こっちを睨(にら)むおじいさん、まわりが見えていないおばあさん。~お犬様散歩シリーズ~

 日常特に感じている事のひとつ。
今の日本は平和ではあるが、安全だとは言い切れない。
この世に安全神話なんて無いのだよ。

 ”危ないぅぅぅ、思いのほか危険すぎるのだ”と思えやしないか?

 ”そんなに睨まなくても・・・”
なんて思った経験はありませんか?
私はしょっちゅうあります。
それは何かって?それは車の運転です。お年寄りの車の運転の事です。

 「早く連れて行けよ!もうとっくに過ぎてるだろうに」真っ白な柴犬の”ココ”は大きな体を持て余している。
 『そうよそうよ!いったい今何時だと思っているの?だいたいあなた最近生意気よ!何様のつもり!ねぇ、”ミルク”も何か言ってやりなさいよ!』と振り返る”モン”。
 ミルクは排泄中だった。

 私は毎日お犬様の散歩に付き合わされます。
もし断ろうものならお犬様達の逆鱗に触れます。
 あろう事か先日などは吐瀉物を私の枕元に、排泄物をシートの外にされました。
泣く泣く後処理をする私の横をゆっくりとデモ行進する3匹の手にはどこから用意したのかプラカードが握られており、次の様に書かれておりました。
 ”お犬様ファースト!” 
以上の理由により横殴りの雨の日も、視界不良な猛吹雪の日も散歩は欠かせません。
だがこの日本において悪天候日は意外と少ないというのが私の実感です。
だからほぼ毎日が快適にお散歩が出来るのです。
 そんな快適な散歩中、どうしても気になるものが目に入ります。
お犬様を慮(おもんばか)り、当然の様に通勤ラッシュ時を避け、交通量が少ない路地なんかを散歩致します。
すると意外や意外、年配の方が運転する車を多く目にします。
 私は運転のお邪魔にならぬよう道の端に寄り、車をやり過ごします。その際必ず運転手さんの目を見ます。
何故見るのか?
それは安全の為です。
もちろん暗闇では不可能ですが、それでも車内に視線をやります。
運転中の目線により(ある程度ではありますが)運転手の方がこれからどうしたいのかを察します。
相手をを尊重する事によって悲しい事故を未然に防ぐのです。
 それでも運転手さんの意にそぐわない場合も多々あります。
精一杯道端に避けていても、
 「危ないなぁ、・・・邪魔臭い」
との表情をされる方は多いです。
こちらは精一杯避(よ)けていてもその方にとっては危険この上ないと感じられる方もいるのは当然です。
個人個人の危険範囲は異なるものなのですからよ~く理解出来ます。
私も車の運転をしますからよくよく理解出来ます、が、しかしですよ、しかし、物事には限度があります。
 ”そこまで嫌な顔しなくても・・・”
と思う事が1回の散歩につき最低1回はあります。
 ゆっくりと私達の横を嫌悪感丸出しの表情で通り過ぎる年配車・・・、そう、そうなんです、年配、いや、正確に言うと、
 ”こちらを睨みつけながら通り過ぎる年配男性”
なのであります。
 ”気にしなければいいジャン!”
と言うのは極めてまっとうな意見ではあります。
もちろん避(よ)けているからと言って恩を着せるつもりも毛頭ありません。
ですが、私は、
 ”このおじいさんに運転させちゃ駄目なのでは?
と感じてしまうのです。
 昨今、年配者の運転事故が多発しております。
私が思うに、もしかするとそのおじいさん達の限界をすでに超えているのではないか?と。
その体の中で運転に不都合な何かが起こっているのではいやしないか?と。
家族の為自分の為に酷使してきた身体が知らず知らず衰えてくるのは致し方のない事。
悲しいかな、恐らくそういった方達が次々と事故を引き起こしてゆくのです。
 そうかと思えばおばあさん。
 いつものように私は道の端に寄り、運転手さんの顔を見る。
するとそれは年配の女性。
 ”いかん!危険すぎる!”
そう判断した私はお犬様達を自分の足元までいっそう強引に引き寄せ、万全の体制を整え身構える。
 ”万が一の事が起こったらお前たちだけでも助けてやる!”
と力むのだ。
 何故私がそこまで危険だと感じるのか?
その答えは簡単です。
皆さんも是非参考にしていただければ、と切に願います。それはこうです。
 ”こっちに目もくれない”
とゆう事なのです。
 恐らく、その方(達)も、
 ”アッ?前方に敵機発見・・・(失礼)もとい、アッ?犬だ、気をつけなきゃ”
と思ったに違いありません。ですが、目標を確認したあとは目標には目もくれないのです。
だいたいにして、ハンドルの円の内側から前方を覗き見ているような運転です。
視野が狭いのです。
明らかに無理があるのです。
とは言え、彼女達ばかりを責められないのも事実。
いずれにせよ危険な事に間違いは無いのです。
 自分もやがて年配者になります。
御歳になってから事故は起こしたくはないもの。
自動車の運転免許は正常な判断力のあるうちにお国に返さなきゃな、と思わなきゃいかんと思うこの頃です。
 『カッコつけんなよ!そんな事いいから早く散歩行くぞ!それとも何かい?ここでしちゃってもいいのかなぁ、クンクン、ガルルルル・・・』
はは・・・、では、行ってきます。

こっちを睨(にら)むおじいさん、まわりが見えていないおばあさん。~お犬様散歩シリーズ~

 生物学的に生き残るのは注意深い人間という。
人間誰しも無駄死にはしたくないものだ。 
今後、対策を練らなければならないのだと痛感する。

こっちを睨(にら)むおじいさん、まわりが見えていないおばあさん。~お犬様散歩シリーズ~

いつもの様にお犬様のお散歩にお供する私。 そんな当たり前の日常だが、散歩を通して最近増えつつある危険にスポットをあてた。 ”この人ストレスが溜まっているのかのぅ・・・” と思ってしまう事例。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • アクション
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-11-12

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