制服が走る

傾き出した時間を滑り台にして先人達が
意気揚々と下り始める 冬至間近の真夏の夜

明度を上げた鈍色の水蒸気に映り出された遺影
冬休み明けの気だるげなタンポポ 背筋を立て

ひそひそ話の間だけ地球が黙り込むから
皆が知ってしまった 君の顔が赤らんだ理由を

信号待ち 傘の無い町 並んで帰れない家路なら
手を引っ張って駆け足で どっちが先でもいいよ

制服が走る

制服が走る

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-10-08

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