添い寝
喜ぼう 喜ぼう
私たちは針穴を潜れる程に矮小な事を
"邪魔"にも"無駄"にもなれない惰弱を尊ぼう
"出会い方"が重要なのではなく
"擦れ違い方"がより大切なのだと気付く
でなければ身を裂く様な軋轢にも
でなければ身を焦がす摩擦も
生まれやしないじゃないか
喜ぼう 喜ぼう
渺々たる事こそが皮肉にも最も大切なのだ
喜ぼう 喜ぼう
懊悩する分だけ深みに嵌まる不器用さを
"意味"と"意義"の枝に手を伸ばす不用意さを讃えよう
とかくそういった人間の遺す言葉の数々は
時間軸を垂直に突き破り過去から未来を
縦横無尽に駆け巡りながら心を数珠繋ぎにする
喜ぼう 喜ぼう
詩歌は歪な母型にこそ反響し狂喜しうるのだ
どれだけ日毎 懸命に文字を綴ろうとも
夜中になると癇癪を起こす彼らを枕元に置いて
橙の間接照明の柔い明度の中で頬に落ちた翳りを
指先で拭いたいだけの人生なのです
添い寝