勇者よ。よくも壺を…
初めて書いたので緊張してます。
一話 割られた壺
今日もいい朝だ。
町の商人のヘル・ブラントは言う。彼は商人といえどまだ子供、父の失踪、母の突然の死により急に家業を受け継ぐ事になったのだ。
彼は、親が死んだばかりと言うのに悲しむ様子もなく明るく振る舞っている。驚いた事に、今にも廃業しそうだった店を立て直し、たった数ヶ月で町でも上位の売り上げの店になった。
町の人達に褒められ、ヘルは誇らしげだった。
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そう言えば最近、勇者の一団が活躍しているらしい。650年程前に魔王を倒すために作られた組織らしいのだが、今では治安維持、魔王因子の排除を行なっているそうだ。
まぁ、関係ないし、せいぜい勝手に頑張れ。そう思っていた…
翌る日、それは突然やって来た。金ピカの趣味の悪い軍団が店に入って来たのだ。ヘルは、人が入って来るのを見ていつも通り、『いらっしゃ…』
まで言いかけた所で言葉を詰まらせた…
何とその金ピカ集団=勇者の一団は店に入るなり、破壊と略奪をおこなったのである。そして、勇者は破ったのだ…母の形見の壺を…母が生前とても大切にしていた壺を…
金ピカ勇者が壺に手を掛けようとした時、ヘルは
『やめろぉぉー』
と止めに入ったが、勇者の仲間達により心臓を撃ち抜かれて倒れた。
薄れゆく意識の中で響く音、日常の壊れる音…あぁ、私は何か間違った事をしたのでしょうか?…と神にでも問いかけるかのように呟く。
『いや、お前は間違ってなどいない。ただ不幸だっただけだ…』
と誰かが答えた。
そして続けて、
『お前は、もし生き返られるとしたら、何をしたい?』
ヘルは答えた。
『奴等に復讐をする…』
『そうか、願いを叶えてやる。
同じ目にあった者達の分も戦って来い!さあ、目醒めよ!』
その言葉でヘルは目覚めた。
悪夢からは目覚めなかった…全てを破壊された店内…
そして、外には、死体の山…血の海。
復讐を誓った彼の強い思いにより彼だけは復活することができた。さらにどういう訳からか知らないが魔法を使える状態になっていた。
《魔法が使えたとしても、優しかったあの人達はもう生き返らない…
そう、死人は生き返らない…しかし、町の皆の死は無駄に出来ないと…》
そう彼は考え、彼は大量の死体を生贄に一匹…いや、一人の悪魔を召喚したのだ。
その悪魔とは、切っても切れない関係になるのだが、それはまだ先の話…
さて、彼は悪魔を召喚すると、悪魔に話かけた。
話かけられた悪魔は混乱していた。本来、悪魔は人間に召喚された場合、召喚者に呪いをかけて楽しんだり、魂を奪ったりする…しかしこの人間は違った。
そもそも、この姿を見て怯えるのが普通だったのだが、此奴は軽い感じで話かけて来たのである。しかも此奴は人間ではないような底知れぬ何を感じた…
悪魔は生まれて初めて、恐怖した…そして、この人間…?の下僕になろうと考えていた。
ヘルはこう切り出した。
『悪魔さん、こんにちは。僕は、ヘル。ヘル・ブラントだ。勇者を殺す為に…いや、復讐する為に魔王になろうと思っている。悪魔って魔王サイドだよね?手伝ってくれるよね。もちろん、相棒として…』
不気味な笑いを見せながら説明をしてくるヘルに恐怖を感じつつ、そのことに了承した。
そうして、ヘルとその名も無き悪魔は修羅の道を歩み出したのであった。
勇者よ。よくも壺を…
自分の文章力を鍛える為に書いています。絵は得意なのでそのうち入れます
金ピカ装備の勇者 は見た目的に コガネムシなのでそうしました。