Q.E.D.

Q.E.D.

君の髪質に似た人が横切ると
気になってつい目で追ってしまうんだ
君の香りが不意に鼻腔をくすぐると
もしかしてなんて視線を上げてしまうんだ

つまりそれくらい四六時中
君のことを考えてるってことで

だいたい僕の想定通り
心は新しいことを覚えていく
本で読んだような 誰かに聞いたような
感情を その意味を

僕に過去があって良かった
心以外の全身が 本能が
君が欲しいと叫んでいる
それに感謝出来て良かった
気付かないままに不用意に
君を傷付けなくて済むんだ


夕飯のあと皿を洗っていると
君の声が聞こえた気がしたりして
七分おきに携帯電話が震えると
君からのメールかなって心臓が高鳴って

つまりそれくらい四六時中
君と話していたいってことで

だいたい僕の見分通り
心は勝手に君を嫌いになる
会えないくらいなら 触れられないくらいなら
呪ってしまう その理由を

予習を怠らなくて良かった
心以外の全身が 本能が
君が欲しいと叫んでいる
それに気付ける僕で良かった
独り善がりな気持ちを
君にぶつけなくて済むんだ


だいたい僕の検証通り
心はひとりでに思い出そうとしている
君を愛したきっかけ 優しくなれてしまうワケ
機序を並べ定理を書き下して
もう一度あの証明を

僕として生まれてきて良かった
どれだけ日常に揉まれても
君が欲しいと叫んでいる
僕である証左があったんだ
これから先どんなことがあっても
君を愛していけるってことだ

Q.E.D.

Q.E.D.

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-28

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