名階可岳先生の化学講義 周期表

白居 ミク

  1. 1
  2. 電子からの説明
  3. Ⅲまとめ

まず、ありとあらゆる物質は、一つの陽子からできている。
陽子は1個から120個くらいまであり、
数によって全く性質が変わってくる。
この1つ1つに陽子の数と同じ番号を振り、
アルファベットの略号を付け、
さらに余っている電子の数で縦割りに電子殻の殻数で横割りにして並べたものが周期表である。

陽子1の水素から始まり、最初は軽くて気体が多く、だんだん固体が混じってきて、20を超えたあたりからはほとんど金属で、さらに重たい固まりとなり、100前後になると、自力で状態を保っていられず、ほとんどが崩壊しつつある放射性物質となる。

陽子には特徴が二つある。
① 基本同数の中性子とセットになっている。
理由は不明だが、なぜか電気的な性質はプラスでもマイナスでもない、陽子と同じくらいの大きさの、「中性子」とセットになっている。
そのために重さは倍になる。
この中性子は同数とは限らない。
例えば、炭素12が有名で、炭素は普通なら陽子12、中性子12の質量24
しかし中性子が1個2個多い炭素もある。
中性子13、中性子14の炭素がそれで、それぞれ重たくなり、質量25、26。
性質も異なる。

② 陽子はプラスの電気を帯びている。
同数の電子を引き付ける。
⇒これが超重要!
まず、物質にとって、電子とは、生まれつき持っている唯一の財産である。
陽子の数によって、同じだけ数の電子を引き付けて、それ以上でもそれ以下でも安定しない。
なくてはならないので、食べ物か血か、
ないとうろつきまわって安定しないので、精神安定剤か、家族か、
かといって多すぎても放出したがるので、欲のない人の貯金か、

しかもこの電子は、数さえ合っていればよいというものではない。
電子は陽子と中性子がドッキングした原子核の周りを、びゅんびゅん飛び回る、小さな点みたいなものだが、これが、電子殻とか電子軌道とかの法則により、せっかく
持っている、陽子の数からいっても持つ権利のある電子を手放したがったり、あるいは持つ権利もないのに人から奪いたがったりもする。

とにかく、この電子がありとあらゆる物質の、結合する動機となっている。

最後に原子用の単位
=mol(モル)
=6.02×10の23乗
*“2×3は6”と覚えると覚えやすい。
そして1mol=気体は必ず22.4ℓ
*“2×2は4”と覚えると覚えやすい。
陽子1個の原子が、1mol(個)集まると1gになる。
中性子が加わると、1gプラス。
ゆえにH₂は質量1(陽子のみ中性子なし)×2個で、1mol(個)で2グラム。
原子記号6の炭素は、1mol(個)集まると12グラム。
質量数13や14の重ための炭素は、その都度計算して。

先生「どうだ!すごく分かりやすかっただろう!…では次に電子殻を…」
生徒「いや待って。全然わかんなかった。長すぎた。」
先生「いや、これほどわかりやすい説明ないよ!
   じゃあ最初からゆっくりと。
   まず、この世のありとあらゆる物質を分けると、原子という最小単位にたどり着く。
   英語で言ったらアトム。鉄腕アトムはここからきている。」
生徒「ふむふむ」
先生「さらにこの物質を分けると、陽子という、プラスの電気を帯びた、小さな小さな物質にたどり着く。ありとあらゆる物質は、どれも細かく分けると、みんな陽子になるんだ。だけど、この陽子の数が違うので、違う原子になっているんだ。現在のところ、発見されている原子の数は、100ちょっと。OK?」
生徒「うーむ。」
先生「で、この陽子と中性子がセットになって、核を作り、その周りを電子がびゅんびゅん飛び回っている。そういう絵を、見たことがないかなあ?教科書でも表紙になったり化学団体のロゴマークになったりしてるけど。」
生徒「それ試験出ます?」
先生「たまに出る。基本事項だから。中性子がドッキングすることで、質量は陽子の数=原子番号の倍になっている。ちなみに陽子と、あまり役に立っていない中性子をより小さく分けたのが、素粒子なんだ。この分野では、日本の科学者が、ノーベル賞を取ったんだ。湯川さんとか小柴さんとか。」
生徒「はあ。」
先生「で、あとは講義メモを見て。」
生徒「そこは説明すっ飛ばすの?」
先生「この先もやっていけば、また見直したくなるかもしれないし。それに、かえってわかるかもしれないし。
   それに、この、すべての物質は陽子からできていて数が違うだけだ。だから、まだ発見されていない物質もこれこれこういう数の陽子の原子があるはずだ、と、周期表をつくった学者が言ったが、これが当たっていたんだ。周期表を作り出した学者は天才だよ。」
生徒「テスト出る?」
先生「メンデレーエフは時々聞かれるな。本当に時々。
   水兵リーベ~は言える? 念のため言っとくよ。『水兵リーベー僕の船 名前があるシップスクラークか』これで1番の水素から20番のカルシウムまで全部書けるよ。20番までくらいは元素記号言えるようになっとけば便利だぞ。この辺は暗記しとけば後が楽。大丈夫? じゃ、次行こう。」

