お膝元に改革を

時ハ幕末…、土佐藩ノ剣豪〝坂本龍馬″ハ今幕府ヲ討タント欲シ、薩摩藩領主〝西郷隆盛″ドンノ元へト、御座リ参ッタ…。

1.西郷どん、ニュースでござるよ!

ザァッ、ザァッ、ザァッ…。ドンドンドンッ!!
「西郷どんよ〜い!!」
「な〜んだ坂本〜」
「拙者、ニュースを持ってきたでござるよ!」
その言葉と同時に坂本は懐から紙切れを出した。そこには〝西洋列強諸国、産業改革ヲ″という題がでかでかと書いてあった。内容は「西洋の諸国が産業改革をし、軍事力、経済力、機械力共に勢力を増した。日本はこのままで良いのか、もっと先を見据えなければならないのではないか」というものだった。
そして坂本は、
【このままではならぬ。今の幕藩体制のままでは西洋との差が開く一方でござる。やはり、西洋との貿易、そして日本国民が選んだ者を上にあげ、また選んだ者も国民の生活を心配していく、そういう民主的政治体制がこれからの日本でござるよ。】
そう西郷に言った。
「確かに、今のままでは日本は西洋に潰されてしまう…。坂本さん私、その案のったでごわす」
「本当でござるか!嬉しいでござる、なら二人でやるに決まりでござるな!あ!西郷どん、私一句でき申したッ! 日の本を 今一度洗い 改革ぜよ、どうでござるか、西郷どんよいww」
「んふふははwwwwまぁいいんじゃないですかw」
「だろぉ?よいでござる!さぁ!改革でござるよ!」
下らない話も交え、土佐藩剣豪〝坂本龍馬″と薩摩藩領主〝西郷隆盛″は徳川幕府倒幕へと向かう準備を着々と進めるのであった。

2.やってきましたぁ、駿河のくに!

西郷と改革へ向けての道筋を考えて来いといって別れたその後日。また、西郷邸で会議をしようと集まったが…果たして今日西郷どんは考えてきておるのか…。ドンドンドン!
「西郷どんはいるか」
「何奴」
「坂本でごさる」
「おぉ、坂本さんでごわすか、入るでごわす」
「失礼する」
西郷の家は入ると2から3の段になっていて真ん中に囲炉裏が置いてあり、初めて見たときは薩摩でも暑くないのかと驚いたでござる。天井を見ると梁がめぐり重みを感じさせる雰囲気で、壁には刀や縄などたくさんものが飾られている。その刀も重そうなものばかりで西郷どんのようだ…ってそうだ、本題に入らねば。
「ところで西郷、考えてきたでござるか?」
西郷はにやけて手を頭の後ろに回しながら言う。
「んーww実は考えがまだ出てきてないでごわす〜」
なにっ?!こいつなにを余裕ぶっている。改革への真剣さが足りないのではござらぬか…?!
「西郷どん、実は拙者もでござるよ!(てへ」
この反応に二人で大笑いをする。
「どうしようか、んーー…拙者らで考えても無駄でござる、ここはひとつ、ゲームと行きませぬか?!」
いつものようにゲームを勧めたところ西郷は二つ返事でのってくれた。やはり、ゲームと言ったら西郷、西郷とやるゲームと言ったら「くにおくんの時代劇だよ」これにつきるでござる。このゲームは拙者が藩校の時代からやっており成人し西郷と出会った時、西郷どんに勧めたものござるが今ではすっかり西郷のスキルの方が上と化していて、悔しさしかないのでござる。
拙者はカセットを取り出しゲーム機にセットし電源ボタンを押す。機動を試みるが失敗に終わる。んんん"〜。
「おい、つきませぬ、何度やってもダメでござるよ…古いからでござるか…?おい、西郷つけてくれ、って…」
拙者は隣を見て目を疑った。さっきまで居た西郷が居ないでござる。用を足しに、とも言っておらぬ。しかも周りはAll black…。(⌒,_ゝ⌒)何も見えぬ、何事でござる!!!
「西郷っ!!西郷隆盛!!!お"ぃ!!!どこにいる!!!」
さっきから西郷が静かだったのはこういうことか…!!戸惑いながらも辺りをきょろきょろと見回しているとまっ暗い景色から光が差し込む。そして僕の視界を光が埋め尽くす。両手で顔を隠し光を遮ろうとするが全く効果はなく光にのまれてしまった。
「うわっ…!!なんだこれ!う"っ!!!」

