添い寝

喜ぼう 喜ぼう
私たちは針穴を潜れる程に矮小な事を
"邪魔"にも"無駄"にもなれない惰弱を尊ぼう

"出会い方"が重要なのではなく
"擦れ違い方"がより大切なのだと気付く
でなければ身を裂く様な軋轢にも
でなければ身を焦がす摩擦も
生まれやしないじゃないか

喜ぼう 喜ぼう
渺々たる事こそが皮肉にも最も大切なのだ


喜ぼう 喜ぼう
懊悩する分だけ深みに嵌まる不器用さを
"意味"と"意義"の枝に手を伸ばす不用意さを讃えよう

とかくそういった人間の遺す言葉の数々は
時間軸を垂直に突き破り過去から未来を
縦横無尽に駆け巡りながら心を数珠繋ぎにする

喜ぼう 喜ぼう
詩歌は歪な母型にこそ反響し狂喜しうるのだ



どれだけ日毎 懸命に文字を綴ろうとも
夜中になると癇癪を起こす彼らを枕元に置いて
橙の間接照明の柔い明度の中で頬に落ちた翳りを
指先で拭いたいだけの人生なのです

添い寝

添い寝

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-25

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