電子からの説明

電子は層になってびゅんびゅんと陽子&中性子の周りを飛び回っている。
内側から、K殻(2) L殻(8) M殻(8) N殻(18) O殻(18)・・・・・Q殻まである。
1つに入るのは基本2n²個 例外だらけだが覚えるしかない。
さらになぜかAからではなくKからだが、これも覚えるしかない。
内側の層がいっぱいになると、
次の層を電子が飛び回り始め、
そこもいっぱいになると、さらに次の層を飛び回り始める。
薄い層のように見えるので、“電子殻”と呼ぶ。
ところでこの電子殻がいっぱいにならないと、電子は安定しない。
陽子自体は、すでに持っていいだけの電子をもって満足しているのに、
この薄い電子殻がいっぱいにならないと、電子は不安定になる。
安定している幸運な原子は少ししかない。
周期表の一番右端の列、「希ガス」の面々である。
この希ガス、そもそも自然界にめったに存在しないので、「希」ガスという。
(でもネオンはネオンサインの中でよく使われている。ヘリウムも風船に使う。)
それ以外は1個多かったり、あるいは2個少なかったり。
4個足りないなんて言うのもある。(12の炭素がそうだ。)
そうすると、せっかく持っていていい電子を手放したがったり、足りない分を奪おうとする。
そうすると、本来の釣り合いの取れた姿ではないのに、何とか安定状態になる。
この状態を、「イオン化」という。
電子を捨てたり奪ったりするために、プラスやマイナスの電気を帯びている。
記号では、
H⁺(1番)→1個しか持っていないのに、捨てたがる。
K⁺(19番)→1個捨てて、陽イオンになっている。
Na⁺(11番)→1個捨てた。「1価の陽イオン」と呼べる。
Cl⁻(17番)→1個奪った。「1価の陰イオン」になっている。

*捨てたがるもの→Ⅰ族
         水素+アルカリ金属
 奪いたがるもの→17族 
         ハロゲン(右から2番目の列)
 安定独立→希ガス(一番右)

ちなみに、捨てたがり(プラス/陽イオン)と奪いたがり(マイナス/陰イオン)が捨てたり奪ったりし終わってひとまず安定した後、プラスとマイナスでひきつけあったのを、「イオン結合」と呼ぶ。食塩が代表的だ。磁石のS極N極みたいにひきつけあってはいるが、元はバラバラなので、水にすぐ溶ける。

それから、電子を奪う力を、「電気陰性度」と呼ぶ。
・電子を奪う力が強い=電気陰性度が大きい。
 奪う力が一番強いのは、F(フッ素)
 周期表の右上にいくほど大きくなる。(希ガスは除く)
 電子を奪うとき、大きなエネルギーを放出する。=電子親和力が大きい。
 周期表の右上にないのに、例外的に大きいのは、H(水素) (左上にあるけどそこそこ奪う)
この、「奪わなければ満足しない元素たち」が、重要である。
なぜなら、彼らは「足りない電子を出し合って共有して解決する」という、「共有結合」を行うからだ。これが強力な結びつきであり、かなり安定した化合物なのだ。
二酸化炭素とか、酸素とか、水とか、生活に必要なほとんどの物質が、共有結合で作られている。

