裏の神社の神サマ。2
第二夜
昨晩の不可思議な出来事を理解できないまま
眠い眼をこすりつつ仕事に向かう、
ふと視界に小さな神社が飛び込んできた。
「本当の話なら ここだよな・・・」
小さな鳥居をくぐり本殿へと向かってみる。
辺りには人や生き物の気配は無い
本殿の中の様子は見えるワケもなく
馬鹿らしいと思いながらも 声を出してみた。
「お~い 神サマ~いないんスかぁ~?
いたら タバコ返して~」
物音1つしやしない。
「夢じゃないんだよなぁ・・・
タバコ無いし、ビールの空き缶残ってたし・・・」
仕事に遅刻しそうな事に気づき駆け足でその場を後にする。
「あ~腹へったぁ~」
仕事を終えて帰宅してすぐに冷蔵庫を開ける。
「うわぁ~何も入ってねぇし・・・ビールがラス1か・・・これとカップラーメンだな今日は。」
コンロにヤカンをかけ ささっとシャワーを浴びる
浴室から出ると丁度 お湯が沸いた。
カップにお湯を注ぎ、待ってる間にビールを開ける。
「かーっ!空きっ腹に効くなぁー。」
ラーメンをすすりながら ビールを飲みとりあえずの空腹を満たす。
「マジで今晩も来んのかなぁ・・・」
1人呟いてみても 勿論 答える人はいない。
空きっ腹でのビールが本当に利いたのか
猛烈な眠気に襲われ そのまま眠った。
ドスっ!
ドスっドスっ!!
「い、痛ぇ!! な、なんだ?!」
布団越しに痛みを感じ目が覚めた。
ドスっ!ドスドスドスっ!!!
振り向くと昨晩の神サマが怒りの表情で俺の身体を蹴りまくっていた。
「な、なんスか? 何してんスか?!」
『テメぇ何 1人でビールなんか飲んじゃってんだよ?!冷蔵庫が空じゃねぇか!ちゃんと昨日言ったよな?!また夜に来るって?
神サマがいらっしゃるってのにビールの一本も用意しとかねえってどんな了見だ ゴラぁ?』
「す、すんません、次はちゃんと・・・」
『次だな?俺は仏大先輩と違って気が短いからな?3回も笑顔じゃねえからな?』
「は、はい。ちゃんと用意しときまス。」
とりあえずの怒りを収め神サマはタバコに火をつけて なんとも冷酷な笑顔で言った。
『あんま神サマ ナメてっと地獄に落とすよ?』
「すんません!すんません!」
ふ━━━っと、
大きく ゆっくりタバコの煙を吐き出す神サマ。
『ちゃんと肝に銘じとけよ?』
「は、はい。銘じときまス。」
「あの~・・・」
『ん?』
「今日の朝なんスけど? そこの神社行ったんスけど・・・神サマ居なかったスよね?」
『アホかお前。あそこは俺の仕事場。自宅は別に決まってんだろが。コンビニじゃあるまいし年中無休24時間居ないの。』
「はぁ・・・ってコトは・・・神サマが留守してる時は無駄なお祈りってコトもあるって話でスよね?」
ふ━━━っ。
また大量の煙を吹き掛けられる。
『本当に馬鹿だねお前?
そんなんじゃ客が離れてっちゃうだろが。
賽銭箱と連動して録画してんだよ。』
「え・・・じゃあ賽銭入れないと?・・・」
『そりゃスルーだわな(笑)』
「マジで?賽銭次第?」
『マジで!賽銭次第!』
「うわぁ~神サマ セコっ(笑)」
『ボランティアじゃねえんだよ馬鹿。
地獄の沙汰もご利益も金次第なんだよ。』
親指と人差し指で輪を作り不敵な笑みを浮かべる神サマ。目は笑ってない。本気だ。
「そ、そうですよね?やっぱ大事ですよね?お金・・・」
『まぁ 情に流される時もあるけどな?基本ギャラだな(笑)』
「なんか ありがたみ薄れますね~(笑)」
『あ?!(怒)』
「い、いえ ありがたいス(泣)」
「そ、それにしても神サマも寝るんですね。初耳でびっくりっス。」
『寝るよそりゃ。伝説の弥勒さんなんてお前ぇ転生の準備で56億7千万年の眠りの途中だぞ?
いいよなぁ実力と知名度と揃ってるお方は。』
「その考え方が出世できない理由じゃ・・・」
『あ?!(怒)』
「い、いえ 何でもないっス(泣)」
『ま、いいや。とりあえず酒もねぇし仕切り直しで明日だな 話は。』
「何も進展しなかったっスね今日(笑)」
『そりゃ作者とお前のせいだ。』
「作者?」
『聞き流せ。』
「はぁ・・・。」
『んじゃ またな。』
また目の前からスッと姿を消した。
やっぱり夢ではなさそうだ。
2日連続こんな夢を見る筈ないだろう。
「あっ!まさか今日も?・・・」
辺りを見回す。
あった。タバコ。
「良かった~今日はあったよ。」
夕べ奪われたので今日もかと思い
タバコの箱を見つけるとホッと安心感がこみあげた。
「とりあえず 一服して も少し寝るか・・・
・・・空━━━━━━━━っ!!」
神サマにお願いです。
ゴミはゴミ箱へ入れてください。
あと無言でタバコ吸いまくんないでください。
マジ お願いっス。
続く。
裏の神社の神サマ。2