裏サンタクロース。

サンタクロースはサンタなのか?それとも>

k太。14歳中学二年生。

12月24日、n太は、薄暗い部屋で母親を待っていた。
小さな窓には小雪がちらつき始めいるが、煖房を付けようとは思はなかった、同級生にからかわれるまでもなく、母親の収入が少ない事を知っているのである。
そんなn太の悩みは、よくある事で同級生によるいじめ・・・体格では子供と大人ほど違ったが。
「あいつら、何なんだろう!」それがn太の正直な気持ちだった。ジャイ男はその中学生離れした体格で、暴力を振るってくる、そしてs夫はとてもずる賢くて陰湿な仲間外れや、配布されたプリントを隠され教師に怒られた後にいつの間か、机に戻して薄ら笑いを浮かべている。幸いな事にn太は、お金を持っていなかったので、今までそれは取られなかった。
しかし、昨日の学校で、母親からクリスマスケーキを買う為に予約券と3千円を預かったが3千円だけが消えてしまった。
ランドセルの中に財布を入れていたので落とすはずは無い、3千円をケーキ屋に払えば引き替え券をくれて予約が確定するはずだった、勿論予約の時に払えば良いが、母親の給料前でギリギリに入金するはずだった・・・。

あの二人が犯人の証拠は無い、たとえn太がケーキ屋の前でランドセルをひっくり返して探しているのを、笑って見ていても、これ見よがしに
「何か?お探しですか?」とからかわれても、そして「貧乏がケーキ食うんじゃねぇ」と言われようとも。

窓の雪はまだまだ止みそうに無い。

n太は、生まれつきと言っても良い程優しい心を持っていた。ジャイ男とs夫の卑怯ないじめを、担任教師に訴え同級生の知る所になれば、それに加わっていた者も今度は逆にいじめ・・・社会的制裁に遭うのでは無いか?と心配する程優しいのだ。ジャイ男とs夫が暴力と仲間外れを使い嫌がる同級生を従えていると知っていた。そしてそんな事で母親に心配掛けたくは無かったし、担任教師にも気の毒だった。
ジャイ男とs夫が、n太をいじめの標的にしたのはn太が誰よりも平和主義で優しいと知ってだ。
いじめが卑怯な事は、自分たちが1番知っているからバレ無いように神経を使って行うし、善良な同級生も一度でも仲間に加わればもう逃げられなかった、よくある表現でいえば蟻地獄だ。
同級生の不幸を全て背負い込んでn太は、フラフラに生きていた。
いじめられているから、ひ弱で臆病だと思われがちだが、そうでは無い、母親に何かあれば身を挺する覚悟も持っている正義の人間だ。

「雪・・・止みそうに無い、駅まで迎えに行ってあげよう」お金の事は、自分が落としたことにしよう、優しい母親だからきっと許してくれる、そう信じれる。思い立ってドアを開けると大きな箱が目の前に突然現れた。
「こんにちは、最高のクリスマスプレゼントのお届けです」そう言うと大きな箱が狭い玄関をドンドン進んでくる。n太は後退りするしかなかった。
「伝票にサインか判子下さい」箱が大きすぎて横からの手だけしか見えない、n太はなんとか伝票を受け取りサインをした。
「ご苦労様です」丁寧に礼をして箱越しに伝票を渡すと「メリークリスマス」と声がしたのでn太も思わず「メリークリスマス」と返し大きな箱を受け取った。
すると薄くらい部屋が背後から暖炉があるような暖かさとオレンジ色の光りに包まれていく、「なんて暖かいんだろう」。
まさか火事?思わず振り返るが、そこには寒くて薄くらい部屋があるだけだった。  
「な~んだ、びっくりした」しかし本当にびっくりしたのは振り返ると誰も居なくなっていてっ自分一人で箱を抱えていた事だ。