逆に、電子をどれだけ楽に手放すことができるかを「イオン化傾向」と呼ぶ。
手放したい電子は手放せばいいと思うが、一緒にいる者の手放し力の力の差で、イオンになったりなりならなかったり電子を水素の形で手放したり代わりに水としてだったりする。
特に金属は、そうあっさりと電子を手放すとは限らない。わざわざ手放さなくてもかなりがっちりと結合できるのだ。金属にできる芸当「金属結合」で、余った電子を金属内で遊ばせておくことができるからだ。電子を手放す際に、希塩酸に入れられたらやっと水素の形で手放すみたいな溶けにくい奴と溶けやすい奴がいる。一番溶けやすいK(カリウム)は、水に放しただけで、水素を発しながら融けるし、ほっといても電子を放出して大気中の酸素と融合し、錆びるので、石油に入れないといけないが、金は一番手放しにくく、(=水に溶けにくく、)王水という、特別な溶液でなくては融けない。
ここでは特別な用語を使う。
電子を手放すことを「酸化」電子を奪うことを「還元」と呼ぶ。
「酸化」は、酸素と結合することと習ったと思うが、ここでは酸素と結びつくとは限らない。しかし、電子を手放して、楽な電子殻を持つようになった原子は、錆びたり、融けたりするので、(イオン化)それほど間違いではない。
電子を手放させるのにどれだけ手こずるかは、元素同士の手こずり度一列表示がある。
(「イオン化列」とよばれる。)
先の範囲だけど、載せておくと、

K(貸そう) Ca(か)Na(な)  室温で酸化(すぐ錆びる。)水で水素発生。
(1族アルカリ金属すぐに電子を捨ててイオン化する)
Mg(ま)Al(あ) 熱を加えれば酸化(水素発生) 高温水蒸気でも水素発生。
Zn(あ) Fe(て) 強熱で酸化 高温水蒸気でも水素発生
Ni(に)Sn(す)Pb(な)(鉛) 強熱で酸化 もはや水では反応なし 希塩酸希硫酸が必要
H₂(ひ) ここから上の金属は、比較的電子を手放しやすく、希塩酸希硫酸が使えるし、融かせば水素が発生する。しかし、ここから下は、水素よりも電子手放し力が弱いため、かなり無理をさせて(希塩酸希硫酸ではもはや融けない。硝酸・熱濃硫酸を使う)電子を放出させても、水素は発生しない。
Cu(ど) Hg(す) Ag(ぎる) 硝酸・熱濃硫酸(熱くした濃硫酸)に融ける。
水素の代わりに水や硝酸、を発生
Pt(しゃっ)(白金)Au(きん) 王水(濃硝酸1濃塩酸3の割合で混ぜた酸)で融ける。
*「貸そうかな まああてにすな ひどすぎる借金」という、頭文字1文字だけの、多少無理のあるごろ合わせが存在する。

