裏の神社の神サマ。4

第四夜

仕事終わりにスーパーに寄り
お酒のコーナーへと向かう。
普段 近づきもしないワインの棚を目の前にして本気で驚いた。
「うわぁ・・・ワインって エラい種類あんなぁ・・・何買えってんだよ・・・」
棚を上から下まで眺めても何が何やら
英語なのか何語なのかすら解らない。
視線を流して行き左下の方で(デ〇カメゾ〇 辛口)なる物を発見。
「安いのでいいって言ってたよな?これでいいっしょ。」
ワインを手に取り、家の食材を思い浮かべる。
「レトルト買って帰ったら怒るよな?」
ソースコーナーでペペロンチーノの袋を見つめながら少々考えて ちゃんと作ろうと決意する。
「え~と足んないのは・・・ニンニク・・・これでいいな。」
家に帰りタバコを吸いながらハッピーについて考える。
いざ考えてみると 解りやすい大金って選択肢を除かれるとピンとくるコトが無い。
「なんだろなぁ・・・金以外。なんか金がありゃ全部まとめてついてくるって思ってたもんなぁ」
普段 使わない頭を使ってると拒絶反応なのか、知らずに眠りに落ちていた。


『おーい。起きろぉー。』
神サマが声をかけてきた。
『ダメだろお前、ちゃんと布団で寝なきゃ?疲れとれないぞ?』
座ったまま寝てた俺に神サマが珍しく優しい言葉をかけた。
「おはようっス 神サマ。考え事してたら そのまま寝ちゃいましたよ(笑)」
『考え事? 何かあったのか?』
「いや 宿題のハッピーについてっスよ。金がダメなら・・・って考えてたんスけど 何かピンとこなくて・・・」
『いいんじゃないか?そりゃお前がそんな辛い生活を送ってない証だ。』
「そんなもんスかね?」
『そんなもんス。(笑)』
なんとなくホッとする気分になる。

「そういえば、ワイン買っといたっスよ。冷蔵庫に入れてあるんで。」
『おお悪いな。んじゃ早速・・・って〇リカ〇ゾンかよ(笑) まぁいいけどよ。これなら氷も貰うぞ。』
「あ!ウチ ワイングラス無いの忘れてたっス!」
『いいよ、そんな上等なモン飲む訳じゃないし、お前の考えてるワイングラスって赤用のだろ?』
「へ?ワイングラスって赤用とかあるんスか?」
『あるんスよ(笑) ってやっぱり知らなかったか』
「すんません、初耳っス。」
『本当 知識つうか世間の狭い奴だよなお前は』
「ビールかサワーばっかなんで(笑)」
『酒にしたって世の中たくさんあんだから ちょっとはチャレンジしてみろよ。若いんだから。』
「うっス。心がけまス。とりあえずペペロンチーノ作りますよ?」
『お 頼むわ。』
しどろもどろ、慣れない手つきで料理を始めた。
・・・

・・・

・・・
「おまちどおさまっス。ペペロンチーノ一丁あがりでス。」
・・・

・・・

・・・

・・・
スパ━━━━━━━━━━━━んっ!!
神サマにスリッパで思い切り頭を叩かれた。
「な、な、何すんスかっ??」
『テメぇ何だこりゃ?』
「え?ペペロンチーノっスよ?勿論。」
『なんでペペロンチーノが全体的に赤く染まってんだよ?ニンニクの影も形も見当たらねぇし』
「唐辛子の代わりに一味使ったっス。てか一緒っスよね?元は? ニンニクはおろしチューブっスもん形なんか元々無いス。」
スパ━━━━━━━━━━━━んっ!!
『このヤロー!!(怒)今すぐペペロンチーノに謝れ!!つうかCOOKPAD隅から隅まで探したって こんなレシピねぇだろが!?』
「なんスか?それ?」
『は?COOKPADだよ!・・・ってマジでCOOKPAD知らんのか?』
「初耳っス。」
『か━━━っ 今どきCOOKPADも知らないってヤバいぞ?お前。ちょっとスマホで検索してみ?』
「神サマ 俺ガラケーっス。」
『は?!』
「スマホ持って無いス。」
『ん、んじゃパソコンで検索しろよ!』
「パソコン持って無いス。」
『マジで?』
「マジっス。」

・・・

・・・

・・・
『本当 今どき珍しいなぁお前・・・って 待て!
スマホもパソコンも持ってなきゃTwitterもFacebookもできないじゃんよ?』
「っスね。」
『美談を拡散できないじゃんよ?』
「っスね。」

・・・

・・・
神サマが床に膝と両手をついて解りやすいポーズで落ち込んでる。
『マジかぁ━━━━!人選ミスったぁ━━━!』
「っスね(笑)」
『笑い事じゃねえよ?マジで?』
「今から違うモニター探すしか無いス。」
『無理。手遅れ。』
「手遅れ?って何スか?」
『協会に届け出を提出して受理されてんもん』
「協会?届け出?」
『やたらと神サマが人間に干渉しちゃいけないんだよ。前に言っただろ?神サマってのはいっぱい居て、縄張りがあって、それを管理と取り締まりすんのが協会。んで、人間に直接接触する場合、件数も規定があるし、対象人物の報告が義務化されてて認可がおりたら実行できるんだよ。キャンセルは不可でな。キャンセルすっと業務停止処分くらっちまうんだよ。』
「は~、神サマも色々大変なんスね?お役所みたいじゃないっスか(笑)」
『どんな世界も楽な話なんてねえんだよ。』
「世知辛いっスねぇ~。」
『真理だよ。それが。』
「はぁ~・・・逆に質問?てのか 神サマにとってのハッピーって何スか?」
『・・・ん~ん?(汗)・・・え~と・・・いや
・・・待て、考えてみるわ(汗)』
「マジっスか?(笑)」
『マジも大マジだよ、自分でもよく解らなくなってきたよ(笑)』
「じゃあお互い宿題っスね?(笑)」
『だな(笑)』
「じゃあ今日はお互い様だから タバコ持って帰んないでくださいよ?」
『だな(笑)』
『「んじゃ また明日。」』

二人でハーモニーを奏でた(笑)
神サマは姿を消して
登場以来 初タバコ残留だった。

続く。

裏の神社の神サマ。4

裏の神社の神サマ。4

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-16

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