僕たちは佐々木のカバンを見た
「なんか・・・やけに荷物多くね?」
「いや、これは念のためいっぱい持ってきたんだ」
僕は佐々木のカバンをあけてみた
「うっわあ、ほんとにいっぱいあるね」
僕と勇太は歩きながら佐々木のカバンを物色しだした
「そういうお前らはなに持ってきたんだよ」
「そんな大したもん入ってないよ」
「うん、まあ、おやつとか塩とかお守りとかかなあ」
「お守りってなんか効くのか?」
「さあ、わかんないけどもってきたんだ」
そうこうしているうちに商店街にたどり着いた
3人の空気がどことなく重くなる
「あの道だよね・・・」
「ああ・・・曲がるぞ・・・」
僕たちは道を曲がった
そしてもう一回道を曲がる・・・・
「・・・・・あれ・・・だよな・・・?」
「うん・・・あの道だね・・」
「あそこの先に河野が・・・」
数日前と同じくあの道はそこにあった
早速僕たちは準備に取り掛かった
佐々木が持ってきたロープを近くの電柱にくくりつける
「よし、ここまで頑丈に結んだらそうそう取れないはず」
「これが命綱ってわけか・・・」
「これから先はこのロープをもって進むよ」
「おう・・・」
「問題は先頭誰が行くかなんだけど・・・」
3人とも黙りこくった
「じゃんけんでいいかな?」
「竹内それ言いだしっぺが負けるフラグなんじゃねえか?」
「そのときはそのときだよ」
「んじゃ、じゃんけんすっか」
結果佐々木が言ったとおり僕が先頭になってしまった
「まさか佐々木の言うとおりになるなんて・・・」
「まあ、結果は結果だよ晴」
「ほんじゃ、俺が2番目か」
僕、佐々木、勇太の順で行くことになった
僕がロープを引っ張ってそのロープを二人が辿っていくという感じだ
僕は道を照らす
最初の時と全く変わらない
そこには闇が広がっていた
「じゃあ・・・行くよ?」
『おう』
こうして僕はあの道に向かって歩いて行った
たどり着いた場所
たったった・・・
僕たちは喋らずに進んでいく
周りは何も見えない
後ろの二人の姿も
ただ闇が続いていた
そしてそこにたどり着くまではただの一本道だった
今までずっと闇だったものが急に薄暗くなった
そして目の前には一本の大きな木
周りを見てみるとその木の周りは円状に草が生えていてそこから先は木が生い茂っていた
どうやら山のようだ
「ここは・・・」
「ん?どこだここ」
どうやら二人共僕に追いついたらしい
「わからないけど・・・・とりあえずこのロープはあの木に結んでおくよ」
そう言って僕はロープを木に縛り付けた
「とりあえずこの木が目印だ」
「うん、でっかくて分かりやすいや」
「んで、こっからどーするよ?」
僕はちょっと考えた後
「とりあえず山を降りたほうがいいんじゃない?」
「確かにそれもそうかもな」
「よし、降りるか」
全員一致で僕たちは山を降り始めた
ほどなくして道を見つけた
「誰かいるかもね・・・」
「いや、いたとしても会いたくはねえな・・・」
「確かに、こんなとこにいるなんて・・・絶対普通じゃないと思う」
みんな行くのを戸惑っているとふと佐々木が言った
「なあ・・・
なんか笛の音しねえ?」
「え?なんにも聞こえないよ?」
「俺もなんにも聞こえない」
「いや、やっぱり聞こえる
なんか・・・近づいてるような・・・」
僕と勇太は耳をすませた
ピュー
小さいけど確かに笛の音が聞こえる
「ほんとだ・・・」
「俺にも聞こえたぞ」
「なんか太鼓の音も聞こえるんだけど
しかもやっぱり近づいてきてる
ヤバくないか?」
「よし、木の陰に隠れよう
確かに見つかったらやばいかもしれない」
「それがいいな・・・あとちょっとしたらもうきそうだ」
僕たちは体制を低くしてなるべく葉っぱで体を隠せるようにして木の陰に隠れた
その間にもどんどん音は近づいてくる
「まるで祭りみたいだな」
「しっっ!もう来るよ」
それから一分と立たないうちにそれはやってきた
太鼓の音と笛の音そしてその集団がなにやら上機嫌に騒いでいる
「しっかし、親分
人間ですよ!人間!しかも生きた!
