本当

嘘のない空

西の彼方に伸びる雲は
僕を避けるように進んでいく

ほんと?

そう聞き返す君の言葉には偽りのない響きを感じるのに

本当だよ?と呟く僕の言葉には魔法がかかっているが如く
直ぐにこの夕焼けの中に消えていく

小さな指を握りしめる
まるで子供のような細い指先を
僕の言葉が魔法だと知ってる

それでも君は空を見上げて目を細める

本当だよ。本当なんだ…
うろこ雲が西の空へ消えていく

本当

本当

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-31

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