裏の神社の神サマ。5

第五夜

今まで神や仏に祈った事が無かった。
と言うよりもただのお話だとしか思ってなかった
世間に沢山の宗教があるのは知ってたが
自分には無関係だし、無関心だった。
正直 今も信じてる訳ではないが
ここ数日 神サマと名乗る人物?が現れているのは事実だった。
今のところ 恩恵にあずかってない。
むしろ 酒とタバコを搾取されてる。
これもお布施なのだろうか?

ただ なんとなく響いた言葉で
今、料理をしている。
『出来ないより出来た方がいい』
適当にペペロンチーノを作った時に神サマに言われたセリフだ。
COOKPADなるモノは知らないけど
本屋で料理の本を買ってチャレンジしている。
まともな自炊をしない男にとっては衝撃と言うか
?マークの連発だった。
オリーブオイルとサラダ油の明確な違いもわからないし、丸々のニンニクとチューブの違いもわからない。
それでも本の通りに作ったモノは
以前、適当に作ったモノとは比べ様の無いモノが出来た。
『お? 今度はまともなペペロンチーノ作ったのか?』
目の前に神サマが突然現れた。
「うぉっ!? ・・・いきなり目の前に来てビビらせないでくださいよ(汗)」
『いきなりに目の前も後ろも関係無いだろに?』
「いきなり以外の選択肢は無いんスか?」
『ドアホン押して訪ねてくる神サマってのも不粋だろ?』
「いやいや 俺としてはその方がありがたいっス」
『んじゃ次は考えてみる。 ところで俺の分は?』
「ありますよ。」
作ったペペロンチーノと白ワインを神サマに出す
『どれどれ、見た目はいいね。 では いただきます。』
・・・
・・・
「どうスか?」
『味付けは悪くない。でも麺が柔らかすぎるな』
「ええ?ちゃんと袋に書いてある通りに茹でましたよ?」
『そりゃダメだ(笑)』
「なんでスか?ちゃんと基本に忠実にやったのにダメなんスか?」
『蕎麦やラーメンと違うんだよ』
「同じ麺じゃないスか・・・」
『スパゲッティーは茹でた後に何らかのソースでフライパンで加熱しながら作るから茹で時間短めにしなきゃダメなんだよ』
「あぁ なるほど!」
『あとは手際の悪さも考慮しないとな(笑)』
「まぁ そりゃ初心者なんで」
『数をこなせば上手くなるってもんでもないぞ?ちゃんと段取りして 考えながらやらないと料理だろうと仕事だろうと上達はしないからな』
「段取りっスか」
『そ。段取り。必要なモノをちゃんと準備して順番考えてやる。』
「じゃあ 下調べとかも段取りの一部っスか?」
『だな。』
「じゃあ 神サマも段取り上手くないっスね(笑)」
『何でそうなる?』
「だって 俺がスマホもパソコンも持ってないの調べないでモニターにしちゃったんでしょ?(笑)」
『あ、あぁ・・・そうだな完全な調査不足だわ』
「まそのうちスマホにしますよ」
『それは切実に頼むわ』
「で、ハッピーに関してなんスけど
例えば 歌が上手くとかギターが上手くとかはイケるんスか?」
『まぁ 簡単かな?』
「副作用的なのは?」
『度合いにもよるけど結構ある。』
「どんなのスか?寿命とかが短くなったり?」
『それじゃあ悪魔とかわらないだろに(笑)』
「ですよね~じゃあどんなのスか?」
『音楽的な才能伸ばしたら 感覚含めた美的センスががた落ちするかな?』
「美的センス?」
『ん。絵が恐ろしく下手だったり、好みと言うか審美眼が滅茶苦茶になる。』
「なんか 大丈夫そうな気がするんスけど?」
『そもそも歌やギターが上手くなって なんになるんだ?お前の想定では?』
「勿論 売れっ子のミュージシャンでしょ!モテるし、稼げるし♪」
『あのな?上手けりゃ売れるって話は無いぞ?逆に考えたら下手でも売れてんのテレビで見るだろ?テクニックがあったっていい曲が作れなきゃダメだろうし』
「そっか~やっぱダメかぁ~」
『才能だけで成功する世界なんかどんなジャンルでも無いんだよ(笑)』
「なんか こう サクっとお手軽に金や女に囲まれる方法って無いもんスかね?」
『あるわきゃ無い。』
「無いっスかぁ~・・・」
『金に囲まれたら それを狙う奴らに囲まれるし
女に囲まれたらって浮わつきすぎだろ?(笑)』
「でスね~。また1から考え直しまス。」
『一応、立場上で言うのは少し誠実と言うか真面目なのにしてくれよな?(笑)』
「了解っス。」
『あ、あとコレやるわ。』
神サマが1枚の紙を差し出してきた。
よく見ると宝くじだった。
「何スか?コレ?」
『宝くじの当たり券。5,000円だけどな。酒やタバコの代金ってとこだ。』
「宝くじ!!それっスよ!!宝くじの当たりならポンと大金入るじゃないっスか?!」
『あのなぁ?さっきの話をもう忘れたのか?
大金抱えたら狙われるんだぞ?どっからか嗅ぎ付けてワラワラと悪い奴らに。それに大金どうする気だよ?当選金自体は非課税だけど銀行に預けりゃ即課税対象だし 家に置いておくか?大金を?気が気じゃなくて出かけらんなくなるぞ?(笑)』
「色々とおっかないんスね?(汗)」
『そうだよ。それに俺ぐらいじゃそんなデカい金額の宝くじも用意できないしな(笑)』
「なんか 色々と地味な神サマっスね(笑)」
『あ?!(怒)』
「す、すいません。なんでもありません。ありがたく頂戴いたします。」
『ま いいや。ちゃんとまともな願い事考えとけよ? それとその宝くじ引き換え期限もうすぐだから忘れずにな?』
「了解っス!」
返事したのと同時に神サマの姿は消えた。
また1から考え直しだ。しかも誠実なと言うテーマまでついた。

続く。

裏の神社の神サマ。5

裏の神社の神サマ。5

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-26

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