もう想像するだけでヨダレが止まりませんよ!」
「がっはっは!俺もだよ!今日はいい日だ!宴だな!」
「ちげえねえやあ!明日が楽しみでいけねえや!」
「ぎゃっはっはっは」
僕たちはそれが通り過ぎるまでずっと黙っていた
やっと通り過ぎて少したった時に佐々木が話しかけてきた
「なあ・・・いまのって・・・」
「僕も思ったけど河野のことじゃないよな・・・・」
「俺もそう思う。ってことは河野は・・・・」
「捕まってるの・・・かな・・・」
その時だった
「う、うわああ!」
「どうした勇太!?」
「こ、こ、これ・・・これ・・・」
勇太が足元を指さした
見てみると小さい鬼らしきものがいた
「うわああああああ!!」
僕たちは咄嗟に距離をとった
そしてもう一度鬼を見た
すると鬼が僕たちに言った
「おい、なにか困ってるのか?」
謎の鬼
「おい、そんな怖がらなくてもいいぞ
おいはお前ら食わねえかんな」
「そんなの信じられるわけ・・・」
「食わねえってば
おいは生まれてこの方人は食ったことねえしよ」
(おい、どうするよ?)
(逃げるか?)
(いや、言ってることがほんとだとしたら・・・)
(いや、嘘ついて襲ってくるかもしれねえだろ!ここは逃げるが勝ちだ)
「おい、なにこそこそやってんだ?」
「・・・逃げるぞ」
勇太が言うと同時に全員で逃げ出した
「って!おい!困ってんだろ!?
食わねえ言ってんのに!
知らねえぞ!」
「信用できねえよ!」
勇太が走りながら言った
どれくらい走っただろうか
後ろを見ると誰もいなかった
「なあ、勇太・・・・あの鬼ほんとのこといってたんじゃねえ?」
佐々木が言った
「なんでだよ?」
「だって走りながら後ろ見たけど全然追ってきてなかったんだあいつ
食いたいなら普通追ってこねえか?」
「・・・確かにそうかもな
でも食われる可能性もあったんだ」
「まあ、そうだけどよ・・・」
僕はふと横を見て家があることに気がついた
「ねえ、二人共
家があるんだけど」
『は!?』
「隠れないとやばいんじゃないか!?」
「いや、掘っ立て小屋みたいな
誰も住んでなさそうだよ
見るからにボロいし」
僕が指さした方向を二人共見た
「確かに・・・ボロいな」
恐る恐る3人で近づいてみた
「誰もいないな・・・」
「生活感もなさそうだぞ」
「ここで休憩しない?僕もう疲れちゃってさ」
「ここ大丈夫か?」
「大丈夫じゃない?誰も住んでないでしょこれ
なんか使われてもなさそうだし」
「確かに
あー!俺も疲れたよ!」
「ざっと掃除しようぜ」
「うん、そうだね」
部屋が汚かったので僕たちは掃除してからそこらへんに座った
「腹減った
お菓子食おうぜ」
佐々木がカバンを漁ってお菓子を取り出した
「それにしてもやっぱ河野捕まっちまってんのか?」
「多分そうじゃないかな・・・・?
早く助け出さないと・・・・」
「そうだ・・・多分あいつだよ・・・
明日がどうとか言ってたけど・・・」
「考えてもわからないな・・・
あの鬼にもっと話聞いとけばよかったかな・・・」
「考えてもしょうがないよ
とりあえずもう僕眠たいから寝てもいいかな?」
「それもそうだな・・・
俺も眠い・・・
寝てから考えようぜ・・」
「もう限界
おやすみ」
こうして僕は眠りについた
何時間寝ただろうか
「おい、おめえらここおいの家だぞ!」
なにやら聞き覚えのある声がして目が覚めた
「なんだよ・・・」
周りを見ると佐々木と勇太はまだ寝ていた
入口をみると誰かが立っていた
「誰だ・・・・」
半分寝ぼけて僕はきいた
「おいだよ!さっきあっただろう?」
「ん・・・・・!?
お前さっきの・・・!」
「やっとわかったか!
おいだよ!」
さっきの鬼が立っていた
協力者
「ここはお前の家だったのか!?」
「そうだよ、おいのいえだ!」
「・・・・それにしては汚かったけど」
「それはおいが掃除とかあんましねえかんな」
鬼は神妙にいった
「なんでここにいんだ?」
「それは・・・お前から逃げたあとここを見つけて僕たち疲れてたから休んでたんだよ」
「おめえら危機感ねえのか?