サンタクロースはいつも。

「どうしたのだろう?」
急いで玄関を飛び出してみたが、もう誰もそこにはいなかったし、街並みは所々で雪化粧が始まって外の空気は随分と冷たかった。
n太は急いで部屋に戻り、赤のその一目でクリスマスと分かるラッピングを解き箱を開けた。
大きな箱のわりに軽いとは思っていたが、出てきたのは例のケーキ屋さんの引換券、ただ一枚。
「一体?誰が?」
n太は色々と思考を巡らせる、例えばn太があのケーキ屋さんを立ち去った後に、ジャイ男とS夫が、三千円を支払い引換券を受け取って、
わざわざこんな事をする・・・イヤそれは無い。箱を持ってきたのはどう考えても大人の感じだった。
ひょっとして、担任教師?偶然にもあのケーキ屋の前で一連の出来事をみていて、表沙汰になるのを恐れて・・・イヤ無理があり過ぎる。
「もう、どうでもいいや」n太は傘を二本持ち飛び出した、早く駅に行かないと母親が雪に濡れてしまうし、ケーキ屋さんも閉まってしまうかも知れない。「いそげ、n太」自分で自分を励ます、雪はとうとう本降りになり歩道につもり始めてきた。
駅につく前にケーキ屋に行くべきだろうが、もしそれで間に合わないとせっかく傘を持ってきた意味が無い。
「駅に行こう」母親の笑顔がみたい、母親の役に立ちたい、無我夢中で走るうちに、ただそれだけになってしまった。
駅に近づくと人の波が押し寄せてきた、母親の姿を見逃さない様に今度はゆっくりと歩く。
クリスマスの人々は誰も皆幸せに見えた、この幸せそうな人混みの中に母親の姿があると思うと不思議とn太まで笑顔になってくる。

駅の改札口には、n太同様の待ち合わせの人々・・・皆、傘を一本手に持ってそれぞれの人をそれぞれの思いで・・・。

「あっ、お母さんだ」小走りに駆け寄ると少しビックリしたような顔で、母は微笑んで迎えてくれた。
「はい、傘持ってきたよ」「ありがとう、雪降るなんて、知らなかったわ」そう言いながら母は折りたたみの傘をバックの底に押し込めた。
「「母さん先に帰ってよ、ケーキを貰いに行かなくちゃだめなんだ」元気なn太は、嬉しくて堪らない。
「そう、でも母さんスーパーに寄るから・・・買い物してる間にケーキを貰ってきてスーパーの前で待ち合わせしようね」
「うん」n太は、ケーキ屋に向かった。

聖なる夜の秘密

ケーキ屋は人混みでごった返している。
クリスマスイブのお楽しみ。いつからかケーキとチキンは欠かせない、それが例えば海外シンジケートやカンパニーの商業戦略だったとしても。
世の中に集う小さな人々は、小さな幸せをつなぎ合わせて生活していく、クリスマスイブのような特別な日は少しの贅沢を楽しみ又生きていく。
小さい、小さい幸せ・・・小さいからこそ大事で、大切な幸せ。

n太も引き替え券を握りしめて、ケーキ引き替えの列に並ぶ、目の前の人々は次々と大きな箱の大きなケーキを抱えていく。
やがてn太の順番がやって来た。
「お願いします」引き換え券を渡すと、明らかに小ぶりな箱が渡されるがn太にはちょうど良い、だって母とn太ふたりきりだから。
「ありがとう」小さくお辞儀して受けとる、大切なしあわせの箱・・・雪はまだ完全に止んでいないが傘を脇に抱えて両手でしっかり抱きしめてスーパーに向かう。母親を待たせたくない思いから早足になるが積もった雪が邪魔をする、しかし一歩一歩が幸せだ。

