天使狩人 12

前回と同じ

「君は……?」
 突如声を掛けられた人物に名前を聴いた。
 ーー俺を、助けてくれた人物だ。
「僕はヴァン。それよりも、はやくアイツを倒そう!」
 ヴァン……、服装はダークと同じ、カラーは深緑り。サラサラヘアーをした、いかにも勉強できるような顔立ちだった。
「あ、ああ」
「僕が援護するから、遊撃に当たって」
 心強かった。
 仲間がいるだけで、助かった。
 でも、何故? 
 何故、ここに辿り着いたんだ? 
 どうだっていい、はやく倒すだけだ……。
「任せろ!」
 ヴァンは、シルバーに輝く拳銃を持っていた。そこから、雷の如く、放電が飛んだ。
 それは、こちらに飛びかかってくる嘴をミスもなく撃ち落としていく……。
 ーー負けられるかっ!! 
 ヴァンが雷なら、ダークは蝶となった。いや、蝶のように舞ったのだ。
 軽やかなステップで、天使の回りを舞う……、舞いながら、刀身を滑らせる。

  ズバッ、ズバズバッ

 赤い血の代わりに白い液体……。それにドロドロしている。
 蝶の舞いは終わらない。
 軽やかに、力強く、それでもって豪快に。
 天使を切り刻んでいく……。
 やがて、その舞いが終わりを告げる頃……辺りは白く、天使は炎に包まれていた。
「勝った……?」
「勝ったんだよ、ダーク君! まだ、新米の僕らが勝ったんだ」
 ーーえ? 新米? 
「うわあ、これで僕も天使狩人かぁ」
「え? まだ、新人なの?」
「うん、でも、これでやっと成れるんだ」
 ーー成れるって、天使狩人にか? ……そうか、ここでも。
「ダーク君、君と話したいのはやまやまなんだけど、もうお別れだね。また、会おう!」
 気がつくとあの光の球体が体を包みはじめていた。
「きっと、会えるよ!」
 最後の言葉がヴァンに届くといい、と願いながらダークはあの何もない部屋に戻っていった。


 何も変わらなかった。ただ、シーラが居なかっただけで……。
「シーラは?」
 ソーマに聞いた。
「いまから、表彰式だ。お前も行け」
「ああ」
 またもや魔方陣が浮かび上がってきた。
 刹那、飛ばされる……。


「仮天使狩人、シーラ! これより、貴殿を天使狩人とする。所属先は《レジスタンス》、反抗する者の集いだ。以上」
 飛ばされた場所では、なにやら法廷のようなところだった。それも、まだダークが長峰恵の名前だったときに裁かれた法廷と同じだった。もちろん、裁く人間も服装は同様、顔を隠していた。
「ーーーーーーーー所属先は《朱雀》赤き者の集いだ。以上」
 誰かは知らないが、朱雀という単語は聞こえた。確か、日本の四聖獣だったような。だけど、もう日本は無いから……。
「《清瀧》」
「《白虎》」
「《玄武》」
 清瀧、白虎、玄武……、これらも四聖獣だ。
 ーーどういうことだ? 
「仮天使狩人、ヴァン! これより、貴殿を天使狩人とする。所属先は《クルセイダーズ》、聖なる者の集いだ。以上」
 ーーレジスタンス、クルセイダーズ……? 四聖獣と違う? 
「ダーク! 仮天使狩人、ダークはおらんか?」
 ………………………………………………………………………………。
 ーー俺だ! 
「はい! はいっ!」
「仮天使狩人、ダーク! 貴殿を天使狩人とする。所属先は《バスターズ》、祓う者の集いだ。以上」
 ーーバスターズ……? なんだそれ? 
 ダークの些細な疑問も虚しく、後ろから抱きつかれた。

天使狩人 12

続く

天使狩人 12

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-07-08

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