色んなぐるぐる

世界のぐるぐる。

ぐるぐると、世界は回る。

目下再就職に向けて、というのも含めて頑張っていたのだけど、こりゃ作家生活を円熟させるのに集中した方がよさそうだ。

私は怖いおじさんを眺めながらそう思った。

商工会議所の前に陣取る、怖い人。
父も「あんたはまた前みたいになるから働かない方がいい」と言うし、私もそう思う。
というか、前より怖い目に遭いそうで嫌だ。

今でも温泉行くだけで、たっぱがあるせいだろうか、ちんちくりんな現地人の奥様方からは睨まれるし、なんか一人浮くのだ。昔からだけど。
気にしない、気にしないで通してきたが、なんだか限界も感じるわけで。

温泉とは、皆が裸になり、心も何もかも脱ぎ捨てて、はーあと湯につかる場所ではないのか!!

私はそう叫びたい。
テルマエ・ロマエをみんな観なかったのか!?あんなに温泉を楽しんでいたのに!

目の前のスタイルやら脱ぎ方やら披露してくる田舎人に、私は「そこが田舎だってんだよー!」と叫び出したいのを堪え、コーヒー牛乳を飲んでいた。
こんなくつろぎの間で、スマホぽちんな!と畳に腰かける若干普段はしない動作をする気取ったおばさんの肩を叩いて怒鳴りたくなる。
モデルっぽいがやはり普通の見た目のお嬢さんに、「あんたはそんな高い女じゃない」と声を掛けたくなる。その位もったいぶった脱ぎ方だった。

どいつもこいつも、阿保か。

銭湯とは、温泉とは、蓮っ葉な姉ちゃんだけが粋がるものであって、それ以外の凡人は、ただへいこら湯につかって伸びていればいいのだ。
背の高さもない青臭いガキはもっぱらそうしてろ!ファック!と私は中指を付き出しそうになり、慌てて押しとどめた。

湯を楽しんだ後は、裸になるもならないも個人の自由だ。
皆、楽しめよー、と叫びたい。
何を気取っているのだ何を不機嫌な顔をしているのだ。だーれも偉そうになんかしていないじゃないか。
私は何かを意識しあう間違った村民のちっぽけな自意識に、ただため息を吐いた。

と、こんな日常が常にあるわけでございまして、どこへ行っても、何やら気取った人ばかり、楽しみづらいんですな。
店に入れば店員に睨まれ、面白くない顔はされます。

私の見た目は背がある以外は平々凡々、普通の弥生顔でございます。
やや釣り目かな。そんなもん。

見た目も今ある服を着てるので、そんな洒落てない筈でございます。

そこが面白くねえんだよ、と言われるかもしれませんが、こんなん個人の趣向で、金のない貧乏人の苦肉の策、ほっといて頂戴な。
私に残された道は一つ、体鍛えるくらいしかねえんですよ。

世界の知らないところで回るぐるぐるに、私は目下着いていけない訳で。
そんなん知らんがな、と言いたいのですが、抵抗ついでに、勉強して資格は取ります。

何になるとも分かりませんが、とりあえず賢くなります。

と、ベタさんが起きてしまいました。
餌をあげねば。

私の日常のくるくるは、こうして小さく回り始めるのでした。

色んなぐるぐる

簡潔にね。

色んなぐるぐる

私の知らない、世界のぐるぐる。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-26

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