誰かの透明

年老いた透明がいよいよ消えていく
名の売れぬ画家たちが挙って色を足してく

油絵の具を忍ばせて胎動を象って
不埒なプラチナで輝きをまとわせたら

群青の雲の上 神様は既にいった
街頭演説に耳を貸してはいけない
「夢」の腹の底を覗いたらきっとまた
ここに戻ってきてしまう

読み掛けの小説はさながら停泊前の船
錨を下ろして踏み締める大地の頬

閉園した観覧車は恐竜の様に首もたげて
もう止まることのない回想に浸る

群青の雲の上 仏様も既にいった
手渡された銃を信用してはいけない
銃口に詰め込まれたのは彼に
あげるはずだった第2ボタン

今までの記憶 全て指し押さえ
不燃物だけがつまりは財産
連なる影はコールタール
じゃれあう理性と本能

群青の雲の上 君も僕も既にいった
子宮口は閉じている 戻れない1人部屋
純粋無垢なままでは愛には触れられない
追憶 始まりの海に浮かんでいた 誰かの透明

誰かの透明

誰かの透明

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-24

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