ここにほかの奴らがくる可能性もあったんだぞ?」
「それは・・・ここがボロいし汚いし使われてないと思ったんだよ」
「失礼な!これでもおいの家だ!」
「それは悪かったよ」
僕は疑問に思ったことを聞いてみた
「お前、ここが家だっていったけど・・・
こんなにボロくて周りなんもないなんてまるで迫害でも受けてるみたいだ」
すると鬼は急に黙った
「もしかして当たってた?」
「・・・・・そうだよ、おめえが言うとおりさ」
力なく呟いた
「なんか・・・悪かったな」
「いいよ別に
おいはあいつらと違うんだ」
喋っているうちに後ろで音がした
「おい、竹内誰と話してんだ?」
「晴、何かあったか?」
どうやら二人とも起きたらしい
「おいだよ」
「ん?・・・お前さっきの!」
「なんでここに!?」
二人は僕たちと距離をとった
「二人共落ち着いて
どうやら悪い奴じゃなさそうなんだ」
「でも、なんでここにいるんだ!?
俺たちが気がつかなかっただけで追いかけてきてたんじゃないのか?」
勇太が焦りながら言う
「違うよ!ここはおいの家だ!」
「お前の家・・・?」
佐々木が困惑気味に聞いた
「そうだよ、おいの家だ」
「この鬼どうやら迫害を受けているらしいんだ」
「迫害・・・?」
「そんなこと言って騙して俺らを食うきなんじゃ・・・?」
「さっきも言っただろ?食わねえよ
それに食う気ならとっくに捕まえてるよ」
「・・・・・確かにそうかもな
でも信用しきれねえよ」
「勇太の言うこともわかるよ
でも、僕は大丈夫だと思うんだ」
「なんでだ?」
「勘だよ
あと、本気で食べる気なら寝てる時にとっくに食べられてるよ僕たち
僕を起こしたのはこの鬼だし」
勇太は少し考えて言った
「晴の話がホントなら確かに信じてもいいかもな・・・」
「竹内の話を聞く限りじゃ大丈夫っぽいな・・・」
「おいのこと信じてもらえたか?」
「少しな・・・・」
「鬼に聞きたいことがあるんだ」
僕はいった
「なんだ?」
「僕たち以外の人間が捕まってるか?」
「ああ、捕まってるな」
「その人間の名前はなんて言うんだ?」
鬼は困ったようにいった
「わかんねえ
さっきもいったけどおいは迫害されてんだ
そんな詳しいことはわかんねえよ」
「そっか・・・その人間はどこにいるんだ?」
「オヤシロさまの家さ
今日宴が開かれてるはずだ
その人間と知り合いなのか?」
「多分な
助け出したいんだ」
「お願いだ!
知ってることを教えてくれ!」
佐々木が真剣な顔をしていった
「いいけどよ・・・
おめえらだけじゃ助け出せねえと思う・・・」
そういった後、鬼は少し考えてからいった
「おいも手伝ってやるよ」
「いいのか!?」
「ああ、おいはあいつらのこと嫌いなんだ
それにずっとこうして暮らしていてもいつか殺されちまうのがおちだどうせ
どうせ死ぬならおめえら助けてからがおいも後悔しねえや」
「そこまでひどい迫害にあってるのか?」
「・・・まあな
それよか助けるなら早いほうがいい」
勇太はまだ納得してはいないようだったが早く河野を救い出さないといけないので作戦を考え始めた
鬼の話
「やっぱり作戦の前に聞いておきたい
「協力してくれるのはありがたいけど、まずはお前の話を聞かせてくれ」
勇太が言った
「おいの?」
「裏切られたなんてことになったら嫌だからな
いちから話してくれ」
「いちからってどこからだよ?」
「お前の身の上の話だ!
なぜ迫害を受けているのかとか
俺たちを襲わない根拠とか」
「わかったよ
おいは・・・」
おいはこの村で発生した鬼なんだ
発生?
うん、この村では普通鬼は人間みたいに女の腹から生まれるんだ
でも、おいみたいになにもない場所から鬼が発生することもあるんだ
なんで発生するのかはオヤシロさましか知らない
オヤシロさまはなんでも知ってるんだ
そのオヤシロさまって何なんだ?
おいたち鬼の長みたいなもんだ
でさ、鬼たちは俺たち発生した鬼が嫌いで差別してくるんだ
オヤシロさま公認さ
だからおいはこのボロ家に住んでるのさ
おいたちは村に行けば殴られ蹴られ、あいつらのストレス発散道具なんだ
行き過ぎて殺された鬼もいるんだ
おかげで発生した鬼は今んとこおいだけだ
発生自体めったにしねえし
あと、おめえらを襲わない根拠は・・・
発生した鬼は基本人は食わねえ
まあ、食う機会がないってのもあるかもしんねえけど・・・
でも、何か知らねえけど食いたくないんだよな
「おいの話はこんくらいかな」
「襲わない根拠は微妙だけど・・・
信用してもいいかな・・・」
「うん、ここまで話してくれたし大丈夫だと思うよ勇太」
「じゃあ作戦会議だな!」
「んじゃあ、おいが説明してやるよ」
「うん、お願い」
「今日宴の真っ最中だ
朝から晩までみんな宴に集まるんだ
だから今日がチャンスなんだ
酒で酔いつぶれているところで人間を奪い返す」
「今の時間帯は?」
「今は午の刻だな」
「午の刻って言われても俺何時か分かんねえよ」
「ちょっと待ってて」
そう言って佐々木はカバンをあさって時計を取り出した
「そんなもんまでもってきてたんか佐々木」
「今は12時半だ!
