老人ホームの一角2

短編

「お兄さん!あれだよ、あれ!」

老人ホームの一角2

「お兄さん!あれだよ、あれ!」
「なんですか?あれって」
「そう、そう、打ち上げるやつ?」
「もしかして、花火のことですか?」
「ああ、そうそう」
「で、いつなんだい?花火大会ってやつは?」
ええ、マジかじいさん、花火大会は昨日だったはずだぞ、あまり期待ハズレなことも言えねーし適当に誤魔化しておくか
「おじいさん!花火はですね、うーんと空に上がってですねー、ドンって音が鳴ってー?」
「おう、そうか、それならいや」

「兄さん!ところで花火大会はいつあんだ?」
また、きたこのトーク誤魔化しきれねえよ。ここはいっそのこと、穏便に!
「おじいさん、花火は運動会にも上げるし、オリンピックにも上げていますよ」
誤魔化せたかな?
「おう、そうかい、それならいいや」

「でさあ、おめえさん花火大会っていつあんだ?」
「夏ですよ!」「満天の空に火花が飛び散るんです」恋の種や、家族の種や、思い出や、これからのことを願ったり、
「大きく打ち上げるべきですよ」
「そうだねー、で、いつだった?」

老人ホームの一角2

超高齢化社会

老人ホームの一角2

第二段

  • 自由詩
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-10

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