天使狩人 13
前回と同じ
抱きついてきた人物はーー、
シーラだった。
「ダーク!」
あまりにも唐突すぎて、戸惑ったがなんとか返事を返した。
「おぉ」
「どこ配属ですか?」
この声ーー、
「ヴァンか?」
「そうだよ、僕だ」
「あぁ、《バスターズ》だ。お前らは?」
「《レジスタンス》よ」
「《クルセイダーズ》です」
「そうか……でも、一体何なんだ?」
「ああ、ダーク君は知らないんだね。説明しとこうか?」
「頼む、ってか俺のことはダークでいいぞ」
「わかった、ダーク。デビルハントは流石に知ってるよね?」
デビルハント……、人類が築き上げた天使に対抗するための拠点のことだ。
「もちろんだ」
「《朱雀》《清瀧》《白虎》《玄武》《バスターズ》《クルセイダーズ》《レジスタンス》は、デビルハントの名称だよ。朱雀は、赤い者の集い。清瀧は、青い者の集い。白虎は、冷たい者の集い。玄武は、重い者の集い。バスターズは、祓う者の集い。クルセイダーズは、聖なる者の集い。レジスタンスは、反抗する者の集いだよ」
一度の呼吸をおいてヴァンは話した。
「まぁ、バスターズ、クルセイダーズ、レジスタンスは今回で何か特別なことをした者が与えられるらしいね。ちなみに、それぞれのデビルハントで服の色は決まってるからね。それと、平和世界は、朱雀、清瀧、白虎、玄武の異空間から成り立っているから」
まるで、学校の教師が勉強を教えるような話し方だ。
「ヴァンは、頭がいいんだな」
「まぁ、唯一の取り柄だしね」
ーー、唯一?
「え?」
「ああ、僕は生まれつき体が強くないからね。必死に勉強したんだ。だけど、天使狩人には成らないと駄目だから……、だから銃装者(ガンマン)にしたんだ」
ーー、なるほど……自分の弱点を補うためか。
「ぶー、私をおいてかないでよ!」
忘れていた……。
「ゴメンゴメン」
「ゴメンなさい」
「許したげる」
これは……、素直にありがとうと言うべきなのか。いやまて、そもそも言う必要はあるのか?
ダークは途方にくれた。
「それでダーク、《三大騎士(トライデントナイト)》はバスターズの最高峰、クルセイダーズの最高峰、レジスタンスの最高峰がなるんだ。そして、天使狩人全般の最高峰には誰だってなれるんだ。三大騎士には、三つのどれかに所属してないと駄目だけど、天使狩人の最高峰……、《神狩人(ゴッドハンター)》には誰だっていいんだ。素質があれば、指名される。ぁ、今はメシアだからね」
ーー俺達は、それぞれバスターズ、クルセイダーズ、レジスタンスだ。うまくいけば、三人で三大騎士に成れるかもしれない……。
「なぁ」
「なーにー?」
やはり、会話に参加していなかったシーラが真っ先にのってきた。
「俺達、三人で三大騎士になろうゼ!」
「え?」
「! ダーク?」
「俺達、仲良くなったけどバラバラになるじゃん。だから、三大騎士に成ればまた会えるってわけだよ!」
「いい考えですね」
ヴァンは賛成。
「最高じゃん!!」
シーラも賛成。
「決まりだ、ここで誓おうぜ!」
三人で声を合わせた。
「俺(私)達は、これから絶対、三大騎士に成ってまた会おう! これをこの胸に刻むことをここに誓う!」
ダーク、シーラ、ヴァンの三人は三大騎士に成るだろう。絶対に成る、と心に刻み、志として……。もし、三人のうち誰かが死んでも残る二人は待ちづつけるだろう。三人で三大騎士に成る、と夢見て……。
天使狩人 13
続く