先生「よし、電子殻の説明終わり。
   ここはイオン化にかかわってくるから、そこそこ重要だな。価電子の数も、これで計算できるようになったし。
ついでに金属のイオン化傾向まで説明しといた。どうせ後でやるから、電子殻と一緒に覚えたほうがいいかと思って。
   電子殻というのは、分かりやすいイメージで、実際は鉄アレイ型の電子軌道を…」
生徒「先生!」
先生「え?」
生徒「・・・・やっぱりわかんなかった。途中から。ちょっと長くて。」
ゴン!(先生が額を机にぶつける音)
生徒「ごめん!でも正直に言わなかったら、どんどん進んじゃって、他の先生でもそれで分かんなくなったし。家庭教師の意味ないし。」
先生「いや大丈夫。えーっと、何から説明すればよいかな? んー・・・よし、天才メンデレーエフの作った周期表から。
   メンデレーエフは、電子殻を持っているものを1重のもの、2重のもの、と、横一列に並べた。さらに、その電子殻に並んでいる電子の数を、きっちり埋まっているもの、1個足りない、2個足りない、3個足りない、・・・と、縦一列に並べた。
   これが周期表だ。横で電子殻を何重持っているか、縦でその電子殻に何個の電子が入っているかを一目でわかるようにして、電子殻と電子を中心に元素を並べた表なんだ。ここまでOK?good!
   で、つまり、K殻が1番上、電子は2個までだから、水素とヘリウムの2個だけ。
   次がL殻で、横一列に8個ある。次の3列目も8個。4列目はまだ入りきるが、5列目6列目になると、表に入りきらずにはみ出してるだろ。
   なんで8個までかというと、それ以上入るとしても、とりあえず8個あったら安定するとので、8個だけ入れて、あとはもっと内側の軌道に入れたり、そのあたりが遷移元素になってくるんだ。
   わかりやすいように、周期の横に、ちっちゃくKやLって書いてもいいぞ。
   そ・れ・で・・・ここからが重要なところだ。
   本来持つべき電子の数は決まっているのに、この電子殻を埋めようとして、原子たちは、捨てたり、奪ったり、他とくっついて電子を共有したり、複雑に動き始める。ここが化学のみそなんだ。多様な物質が生まれるのも、この電子に秘密がある。
   ほとんどの元素は金属だから、あんまりくっついたり離れたりしないが、特に、非金属の、周期表の右側の2-3列、他の電子を奪いたがる奴が、積極的に融合して、複雑な化合物を作りやすい。中でも、C(6番の炭素)、4つの電子を奪いたい奴だが、特に複雑な変化をするキーパーソンになる。人体の物質、人に限らず生き物の体は、ほとんどがこのCとHをもとにいろんな化合物ができてるのを材料にしている。だから、C化合物だけを特に扱う、有機化学という分野があるほどだ。
   ・・・いや、有機化学は面白いけどこれも難問で。
   縦列のことを俗に「族」と呼ぶ。(面白くない? 分かった分かった。)
   同じように電子を奪いたい/捨てたいグループの集まりだから、その性質もよく似ている。それで、それぞれに名前を付けて「~族」と呼ぶ。」
生徒「それ知りたい! 呼べたらかっこいい!」
先生「すごくかっこいいとも!やる気がでたらなんだって素晴らしい。
   1族(1個捨てたい族)=アルカリ金属(すぐ反応する。石油中で保存)(Hは除く)
   2族(2個捨てたい族)=アルカリ土類金属(よく反応する。すぐ酸化よく燃焼)
   15族(3個奪いたい族)=窒素族(毒が多い)
   16族(2個奪いたい族)=酸素に代表されるが、よく燃える。
   17族(1個奪いたい族)=ハロゲン(毒が多い)
   18族(奪いも捨てもしない族)=希ガス(極めて安定・気体が多い。)
   名前がテストに出るのは1と2と17と18だけだな。大体は。
   ・・・分かっただろうか???」
生徒「分かったんじゃないかと思いますよ。たぶん。」
先生「いい?ここは、教科書でいったら、30ページくらいしかない。結合のところも合わせて40ページくらいしかない。でもここは、科学の根幹にかかわるところなんだ。物質がどうくっつき、どう離れ、静電気力、分子間力、クーロン力、あるいは電子共有、どの種類の力で、どの程度の力でくっついているのかを理解する大事なところなんだ。
   ここを外せば、後のところを全く理解できないことになる。だからとても大事なんだ。ゆっくりじっくり頭に入れて理解すること。」
生徒「はい!」
先生「で、最初のところに戻るけど、電子殻は分かりやすいイメージで、実際は、鉄アレイ型と、全体を飛び回る球型と、二つの電子軌道がある。
   そして、1つの電子軌道に、電子二つまでという大自然ルールがある。(科学者が勝手に決めたんではないからね。)
   そのために、詳しい説明は省くとして、足りない電子を共有する共有結合に、どの軌道を共有するかで、σ(シグマ)結合とπ(パイ)結合という、強い結合と、その他の弱い結合が生まれることになった。それは次回かその次か、とにかく先で。」

Ⅲまとめ

周期表の分け方にはこんなものがあります。
①金属―非金属という分け方。
 非金属は右の方に少しあるだけ。階段状になっている。
 金属が金属結晶で陽イオンになり、
 非金属が分子や分子結晶で陰イオンになる。

②典型―遷移という分け方
大体2分する。縦にスパッと分けられる。
真ん中(3~11族)と左右(典型)に分かれる。
典型は同族の性質が似る。アルカリ金属・アルカリ土類金属・ハロゲン・希ガスといったグループわけあり。
遷移は最外殻電子が1~2個。もちろん電子の持ち分はどれも違うが、内側の電子殻に空きがあるために、最外殻電子はどれも1~2個。ゆえにすべてひっくるめて似ている。
   酸化数+2~+7まで変化。同じ物質とは思えないほど色もいろいろ変わるし性質も変わる。

名階可岳先生の化学講義 周期表

名階可岳先生の化学講義 周期表

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  • 短編
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