その様子を影から見ている二人組がいた。
ジャイ男とs夫だ「何で!あいつがケーキを買ってやがるんだ」ジャイ男が吠える。
イジメを行う者には、家庭に問題アリが多い、現実にとジャイ男s夫は今日というクリスマスイヴを、たとえ雪が降ろうとも暖かな日をその家庭では
無くやることもなしに、街を彷徨いている有様だ。
ジャイ男の母はもう十日は家に帰ってこないし、父親も何処にいるかさえ分からなかったし、s夫も似たような環境だった。
「奴のケーキを盗ろうぜ」とジャイ男が言うと「俺は自転車で先回りするから、お前は追いかけて挟み撃ちにしよう」
いつものように、ずる賢いs夫。
一方n太はそんな悪巧みが行われているとは知らずに、どんどんスーパーへ向かう。
「もう少しだ」笑顔イッパイのn太、しかしその後ろにはジャイ男がもう迫っている。
そして前方からs夫が自転車で迫ってくる。
二人の距離がダンダンと狭まりやがてs夫が自転車で道をふさいでとジャイ男が襲いかかった。
何も知らないn太は母親を見つけ「お母さん、これ」と言いながら急に二人の視界から消えた。
その結果は言うまでもなく、雪がシャーベット状になった道路に二人は投げ出されて惨めな仰向けだ。
相当激しくぶつかったのだろう、起き上がれないでそのままで動けない、しかしその姿を街の人は可哀想とは思えど
誰一人として手を貸す者はいなかった。
それは二人が粋がった風貌をしていることもあったが、街の人はそういうものである。

突然目の前でぶつかり合うのを見せられてn太と母親驚いていたが、n太は頭の良い子だ、すぐに二人がイジメようとしていた事に気付いた。
そのまま行けば良いだろう、しかし母親は違った。
「大丈夫?」そう言いながら手を差し伸べn太に「ほら、救急車呼んで」と携帯電話を渡す。
その声に二人は慌てて「だ、大丈夫です、怪我はありません」全力で止める。すると「あら、そう、それは良かったね」
そう言いながらいつの間にか手にしたハンカチで母は二人の顔を拭いた。
二人にしてみれば、味わった事のない優しさだった。
「ありがとう」そう言うのが精一杯な二人、イジメをする者の家庭環境などは、容易に想像できる、甘やかされているか、虐待もどきの生活、言うまでも無く親は近所の鼻つまみ者で、他人を過剰攻撃して保身するのだ。

n太と母親は家に帰ったがn太はすっかりあの大きな箱の事を忘れていた。
案の定、母親に見つかり全てのことを話した。
「よく我慢したね、でも、もう心配いらないわ、今日の事で少しは変わるはず、誰かに見つかるのがあの二人には一番怖いことだからね」
それは母の願いでもあったが「うん、今度又イジメてきたら、大声が出せる、そんな気がする」雪降る路上で無様な姿をさらした二人の顔は
化けの皮を剥がれて、ただキョドキョドする弱虫そのものだったから。
「そうよ、怪我したらつまらないからね、賢く賢く・・・いっそう大ごとにしても良いしね」
そんな事を話しているとなぜだか力が湧いてくるn太に明日への希望がサンタクロースからプレゼントされたみたいに、n太は不安から解放され大はしゃぎしてやがて眠ってしまった
「あの大きな箱は一体?だれが」それさえ忘れてしまう程だった。
 
そのあどけない寝顔を見ながら母は幸せを感じていたし、大きな箱の送り主に感謝していた。
「まだ子供ね、ケーキの箱と大きな箱の包み紙が一緒でも気がつかないなんて・・・」
n太の父親はその昔、友人の連帯保証人になりお決まりのコース、自己破産し迷惑が掛からないように離婚。
あのケーキ屋で職人めざし、再出発した父親に顔を見せる為にワザワザ予約したのだったが、それがイジメの現場を見る事になった。
「ありがとう、私のサンタクロース」母親もまた、幸せになる夢を見ることができる、今日はクリスマスイブだから。

                          完

裏サンタクロース。

物事には何でも裏がある、そういう物語

裏サンタクロース。

イジメられっこのn太は、閉塞感でいっぱいだった。そんなn太にもサンタクロースはやって来たが、いつものいじめっ子に見つかる。 絶体絶命の危機を救ったのは母親だ、そして母親にはサンタクロースが誰かも知っていた。

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-11-04

Copyrighted
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Copyrighted
  1. k太。14歳中学二年生。
  2. 窓の雪はまだまだ止みそうに無い。
  3. サンタクロースはいつも。
  4. 聖なる夜の秘密