指針を強く握って

生きる力を持って。

私は弱い人間で終わる気はない。

強気なことを書いたが、これは誰にも言えることで、確かに生活の上で助けてもらうことはあるが、何か打ち込むべきものを強く持っていなければいけないという話で、それがゲームでも漫画でも、ランニングでもダンスでもなんだっていいのだけど、己の美学と言うか、哲学を持っていなければいけないという話。

そういった打ち込める何かがないと、人間はやられてしまって、ふにゃふにゃになってしまう。

ふにゃふにゃな指針なら、止めた方がいいよー。
私は手をメガホンにしてここから叫ぶ。
十畳間の襖を開け放して、犬が見守る中、声は遠くの山の方へと消えた。

ここから神社の森が良く見える。
あの木があるせいで花火がよく見えないんだ。

切ってもらわなきゃ、と勝手なことを言いながら、祖母がおかずの鍋をかき混ぜる。
私はおこぼれに預かろうと、ふんふん言いながら椅子に座り、犬と共に祖母の言葉を聞く。

心を掴んで離さない言葉たち。
先人の知恵。美学。モラルの問題。好奇心の行方。
私を日々明日へ向かわせる者たちの姿ははっきりとしていて、光にぼうっと包まれている。
それを掴まずにどうしていられようか。
私はこの日々に放り込まれたことを、心から嬉しく思う。

ありがとうございます、ありがとうございます。

この哲学する時間を与えてくださった方々、ありがとうございます。
私はそう頭を下げる。地面にぺたりと着くほどに。
今日も一日生きられました。ありがとうございます。

明日も寒いだろうか。すっかり冬仕様の空を見て思った。
今年は雪が降るだろうか。

ベランダで洗濯物を取り込みながら、空を眺めてそう思った。
雲が風に吹かれて、ひゅうっと音がしそうな形になっている。

指針を強く握って

最近思うテーマです。

指針を強く握って

力を持たなければ。生きる力を。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-13

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