「やってぇ、きましタァ駿河(するが)のぉくに!!」
ふと天の方からききおぼえのある声が聞こえて来た。そしてこのセリフと言えば…!!〝くにおくんの時代劇″では?!!!
光が収まり、どこかに尻餅をついたような感覚がくる。目を開けると辺りには宿屋や質屋、飯屋などの暖簾を下げた瓦屋根の店が僕の両脇にずらっと並んでいる。地面は土のようだ。だからあまり尻は痛くなかったのか。あ、そうだ西郷は、
「西郷!どこだ西郷!」
立ち上がり辺りを見回し西郷を呼びながら探していると、少し離れたところで西郷は台を持ちぶんぶん上下に動かしている。アホの極み…。
「あっ、坂本さん気づきましたか!実は私たちゲームの中に入ったみたいでごわすよ」
「?!それはどういう…?」
「あのあれですよ!坂本さんが起動ボタンをポチッとしたらなんやこんやでここに飛ばされてしまいましてゲームクリアを目指さねばならないみたいですね、そしてこのゲームはお気付きの通り〝くにおくんの時代劇″ですよ」
起動ボタンか…。確かにあそこからおかしくなった気がする。というかなぜ西郷は知っておる?
「おい、西郷それはどこからの情報でござるか?」
「あぁ!ここですよここ〜」
西郷が言う「ここ」には大きな張り紙がしてあった。
〝幕末志士に告げる
君たち2人をこのゲームくにおくん時代劇中に飛ばさせてもらった。そしてクリアを目指し倒幕をしてほしい。現在操作しているのは画面外の君たち本人だ。だからバグが起こったら君たちもバグってしまう、キャラが死んだら君たちも死んでしまう。この死ぬとは画面外の本当の君たちが死ぬことに等しい。難易度はちょむず、見事2人で生き残り倒幕することができたら外へ帰してやろう。さぁ!!倒幕を目指してくれ″
ゲーム内の僕たちが死んだら、ゲーム外の僕たちも死ぬ。なんと恐ろしいことなのか。
「西郷、やるしかないでござるね」
「うむ、そうでごわす、難しい局面もあるでこわすが坂本さんが居れば楽勝ですね」
決意を固め倒幕を目指す。がしかし僕は気づいてしまった。
「西郷、これ〝画面外の拙者たちが操作している″と言う事は拙者たちが今までやって来た流れで僕たちも動かねばならないのか」
「あぁー!確かにそう言う事ですね、と言う事は私が今この台を持っていると言う事は次には…」
「地図を見なければならないな…」
いつの間にか右腰に下がっている鞄の中から地図を取り出す。多分この張り紙をした奴が設定で追加してくれたのだろう。地図を見ると、僕と西郷のキャラが駿河に立っていた。やはり僕たちは駿河にきてしまったのか。その隣には敵のキャラクターが寄って来た、と言う事は今敵も駿河に居る。
「坂本さん駿河に敵ですよ、あっち行きましょう!この位置はあっちでごわす」
西郷が東を指差し、僕を引っ張る。
「おい、この位置は東ではござらんよ、西でござるwww」
「あwwwwwそうですねwwでは西に」
そして僕と西郷はいよいよ倒幕へ向けてゲームクリアを目指していく。というか…僕自身、西郷自身に対戦経験は数少ないのに大丈夫なのだろうか。そこらへんはゲームスキルに応じると言ったところか…?そしたら僕、めちゃくちゃ弱いでござる…。僕の顔から血の気が引いていくのが分かった。

お膝元に改革を

某笑顔動画で活躍しております、幕末志士さんを元に書いた物語です。そして、フィクションです。ご本人様に迷惑が掛からないように見ていただけると嬉しいです。
また、歴史上である本当の坂本龍馬、西郷隆盛とも一線変わったものになっています。
物語を進めるにあたり、幕末志士「くにおくん時代劇」を元にした部分と、私(宮田)自身の想像の部分など様々な部分があります。幕末にはなかった文化が出てくる場合もあります。しかし、そこが宮田なりの幕末志士だということとともに、幕末志士お二人の設定もアバウトだという2つの点を踏まえ、許していただけると嬉しいです。

お膝元に改革を

《最近の日本は何か違うと思いませぬか…?》そう思った坂本龍馬、西郷隆盛は徳川幕府の倒幕を志す。その先にはこの日本の改革を見据え、全国各地の猛者どもに屈しながらも一網打尽に斬りかかる…ッ!! 注)某笑顔動画の幕末志士さんを元としております。どのような事でも許せる方のみお願いします

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-29

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  1. 1.西郷どん、ニュースでござるよ!
  2. 2.やってきましたぁ、駿河のくに!