echo

見えないほど近くて
触れそうなほど遠い
足場を目指した
理由がわかんなくて

深く息を吸って
少し勢いをつけて
片脚を浮かせた
行き場はなく漂う
ただ酔う

アスファルトの上
踏みしめた一歩が
地球を揺らして
今日が過ぎて行く

ひとりぼっちの道
並んで歩いて
手を差し出す
掴み損ね漂う
ただ舞う

いつかそこにあったよって
確かにあったんだよって
少しだけ違っていたって
同じ時を過ごせたって
むしろ全部否定されたって
例え夢から醒めたって
君の痕が何処かにあって
僕はそれを見つけたって
言いたいんだよ

喜ばせることが上手
なのに意地悪して
世界の仕組みを
傲った様に笑う

仕返しをしたくて
だけど虚しくて
苦し紛れに
吐いた言葉が漂う
ただ言う

夜はもどかしいまま
やせ我慢を続けて
積み重ねた箱
バランスが不自然で

呆気ない態度に
空回りしているようで
ふいに今日を仰ぎ
脱いだ明日が漂う
爛れる

本当はもっともっとがあって
だけどそれは厭な我儘なんだって
草臥れて包まったって
気が紛れたりはしないんだって
無い物ねだりが得意なんだって
そんなこともう知ってるよって
君は透かす様に視てる
僕の向こう側を視てる

僕らが予想出来なかった今に
どんな物語を未来に描いているの
きっとどうかいつもいつまでも
なんて戯けてみせる
いつか出逢える本当の僕へ

優しく飲み干して
埋もれてしまった言葉
届くことなく
君の近くまで漂う
ただそう

echo

echo

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-14

Copyrighted
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