境界線のすぐそばで

嗚呼しまつたなあと思う

境界線がありましたのに
なんてことだ
僕は時々自分の馬鹿さに嫌気がさすのです

親にも兄弟にも恋人にも親友でさへ
踏み込んではいけないのです
境界線があるのです

「自分が良かれと思つて人様にした行いはよく考えてみたまへよ
君の欲望がずいずいと育つてしまつた証拠ではないのかね?」

人はずつと孤独です
誰もが考えているよりずつと孤独です

そして視野が狭くなるのです
それは大変寂しいことです

「ねぃ君。僕は先日ひとつ名前を頂いたのだが
それは最も僕から遠い漢字がはいっていたのだ
これは大事にしなければと思うたよ。今は似合わなくてもきつとその名にふさわしい僕になるのだよ」

そう云つたあなたの顔は僕の顔で
怯えた僕は貴方だつたかもしれませんのに

境界線のすぐそばで

境界線のすぐそばで

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-17

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