ある梅雨の高校生
突然でした。
雨がふっていた
ある梅雨の高校生に
雨が降っていた。
丁度、それは高校に入りたての1年生の頃、
登校するには肌寒く、雨がしきりに降っていた。
電車をおりある街の学校へ行く途中の出来事だった。学校の前の信号に差し掛かるとき、
僕たちは2人傘を持っていなかったのだ。
雨に濡れながら歩き学校近くまできたのだ。
憧れに僕はこの街の環境や学校に戸惑い続けていた。少し街の学校にいく僕は中学から勉強に取り組んだ進学高だった。学校に入る頃には春休みには勉強もせず、真新しい新一年生を夢見る気分でもなかった。勉強は疎かにせずとも生真面目な僕は必ずテスト前には余力を残し計画的に勉強を進める僕だった。家は貧乏だったが必ず両親の合間に貧乏を寄らせない雰囲気があった。そんな、母は僕にあんたが出来る子だから勉強しなさいと進学高への入学に期待し家庭教師を付けてくれるほどだった。桜散る中学の入学式には母と2人の写真と僕と友達の写真があった。
風が強く暖かな春に学生の僕のこころは何処かもどかしく一年の始まりにふさわしい季節だった。気運にまたがり理性だらけの僕は却って欲望に本能的にすぐ走ることは今に大人になっても正直あまりなかった。
空虚な小雨に何故か横から走って来る女の子がいた。走ってきた女の子はサッと自分の傘を僕の友人に渡しまた、女の子のグループへと戻っていった。自分の傘を渡したことも気にせずグループの女の子の友人の傘に入っていった。
この光景から温もりや切なさを覚えた僕だったけど内心好きだった。いつともなく季節は巡り大学までの進学とともに春の季節に郵便局のアルバイトを僕は始めた。軽く午前中の合間に幾らか稼ぎ大学進学を待っていた。あの母の言葉を信じていなければ、また母に信じられていると分かっていなかったら僕は大学にはいけなかっただろう。
そんな母に一言の言葉が大学までにいけるのだから不思議だ。信じられている強さは測りに人生をも左右するものだと僕は大人になり社会人の今にやっと気がついた。
閑散と降る雨に憂鬱感を残しながらまた、生きていける。
ある梅雨の高校生