トリアタマ
三題話
お題
「鳥」
「多い」
「味」
土の上を、紅葉のような足跡を残しながら歩く。
今日は青空。
こうして天気が良い日は、外に出ることができる。
コッコッコッコッ……。
たくさんの仲間たちとともに日光を浴びながら体を動かす。
コッコッコッコッ……。
柵から先へは行くことができない。
囲まれた空間で、思い思いに動き回るのは自由。
最終的にどうなる運命なのかは、知る由もない。
コッコッコッコッ……。
コッコッコッコッ……。
多くのニワトリが、ここにいる。
…
「ふあー。今日も良い天気だ」
朝の日差しを浴びて、綺麗な青空に良い気分。
「お、あっちにみんなが集まってる。なんだろう?」
向こうの柵のところにみんなが集まっている。
柵の外側に誰かが立っていて、何やら投げ入れている。
「よし、僕も行ってみよう」
ばさばさ。
とてとて。
…………。
「あ、誰かが何かを投げ入れてる」
でも、わさわさとみんなが集まっていて、近付くことができない。
ばさばさばさばさ。
…………。
「お、何かが後ろのほうに飛んでいったぞ」
とてとて、とてとて。
…………。
「ん、こんなところに、何か丸いものが落ちてる」
つんつん。
「食べられるのかな?」
つん、つんつん。
「ほあ……おいしい!」
なんだ、この味は。
こんなおいしいものがあるなんて、みんなに教えてあげないと。
とてとて。
とてとて。
…………。
「あれ、みんなが集まってるな」
なんだか柵のところが騒がしい。
「よくわからないけど、気になるな」
ばさばさばさばさ。
ばさばさばさばさ。
だけどその集まりの中央へ行くことができない。
何ががあるようなのだけど。
「ま、いっか」
僕は諦めてその場を離れた。
とてとて……。
とてとて……。
「うわっ」
いきなり目の前に一羽の鳥が降り立った。
でも僕とは違って、華やかなで綺麗な羽だ。
「こ、こんにちは」
「…………」
一瞥をくれただけで、すぐにどこかへ飛び去ってしまった。
一体こんなところへ何をしに来たんだろう。
こんな何もないところへ……。
「はあ、もう中に戻る時間か」
とてとてとてとて……。
「今日もいつもと同じで、何もなかったな」
トリアタマ