夜か昼かわからないけど」
「昼だよ」
「昼か!・・・でも暗いぞ?」
「ここは朝と昼はこの暗さなんだ
でも夜はほんとに闇だ
亥の刻までに救い出すしかない」
「だからその時間で言われても俺たちわからないよ
何時なんだ」
「その何時っていうのはおいはわからねえよ
ん?ちょっとその時計おいに見せてくれ」
「ああ?いいけど」
佐々木が時計を渡した
「・・・・・・ここ、だと思う」
鬼が指した先は九時だった
「分かんねえんじゃなかったのか?」
「なんでかな、おいも分かんねえや
でも見たことがあった気がする」
「まあ、いいや
九時までだな
時間が惜しい
さっさと作戦会議だな」
僕たちは作戦を話し合った
「これでいいんじゃね?」
「うん、これ以上は浮かばないや」
「よし、いこう」
「おめえら捕まるなよ?」
準備を終えた僕たちは早速家を出たのだった
行動開始
鬼の家を出た僕たちはある場所に向かっていた
「佐々木!今何時だ!?」
「2時だ!」
「急ぐぞ!」
「ねえ、鬼、こんな時なんだけど・・・」
「なに?」
「君の名前聞き忘れてたなって
なんていうの?」
「ほんと、こんな時だなおめえ
おいはサチだ!」
「そうか!僕は竹内晴あっちは佐々木圭太向こうは志水勇太って言うんだ」
「おいおい悠長に自己紹介してる場合でもないだろ!」
「そうだぞ竹内喋ってる暇があるなら走れ」
「はいはい」
走っているうちに村についた
草の陰に隠れる
・・・・・
見渡す限り誰もいない
鬼・・・いや、サチの言うとおりみんなオヤシロさまの家に行ってしまったらしい
おそるおそる顔を出す
「大丈夫だ、誰もいねえ」
村を回って戻ってきたサチが言った
「そっか・・・いくぞ・・・」
僕たちは草むらから出てある家に向かった
「ここだ」
サチが案内した家に入る
「これは・・・」
「さすがにこんなにあったら俺こええよ」
「確かに寝れなくなりそう」
そこは鬼のお面が大量にある家だった
ついでに着物もそこからとって行く
お面だがないよりマシという僕たちの判断だ
そしてお面だとなるべくバレないように頭にタオルを巻いた
「ここまではいいんだ
ここからが本番
いいかおめえら?」
鬼衣装に着替えた僕たちはオヤシロさまというところへ行くべく歩き出した
「今から緊張する・・・」
「それは俺もだよ
でも、もう腹くくるぞ」
「いいか?ついたら手順どうりに動くんだ
じゃねえと佐々木と志水と竹内・・・だっけ?
おめえらが危険な目に遭うかもしれねえ」
歩いて30分は経過しただろうか・・・
オヤシロさまの家が見えてきた
「いくぞ・・・」
近づくにつれて騒がしくなっていく
いいか?オヤシロさまの家は一箇所しか出入りができねえんだ
だから行きも帰りもそこを通らねえといけねえ
だけど見張り番がいる
基本鬼だと普通に通れるが・・・
おいは発生した鬼
さっきも言ったとおりオヤシロさま公認で迫害をうけてる
そんなおいがわざわざこんなとこに来るのはおかしいんだ
でもおまいらは中の構造を知らないからおいがいる
だから・・・
「おいそこの3人!見ない顔だな・・・・
どこの鬼だ?」
だからおいはカバンの中に隠れるからそこは3人で乗り切ってくれ
「僕たちは隣の村から来たんだ
是非宴会に参加させて欲しくて」
「隣の村って言うとオオヤさまのとこか
わかった入れ」
そしてすんなり中に入れた
「やったな!」
「ああ、すんなりいったぞ!」
「サチ出てこい、橋だ
今はだれもいない」
サチがカバンから出てきた
「じゃあ、おいとは別行動だ
そっちは任せたぞ」
「ああ、そっちも頼む」
そう言うとサチは身軽にカバンから飛び出し目的の場所に向かった
僕はサチからもらった地図を開く
「行動開始だ!」
好奇心