氷の下に

詩です。悪魔と契約した女の子が氷漬けにされる話です


ここはどこ?
私はどうしてここにいるの?
帰らなきゃ
お父さんとお母さんのいる家に
走って走って私の居場所へ
でも待って
足が動かないの
腕がピクリともしないの
なんかこの世界が分かってきたわ
1トンの重りが体につけられて
氷の下に閉じこめられちゃった
早く帰りたいの
早くいつも通りの世界へ戻りたい
さむいよ
つめたいよ
なのに体は震えない
脳がまともに働かない
息もできないよ
ぶくぶく、鼻から息が出て行っちゃう
このままじゃ心臓が破裂しちゃう
死んじゃうよ
はやく助けて
お願い神様、許して
あの子と契約した私がいけなかった
「お父さんの体を治して」
あの子は言った
「分かったわ。じゃあ代わりにあなたの世界をちょうだい」
悪魔と契約した私がいけなかった
騙されるのが悪い
そんなことはわかってる
それでも病気の父を助けたかった
許してください
悲しくて寂しい水の塊から
はやく私を救い出して

氷の下に

氷の下に

  • 自由詩
  • 掌編
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-11-08

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