そうだインドに行こう。11

ちゃんと聞いてよ

色んな場所へ行った。
色んな物を見た。
色んな話を聞いた。
悔やむべきはリサーチ不足。
本来 ヒンドゥーに興味があってのインドだったのにツアーで回ったのは仏教メイン。
ま これはこれで楽しかったので良しとしよう。

長かった様な 短かった様な
そんなインドの旅も もうじき終わりを迎える。

今晩 眠り 目覚めたら お別れだ。
寂しさがこみ上げてくる。

帰国が近づくので
当然 居る場所は空港へ近くにとなるので
長閑なインドではなく
賑やかなインドが最後の記憶になる。

アニルと街中を歩いてた時に
ふと思い出した
「お土産にタバコ買いたいと思ってたんだけど」
『じゃあ この先にお店ありますよ』

少々 歩いた先に店はあった。
が、
なにやら かなり混雑している。
ホテルのチェックインやらの関係から
並んで買うには時間が足りないと言う。
しかし もう明日はホテルを出てすぐ空港に向かうので今日がラストチャンス・・・
するとアニルが後で買っておくと申し出てくれるので遠慮無くお願いする。
「あ 免税の絡みあるから 200本までね?
200本以内でなるべく種類多めでお願い。」
任せとけと胸を張るアニル。
面倒な頼みも快く引き受けてくれる。
いい人と旅ができた。
ちょっと こう言う場では発表しづらいバカ話もアニルとは交わしていた。
彼が居たから
彼のおかげで
彼だから この旅はとてもいいモノになっただろう
ありがとう。アニル。
照れ臭くて口には出せないけど感謝してます。

ホテルの部屋で1人 荷物の整理をする。
お土産を買っているから来た時より荷物は増えているので要らないモノは捨ててしまおう。

そんな作業をしていると ひしひしと
もう帰るんだなぁと言う実感が一気に襲ってくる。楽しかった。楽しかった分 寂しくもある。

感傷に浸りながら荷造りをしていると
部屋の電話が鳴り響く。

なんで この部屋の電話が?
何かの間違い?
とりあえず 恐る恐る受話器を手に取る。
聞こえてきたのはアニルの声だった。
『タバコ 買っておきましたから。
で、金額なんですけど約9000円でした』
ちゃんと買い物出来たとの報告、 ありがたい
・・・・
・・・・ん?
9,000円?
高くない?
インドってタバコ高いの?
まぁフィリピンでは水とコーラとビールが同じ値段だった位だから国によって色々なのだろう
「ありがとう 明日払うね。」
と電話を切り タバコを入れるスペースも考えながら荷造りを続けた。

そして最後の朝。
荷物を抱えロビーに向かう。
少し遠くにアニルの姿が。
明日の朝、日本で目覚めたら もうその時にはアニルは居ない、だいぶ寂しく感じる。
抱きつきたくなる衝動を押さえつけ
ゆっくりアニルに向かって歩いて行く。

いつもと変わらぬアニルの笑顔。
手には頼んだタバコが・・・・

・・・・


・・・・・


両手にパンパンに膨れた袋が3つ。
「アニル?それ・・・何?」
『タバコですよ?』

・・・・

「どれが?」
『全部ですよ?』

・・・・

「で?どれが俺の?」
『だから 全部ですよ。』

・・・・


・・・・

「え~と? 昨日 持って帰れる量を伝えたよね?
それ何箱あんの?」
『200箱ぐらいですよ?』

・・・・

箱?箱って?
本って 言ったよね?なんで箱?
200箱? 規定の20倍?
何?密輸業者にしたいの?

ダメだ 頭が混乱する。
どうアニルに説明する?

「あのねアニル?箱じゃなくて 単位は本なんだよ?この量はヤバいよ?」
『大丈夫 大丈夫。みんな いつも これ位持って帰ってますから~。』

嘘だよな?
適当だよな?

『ちっちゃい箱もありますしね』

もう そこ どうでもいいです。
全てが20本入りじゃないにしても
軽く見積もっても3000本はあるよな?
犯罪者じゃんバレたら?

しかも ペスト流行中で検閲厳しいかもってタイミングよ?そこに この量?

屈託の無いアニルの笑顔が今はとても憎たらしく見える。

アニルはタバコを吸わない
買った分の金額は払わなきゃならない
タバコを捨てる=お金を捨てる・・・

上等だ。
やってやるよ。
持って帰りゃいいんだろ?
全部 持って帰るよ!!

半ばやけくそになりながら
ロビーの片隅でスーツケースと手荷物入れる鞄を開いて 大量のタバコを袋から出したり 何かで包んだり もう まぶす様にあちこちにしまい込む。
その姿はまさに密輸業者。

何とか散らしまくりながらタバコをしまうと言うか隠し終わる。

これ日本の空港で見つかったら どうなるんだろ?
没収で済めばいいけど 罰金とか追徴課税とかだったらどうしよ?
不安はとめどなく溢れてくる。

そんな不安を他所にアニルが聞いてきた。
『あの~・・・ アレ、どうしました?』
「アレ?アレって何?」
『アレはアレですよ。あの雑誌。』
「雑誌?・・・あぁ!アニルがしょっちゅう見てたあの雑誌?」
『そうです!その雑誌です!』
「あれね?荷物増えたからホテルのゴミ箱に捨てたよ?」

『なんて事を?!!!!!』

この旅で一番の大声と激しい感情がアニルから吹き出してきた。
「いやいや さんざん見たでしょうよ?」

『欲しかったのに・・・』
今度は物凄く落ち込んだよ(笑)

「じゃあ今度来る時ね?」
「そん時には もっと凄いの持って来るよ。」
何度か言われた無理のお返しです。
しかしアニルの反応は予想だにしないものでした

『絶対ですよ?!約束ですよ?!』
うわぁ 本気?
真に受けるの?

結局 最後の最後にドタドタな旅に戻るとは。

そうだインドに行こう。11

そうだインドに行こう。11

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-08

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted