境界線のすぐそばで
嗚呼しまつたなあと思う
境界線がありましたのに
なんてことだ
僕は時々自分の馬鹿さに嫌気がさすのです
親にも兄弟にも恋人にも親友でさへ
踏み込んではいけないのです
境界線があるのです
「自分が良かれと思つて人様にした行いはよく考えてみたまへよ
君の欲望がずいずいと育つてしまつた証拠ではないのかね?」
人はずつと孤独です
誰もが考えているよりずつと孤独です
そして視野が狭くなるのです
それは大変寂しいことです
「ねぃ君。僕は先日ひとつ名前を頂いたのだが
それは最も僕から遠い漢字がはいっていたのだ
これは大事にしなければと思うたよ。今は似合わなくてもきつとその名にふさわしい僕になるのだよ」
そう云つたあなたの顔は僕の顔で
怯えた僕は貴方だつたかもしれませんのに
境界線のすぐそばで